第一章6 稽古で地獄、帰っても地獄
第一章 最悪の転移場所
第一章6 稽古で地獄、帰っても地獄
「起きるっすよ、レオン。」
彼の名前を呼ぶ声で、意識が覚醒する。
「いつの間に寝てたんだ?俺。」
「食べ終わった後、すぐに寝てたっす。よっぽど疲れてたんすね。」
「寝てたって言うか多分それ、気絶だな。」
昨日の事を思い出し、食べ終わった後の記憶が無いことから気絶していたと推測した。
「まぁ、いいっか。おはよう、クロ。」
「おはようっす、レオン」
起き上がると体に違和感がある事に気づく。
「何か俺の体、おかしくない?」
「何かすげ〜変な感じするんだけど。」
「おかしくないっすよ。昨日どおりっす。」
昨日、変な料理全部食べたからか?
うーん、、、俺には分からん!
とりあえず体の調子がいいみたいだし、気にする事ないよな。
「はいよ、レオン朝ごはんっす。」
「今日から俺がするんじゃ無かったけ?」
「やっぱ料理は俺が担当するっす!料理するの好きだし!」
昨日とは違う料理が沢山並べてられている。これも昨日と同様食べれるか分からない色、匂いを放っている。
「今はお腹すいて無いからいいよ。」
作って貰った朝ごはんを食べずに行くのは悪いと思うけど命には変えられん。
「そうっすか。」
クロは食べて貰えなっかのか余程ショックだったのか誰が見ても分かるくらいしょんぼりとしている。
「うっ。」
そんな顔をしないでくれ!そんな顔をされたら俺は食うしか選択肢が無くなる。
「やっぱ食って行くよ。いや、食わせて下さい。」
バカか俺は!やめてくれー!俺。
「そうっすか!よかったっす。食べていけっす。」
「?、すごい汗っすけど、大丈夫っすか?」
レオンの顔は汗でビッショリしかも顔色も肌色ではなく青色をしていた。
「大丈夫、大丈夫、気にすんな。」
これは食べれるか?いや、食べれる。
これは食べれるか?いや、食べれる
何度も心の中で自問自答をするレオンは答えを出す。
これは食べれる!!
「いただきますーー!」
〜数分後〜
「ご馳走様でした!!」
「はいっす!美味しかったっすか?」
「お、美味しかったよ。」
何度か飛んだけど。
「じゃあクロ、行ってくるわ。」
「行ってらっしゃいっす。生きて帰るっすよ。」
「おう!」
〜数分後〜
「ウブラ師匠来たぜー!」
「?」
師匠が俺の方を見て幽霊でも見たのかと
思うぐらい驚いた顔をしている。
「どうしたんだ?師匠。」
「?。おーい、おーい」
レオンはウブラの顔の前で手を縦に振るが
微動だにしない。
「はっ!悪い悪い、意識がどっかに行ってたガス。」
「俺が来た事にどれだけ驚いてるんだ!」
「違うガス、違うガス。生きてた事に驚いただけガス。所でお前、飯は食って来たガスか?」
「?。食って来たけど。あぁ〜なるほどな。」
理解した。何故、師匠がそこまで驚いていたのか。
「お前あれを食ったガスか!!しかも生きてるガス!今日からお前は英雄ガス。」
「どんだけあの料理、殺傷能力高いんだよ!!」
「あの料理はガスね。色んな奴が挑戦して今まで全部食べきった奴はいないガス。しかも食べた奴はだいたい5日は寝込んで、5日全て悪夢を見てるガス。」
「怖!」
「しかも本人は自分が料理下手とは思って無いところがまた怖いガス。」
「ん?でも、意識飛びながら食べたけど、寝込んで無いし悪夢も見てないぞ。それどころかあの物体を食べたからか体の調子が嘘くらい良いし。」
「だから驚いてるガス!」
机を叩き、顔をこちらにグーっとそせてくるウブラ。
「近い近い、顔が近い。」
「まぁ良いガス。とりあえず稽古を、始めるからついてくるガス。」
師匠の後をついて行くと師匠はギルドの奥にある扉に手を掛けた、と思うとこちらに振り向き言葉を放つ。
「本当に俺がお前に稽古をつけるガスがいいんガスな。もしかすると死ぬかもしれないガスよ。それでも本当にやるガスか?」
「あぁ、俺の覚悟は決まってる。」
「ふっ。いい度胸ガス。行くガスよ」
レオンの覚悟が瞳に出ているのを確認するとウブラは扉を開ける。
「まず、今日やる事を言うガス。」
「どんと来い!」
里の周り10周
筋トレ10種類100回10セット
剣の稽古
組み手
魔法
「初日から死なない?」
「だから言ったガス。死ぬかもって。」
「逃げるのは、、、無しですよね!!分かってます!」
あれ最後まで言ってたらその場で首と胴体がいつでもフライアウェイするとこだった。
めっちゃ睨まれたもん、腰の剣にちょっと手が行ってたし。
「そうそう、今日までに終わらないとか無いガスから。終わらない限り家にも帰れないし寝ることも出来ないガスから。」
