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壊し屋とメイド少年(2)

いつもながら乱文の第二弾です。見てくれてる人いるかな〜?


三人は、街の繁華街へやって来た。朝から人で賑わう大通りには、服屋はもちろんのこと、飲食店や様々な店が並んでいる。


「うわぁ……」


ヒナは目をキラキラさせながら周りをせわしなく見渡していた。


「好きな服選んでいいぞ」「ほぅ、マヒルも男だねぇ」

「てめぇが男として頼りないだけだ」


すると、ヒナは店を物色する中で、ある服屋のショーウインドーが目に付き、ちまちまとその店へ向かった。

ショーウインドーの中には、カシュクール系のツーピースがマネキンに飾られている。


「お、その服がいいの?かわいいーじゃん」

「へー……これはこれは……」


カイはめずらしく女性の服をまじまじと見ている。


もしかして、カイにもとうとう女性意識が出て来た?なーんて……。


「セットで13万8000円(税抜)」

「ストぉぉぉぉップ!!」


マヒルはショーウインドーにしがみついているヒナを急いで引っぺがした。

そして思いが留まらないうちにその場から全速力で離れる。

いきなり走ったのといろんなのとで息が上がるマヒルにカイは言う。


「なんだよー、自分で買うって言ったんだろー」

「……大人にはいろいろ事情というモノがあるのデスよカイくん……」




「ていうかさー、どうせ俺ら絵の無い文字の世界なんだから、ぶっちゃけ服装なんてどーでもよくね?」

「……お前ってたまにシビアだよな」


ていうか今時“ぶっちゃけ“もどうかと思う。








「あーっ!疲れた……喉渇いた」

「こんなんで疲れるなんて年だね」

「そうだね!それが誰かさんのせいでもね!」


その“誰かさん“が誰なのか言うまでもないが、本人は気づいてるのか気づいてないのか、変な平笑いを続けていた。

それがこれまたどうしようもなくむかついてくる。


カイとマヒルが言い合っている間に、ヒナはふと何かに目を留めた。そうして、カイの服を引っ張ってそれを知らせようとする。


「ん?どうしたの、ヒナ」


ヒナは無言で、見る先を指さした。それにつられて、カイとマヒルもその先を見やる。



それは小さな喫茶店だった。










「お帰りなさいませ、ご主人様〜」


レースがくどいくらいついている、歩く度にひらひらふわふわするスカート。まるでメルヘンの国に迷い込んだみた〜い。

……な、そんな外観の中、かわいらしい女の子達が笑顔で迎えて下さった。



「なんでメイド喫茶なんだよ!」

「だってヒナが行きたいって言うから」


しかし、この状況で外に出にくいのも事実。……まぁ茶を飲むくらいならいいかな。


「ホントはうれしいくせに」

「黙れ!」







とりあえず中へ入った三人は、窓際の席に案内された。内装はなんというか……かわいいとしか言いようがない。


「ご注文はお決まりですかー?」

「コーヒーで」

「俺、牛乳」

「同じ」

「畏まりました〜」


可愛いウエートレスさんは、そう言ってカイ達の席から離れて行った。


「……喫茶店で牛乳頼むなよ」

「だって好きなんだもん」「うん」


二人は同じ顔を揃えて当たり前のように言った。

そんな二人に、というか主にカイに呆れて、マヒルはため息をつく。


「はあ……カイ、お前そんなんじゃ恋人もできないぞ」

「マヒルに言われたくない」

「てめぇ……」


見事すっぱりと言い返された。こればかりは返しようもない。


思えば、俺には彼女がいたことがない。自分で言うのは一番痛いところだが、俺はそんなに顔が悪い訳ではないと思う。性格は……カイにはあんなだが女性には尽くすタイプだ。きっと。それでもできないのは、仕事場がオッサンしかいないのと、俺の役回りがツッコミなのと、この作者が少年趣味だからというところだろう。

