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壊し屋とメイド少年(1)

今回もまた変なノリでがんばっているカイくん達です。しょっぱなからすごいことになっていますが、どうか笑ってやってください(笑)


それは心地のよい朝のこと。


「全く、あいつ、また寝坊かよ……いい加減起こしにくる身にもなれっての」



あるアパートの一角、

錆びれていかにも家賃が安そうな四階建ての。

そこへ、怒り半ばに階段を踏み締めながらやって来たのは、冴えない独身男マヒル。


「やかましい!」




ツッコミはさて置き、

マヒルが何故わざわざここに来たかと言うと、いつものように夜行性で9時になってもなかなか起きて出勤しようとしない。そう、“あいつ“を叩き起こすために来たのだ。


「おーい、起きろ―」


ドンドン。

ドアを二回くらい叩いて少し大きな声で呼ぶ。


返事は無い。



「おーーーーい!カイ!」


ドンドンドンドン!

かなり大きな音と声を出してみる。


返事は無い。



……いつものことだ。

が、ここで引き下がるマヒル様ではない。


「ったく……まだ起きねぇよ……あのクソ猫!」



マヒルはしまいにゃドアを叩き壊す勢いで、部屋のドアノブに手を掛けた。


……驚く程簡単に開いてしまった。


まさかチェーンさえ付けずに鍵が開いているとはマヒルさえ思ってもいなかったことだ。

なんて無用心な家だ…。

泥棒でも入ったらどうするつもりなのだろうか。

……まあ盗まれる物さえないだろうが。



仕方ないので勝手に上がることにした。


「おーい、カイー。いい加減起きろー」


ギシギシと軋むフローリングの床を踏み締めながら、マヒルは中へ入って行く。やはり返事は無い。


しばらく行くと、廊下際の部屋にたどり着いた。半開きになっている部屋を見て、マヒルは確信した。


「おい、カ………」


扉を開いて、中を覗く。







その時、彼は見てしまった。驚異の妖精らが眠る秘密の花園を。それは、そうまるで噴水が沸き上がるように青年の心を燻った。

無邪気に絡まる白と黒の体はどちらも...以下略

※映像がない分、行き過ぎた文章によって描写しています





「…………」


マヒル、思考限界点突破。

見たままで言えばそう、カイとヒナが同じベッドで寝ている。

……だけ



ちょっとちょっと、アレ、これこんな話だっけ?ええー?昨夜のウチに二人共そんなことになっちゃったの?どーすんだよ。これってアクションコメディーじゃなかったの!?まさかのラブコメディーだったの!?『すいません、信じて見にきて下さった皆さん、これ実は18禁なんです』とかそんなオチなの!?




「んー?何、うるさいなー……」


そこで、やっとのことカイが起きたらしく、眠たそうな目を擦りながらベッドからはい出て来た。


「あれ?……マヒル?何して―――」


瞬間、マヒルはマッハ3くらいのスピードでカイを掴むと、脅威の速さでカイもろとも締め出した。


「これはどーゆーことかナカイくん。説明シテクレルカナァ?」

「朝から何でカタコトしゃべりなんデスか?」


マヒルはなんだか今にも泣き出しそうだ。


「何じゃねぇよ!てめぇー!お……俺より先に大人の階段登りやがって!していいことと悪いことってのがあるだろ!どうすんだよ、これを見て下さっている全国の労働者や学生やお茶の間の皆さんになんて言えば……」

「は?ごめん寝起きのせいか、マヒルの言ってる八割もわかんない」


カイも少し、っていうかかなり混乱気味。


「だから―!な、何あられもない姿のお……女の子と一緒に寝てんだよ!」


その問いに、カイは間が抜けたように目をぱちくりさせた。


「……あー、ヒナ?昨日から俺んとこ住みついてるけど」

「は?」

「『どうせ僕、行くとこないし、カイのとこ居候させて』……だそうです」


「引き受けんなーーーー!!」


マヒルの頭大爆発。


「だってー……野良猫にしとくのもかわいそうだし」「だからって!いい年した男女が同じ屋根の下に!」


何故かマヒルは必死になっている。……でないと、彼女イナイ歴の先輩の立場が無いからだ。


「だって、勝手にベッドに入ってくんだもん。あいつ」

「そうゆーことじゃねーんだよー!!」




すると、部屋の方から、長い声で唸る声が聞こえてきた。カイとマヒルはその声を聞いて、再度部屋のドアを開く。





「……何?……うるさい……」


そこにはYシャツ一枚姿のヒナが……



ドッカーン!!

↑マヒルの何かが壊れた音



マヒルはまた疾風の如くカイを部屋の外へつまみ出した。


「※声に鳴らない声」

「あ?なんだって?」


「っっっ女の子になんっっっつ――格好させてんじゃあ―――――!!」


いい加減にしないとこのサイトから追放されますよマジで。


「だって俺男もんしか服ないし」

「せめてズボン履かせろズボン!」

「あー、大きいからワイシャツでいいって言ってたから」


マヒルはまたそこで何か言おうとしたが、とうとう怒りのHPが切れたのか、かなり深いため息をついた。


「お前……ホント何も思わないんだな」

「うん」

「そんなんで大丈夫なのかよ?」

「何が?」

「いや……こっちの話」







――という訳で


「まあとにかく!同じ家に暮らすんだ。ヒナも女の子らしい服着ないと!」


朝の騒動で、ヒナの着る服を買いに行くことに決めちゃったマヒル。


「僕、べつにカイの服でいいよ」

「だまらっしゃい!女の子が男と同じ服でどうする!」

「男・女うるさいナー」


なんだかわからないが、マヒルは行く気満々で勢いよく腕を空へ突き上げた。



「いざ、買い物へGO!」


ヒナも続けて腕を上げる。…が、カイはなんだか心にひっかかるものがあった。


「なんか忘れてる気がするけど……」



ま、いっか。


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