「ってもういないガス。」
「鬼ーー!!この里めっちゃ広いし、それを10周?これだけで夜になるわ!!」
「決意を固めろ!!体に喝を入れろ!!怒りを全て力に回せ!!命を燃やせ!!」
「うぉーーーーーーー!!!」
〜数時間後〜
「思ったより早かったガスね。」
「水、水をくれ。」
レオンの体はまるで日向で寝てしまって皿を濡らすのを忘れていたカッパの如くシワシワになっていた。
「ほら、それ飲んだら次、筋トレガス。」
「ちょい待って、休憩させてくれ。」
もう動けそうに無いレオンはウブラに休憩を求めるがあえなく失敗に終わる。
「次は筋トレ10種類100回10セット頑張るガス。」
「クソ!やってられ、、、頑張ります!」
「燃えろ!俺の筋肉!!」
〜数時間後〜
「頼む、休憩を」
「ほら次、剣の稽古ガス。これを持って稽古場にガス。」
「マジで休憩頼む。立てない。」
「嘘だろ!痛い!痛い!」
「立てないからって片手で頭を鷲掴みにして連れて行くのはやてめくれ!」
駄々をこねそうなレオンを見越してか軽々と片手でレオンを持ち上げ強制的に稽古場に連れて行く。
「ほら、早く持つガス。」
木で出来た剣を渡される。
「分かったよ。」
「いい構えをしてるガスね。」
何を隠そうとレオンは運動神経がいい。だから地球では色々な部活に入ってた、その中には剣道も入っている。
俺はこう見えても初日で剣道八段の師範を倒した事がある。つまり俺は強い!
ここでストレスを発散させてもらうぜ!!
「行くぜ!!」
〜数分後〜
「構えは良いのに実力が全然でガスね。」
レオン床に倒れていた。
レオンの攻撃は全て、いとも簡単にいなされていた。
「、、、」
ウブラはレオン自身が「俺は強い!」と勘違いをしていた事に気づいている。レオンが温厚に育ったのは見ていて分かる。だからこそ知らないのだろう。どれほどレオンが弱いのかを。レオンの剣筋もそうだ。甘やかされていたのがすぐに分かった。レオンの剣はこの森ではどう考えても遅すぎる。だからこそレオン自身にもっと速く、鋭く、強くならなくてはいけない事を気づかせるのがウブラの仕事だと。
「クソ、どうなってんだ。全然あたらねぇ。途中からめっちゃ舐めプされたし。」
「ほら、早く立つガス。まだ終わって無いガスよ。」
「あぁ、分かってるって!」
〜数時間後〜
「とりあえず剣の稽古はここまでガス。」
「また床に倒れて。次、組み手行くガスよ。」
「もう、どうにでもなれ。」
〜数時間後〜
「はぁ、はぁ、やっと疲れるのが終わった。」
「何言ってるガスか。一番疲れるのはここからガス。レオンは魔法の使い方知らないガスから、一番疲れると思うガス。」
レオンは絶望した。顔がムンクの叫びみたいになっている。
「まず、簡単な奴の手本を見せるから一度やってみるガス。」
「○○***○」
ウブラが言葉を唱えると目の前に置いていた木の板が突然燃え上がる。
「おぉー、燃えた!!」
「やってみるガス。」
「出来るか!!俺はな魔法なんて一回もしたことがないんだよ!だからもっと詳しく説明してくれ!」
「説明、、難しいガスね。まぁ、今俺が思い描いたのは火でガス。その火を思う様になんでも良いから言葉を唱えるガス。」
「うーん?全然分からない!」
「とりあえず、一回試してみるガス。」
「えーと自分の中で火を思って言葉を吐く」
「ファイア!!」
「スカ」
「何もでないガスね。」
「こうなると思ってたよ!!」
頬を赤らめながら出来ないと分かっていた事を叫ぶ。
もしかするとこのまま一生魔法なんて使えないのかもしれない。
「でも一応、魔力は感じたガス」
「マジで!!」
レオンに希望の光が灯す。
「イメージが悪いのガスかも。もっと具体的にイメージするガス。」
「イメージ、イメージ。」
「ファイア!!」
「スカ」
「でねーじゃん!!」
「出来るまで何度も試すガス!」
「了解!」
「ファイア、ファイア、ファイア」
「ファ、イ、ア、、、何だ?何かクラクラする。」
レオンはすぐに立つことすらままならないくなり。その場に倒れ込んでしまう。
「あぁ〜魔力切れガスね。ほらこれ食べるガス。」
ウブラはそう言うと卓球玉より少し小さいぐらいだろうか。それぐらいの大きさの食べ物をレオン渡して来た。
「もぐ、、、あっま!!何これ!!スッゲー甘い!」
「オリジナルの魔法回復玉ガス。効果は結構あるガス。」
「本当だ。さっきの目眩が消えた。」
「ほら、何突っ立てるガス!出来るまでやるガス!」
「はい!師匠。」
「ファイア、ファイア、ファイア、ファイア
ファ、イ、ア。」
また魔力切れが起こる。
「ほら、これ食べるガス。」