なんにしても、こいつにヒナという同居者が出た以上、確実に一歩負けているということになる。


「……なんか、マヒルから黒いオーラが出てる」

「ほっときな。いつものことだ」


マヒルはまだ何か言いたそうだったが、カイは急に立ち上がると、どこかへ行こうとした。


「あ、おい!何処行くんだよ」

「小便」

「あー……そう……」


マヒルはカイが行くのを見送ってから、どっと疲れたように腰をついた。


「はー……、あいつも全く……」

「……いつもああなの?」


珍しくヒナが口を開いた。そういえば、ヒナはあまり話そうとしない。カイといる時はたまに話すけど。人といるのが慣れてないのか、それとも……。


「まぁな、かれこれ長い付き合いだから……もう慣れたけど」

「……ふぅん」



それだけ言って、やっぱりヒナは黙りこんでしまった。






「なあなあ、ねぇちゃん、かわいいねぇ」



マヒル達が座る後方から、少し騒がしい音が聞こえて来た。

それは、掃除中の定員に絡んでいる。いかにも柄の悪そうなチンピラ共だった。



「ご主人サマのいうことはなんでも聞くんだろ?」

「じゃあオレらとこの後どう?」

「調教したげるよ。ギャハハハハ!」


どうやらナンパらしい。なんともベタな……。しかも店内で。

しかし、周りの客は見て見ぬフリ。囲まれている赤いスカートの栄えるメイド姿の定員は今にも手を出されそうだ。




「……お客様、困ります」


定員は、モップを両手で抱えながら、やけに淡々と言った。


「えーいいじゃんか」

「いこーぜ」


男の一人が、定員の手を掴もうとした。

――瞬間、


男の顎目掛けて、

下からモップの柄が突き上げられた。



「ぷぎっ!」


男は変な声を上げて、後ろの誰もいないテーブルへとダイブする。


チンピラ達も、他の客も、マヒル達でさえも、こればかりは唖然とする出来事だった。その場は波が引くように静まり返る。


定員は、モップを宙で一回転させてから、地面に勢いよく叩きつけた。それには少しの怒りが込められているように思える。


「困るって言ってんだろ……ガキ共が」


そして、先程の可憐さが嘘のように一変して、驚く程ドスのきいた声が響いた。

赤いくせっ毛のメイド定員は、鋭い瞳でチンピラ達を睨み付ける。


「なっ何ぃ―――!?」

「てめぇ!!」


それにはさすがのチンピラ達も頭にきたらしく、定員目掛けて拳を降り降ろした。

しかし、定員の方はまるで子供のお遊びのように、軽々とチンピラ達の攻撃をかわし続けた。

周りの客や定員達はもはや止める気もなく、店の端に避難している。


次に男が体ごと突っ込んで来ると、定員はわざとぎりぎりまで見極めてかわし、男は他のチンピラに衝突した。


「ぐあっ!」


メイドは近くの窓際に立つと、チンピラ共を見下ろして嘲笑うように言った。


「ほらほら、どうした?この程度ですか〜?」


気を逆なでられたチンピラは、頭の線を一、二本切らせて窓際のメイド目掛けて拳を向けた。


「なめんなぁぁぁぁ!」


メイドは窓のヘリを蹴って拳が向かう一歩手前に宙へ飛び上がった。生き場をなくした男の拳は先程までメイドがいた窓ガラスを粉砕した。


その衝撃と音に戸惑ったチンピラだったが、それがいけなかった。

もう頭上には、蹴りを構えて宙に浮く“そいつ“がいたのだから。


大きな衝撃音を響かせ、見事頭部に渾身の蹴りが入ると、チンピラは声もなく吹き飛ばされ、奥の壁に激突した。そしてそのまま倒れて動かなくなった。

チンピラ共はメイドにより全員やられてしまった。




「すっげえ……あの子強え」


後ろでこんな惨状が広がっているにもかかわらず、全く逃げようとしないあんたらが言うセリフではない。





「あー、びびった。まさか水流すところが壁についているとは……。時代は変わったなぁ」


そんなところへ、やっとのことカイが今更どうでもいい理由を言いながら帰ってきた。

それにメイド定員も気づいてカイを見る。

――と思ったら、


「図にのんなよ……ねぇちゃん」


倒れていたチンピラの一人が、そこにあった果物用のナイフを手に取って、カイの背後にゆらりと立った。


「カイ!」


マヒルが叫んだ時には、もうチンピラが走り出してた。


「ん?」

「死にさらせや!嬢ちゃん!!」





「邪魔」



メイドの定員へ向かおうとして横を通りかけたチンピラを、カイはまるで蚊を弾くように片手一本で吹き飛ばした。


男は窓ガラスから天空の彼方へと飛ばされ、やがて星となる。

その一部始終を窓から見送るマヒル達。


「……結局可哀相な人だったな……」





カイは全く悪びれない様子で辺りを見渡す。


「なーなー、これなんの祭?俺がいない間何が……」


――と、カイが話そうとした瞬間、

メイド定員は急にカイの顔を引き寄せた。カイの首は見事90度に曲がる。





「……君、かわいいね。僕好みだ」



沈黙







「は?」




その場にいた誰もが硬直する中、メイド定員はスカートの裾を上げて軽く膝を折って挨拶した。


「僕、ルイっていいマス。メイド喫茶のNo.1定員です、今後ともご指名よろしく☆」


「はぁ?」


なんだか大変なことに

なってしまったらしいです……。

カイの運命やいかに!


なんかめちゃくちゃ長くなりました…。そして今までのどれよりも説明文が長い!……もっと小説をうまく書きたいです(泣)

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