魔力切れが起こるとすぐに魔力回復玉を食べさせてくるウブラ。
「もぐ、、、あっま!!」
ここからはずーと魔力が切れては魔力回復玉を師匠が食べさせて回復させ、また切れては回復させの繰り返しだった。
唱え続けること100回目
「師匠、待って、もう食えない」
「頑張れガス!まだイケるガス。」
途中から大食いみたいになっている様に見えるがちゃんと魔法の練習をしている。
「うっ!キラキラキラキラ」
ついに限界を迎え、リバースしてしまう。
「うぉっ!汚いガス!」
「痛!」
ウブラは吐いてしまったレオンの頭を殴っていた。
「それは無いぜ師匠!無理って言ってるのに食べさし続けたの師匠だろ!」
「でも、これでまた食えるガスね。」
「俺を殺す気か!」
「、、、」
「えっ、嘘だよね師匠、嘘だと言ってくれ!!!」
「結局一回も出来なかったガスな。途中から何言ってる分からなかったガスし。」
「何回吐いたと思ってだ!!」
「まさか、明日もこれがあるのか」
「あるガス。」
「嘘だと言ってくれ!」
「嘆いても変わらないガス。」
「とりあえずもう遅いから帰るガス。」
空を見るとすっかり暗くなっていた。
「明日もちゃんと来るガスよ。」
「、、、」
「返事はガス!!」
「はい!」
「お帰りっす!今日は帰らないと思ってたけど帰って来たっすね。」
「じゃあ、薪割りよろしくっす。」
「えっ?」
「薪割りっすよ。ほらこの家に住む条件。」
「誰か俺を労ってくれ!」
「頑張ったっすね。これで良いっすか?ほら行ってくるっす。」
「チッ、分かったよ。このボロボロの体をぶら下げながら行ってきますよ!」
「カッカッカッ」
「結構、難しいな」
「ガッガッガッ」
「最も力を伝わりやすくするに、、」
「アブな!このやり方だと足にオノが当たるからこのやり方はなし!」
レオンはウブラに一太刀でも浴びせるためオノを剣と見立てて色々研究しながら薪割りをしていた。
「割ってきたぜー」
「お帰りっす。ご飯がもう出来てるっすよ。」
マジか。。でももう二回も飛びながらも食べてんだ!!流石に味を覚えたぞ!!今日は絶対に勝つ!!
「いただきます!」
ダメでした。
「レオン、起きるっす」
また名前を呼ぶ声で覚醒する。
「もう朝?早いな。」
「違うっす。昨日風呂入ってなかったっすよ。流石に今日は入らないとダメっす。」
「あぁ、風呂かそう思えば入ってなかったな。でもこの家に風呂なんか無いよな。」
「無いっすから、風呂屋さんに行くっす。」
「風呂屋さん何かあるのか?」
「あるっすよ。ギルドの隣に。」
「またギルドに行くのか。まぁ今からは風呂入りに行くだけだしいいっか。」
「でも俺、服とか金とか何も持ってないけど大丈夫なのか。」
「大丈夫っすよ。レオンはウブラの旦那の弟子だからお金はいらないし、服は俺のを貸すから大丈夫っすよ。」
「マジでか!ありがとうよ、クロ。」
「どういたしましてっす。」
「じゃあ行くっすよ、レオン。」
「おうよ。」
扉を開けギルドに走って向かう二人。
「着いたっす。ここが風呂屋さんっす。」
「デケー。」
初めてギルドに来た時ギルドが二つある物だと思っていたが違うみたいだ。これが風呂屋らしい。風呂屋にしては外装に見ても分かるほど高級な素材が使われている。
「本当にここタダで入っていいのか?師匠って何者なんだ、ますます謎に包まれる。」
これだけお金をかけているのなら入浴料も高いはず、なのにウブラの弟子だからって言う理由で入っていいものなのか。
「いいっすよ。だってここは師匠が建てた風呂屋だからっす。」
「師匠すげーな。じゃあ遠慮なく入るか」
高そうな扉を開け早速男湯に入ろうとレオンは初めはお金を払えた言われたがクロが師匠の弟子ということを伝えてると、本当に無料で入れてもらえた。
「はぁー、今日の疲れが嘘みたいに取れるわー。」
「そうっすね。」
二人とも上を向きながら喋っている。
〜数分後〜
「のぼせる前にそろそろ出るか。」
「そうっすね。」
二人の意見が一致したので体を拭き風呂屋の外に出て来た道をゆっくりと帰って行く二人は家に着くとすぐに寝てしまった。
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本作「異世界でも不運なのかよ!!!。」
を読んでいただき誠にありがとうございます。
どうか今後も末永く読んで頂けると嬉しいです。
また誤字、脱字、感想などをお待ちしております。
今後とも本作を書いていくための強力な力の源になります。感想、評価をしてくださった方、本当に感謝しております。ありがとうございます。