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転生したので貿易していこうと思う  作者: もちぞう
第一章
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出会い

 とりあえず、買取してもらって懐が潤った。ベンノさんには随分とお金を払ってもらって、俺もホクホク顔だ。趣味で切子のようなグラスを作ったら胡椒より高く売れた。まあ胡椒も高いんだろうけど、グラスや皿のほうがインパクトがデカかったようだな。金貨30枚も出してくれるなんて、思ったより大きな収穫になった。帰りの足取りも軽い。もう一度、訓練場によっていろいろ作っていこうかな。よし、そうしよう、そうすればまた稼げる。


訓練場に戻ってきた。


すると子供たちが声をかけてきた。


「あの、さっきなにかやってるみたいだったようですけど何をされてるんですか?」

「ああ、グラスやら皿やら後は役に立ちそうな物を作ってたんだよ。どうかしたか?」

「いえ、綺麗な物や不思議な物を作ってるので、どうやってるのかなと思いまして。」

「そうか?そんなに物珍しいことじゃないと思ったんだがな。ここいらの人はやらないのか?」

「ええ、あまり見かけないですね。魔法だけでそんなことができるんですか?」

「まあ、やったらできたってところだけどな。なんだ、教えてほしいのか?」

「いいんですか?ぜひともお金の元を手に入れたくてですね。本当に教えて貰えるんですか?お金はありませんよ?」


なにも持ってないというアピールをする


「まあ子供からむしり取ったりするほど金にも困ってないし、競争相手になるほど魔法が上手そうにもみえないしな。教えてもそんなに俺は困らないから、いいぞ。」

「それじゃあ、どうもよろしくお願いします。!!」


しゃべっていたら子供たち3人が囲ってくる。男三人が囲ってくるが全然威圧感はない。俺は中央に座って陣取る、そして手元を見やすい位置に三人とも移動して座る。


「何から教えようか、何がいい?」

「綺麗なグラスがいい!!」

「俺も!!」

「そうか、じゃあグラスにするか。まずグラスの形に魔力を形作る、その中にガラスを流し込むように想像して魔力操作して出来上がりだ。」


まずは無色透明のグラスを作って見せる。


「おおー、スゲー」

「やってみな」

「はい!」


「うーん、ガラスよ、グラスを形作れ」


なかなか形作るのが難しいようだ、そしてガラスに気泡が入っている。気泡は想像次第で何とでもなる。

一人、なかなか筋が良さそうなのがいる。形はほぼできていて気泡が入っているだけのやつがいる。


「気泡を消すイメージを付け加えてやって見な。」

「はい」


「こんな感じですか?」


出来上がったグラスを見せてくる。うーんかなりいい線いっている気がする、少し形がいびつな部分もあるが気泡もなく、澄みわたった透明になっている。


「いい感じだな、形がほんの少し(いびつ)になってしまっているのがおしいぞ。」

「はい、ありがとうございます。精進します。」

「ああ、難しい言葉知ってるんだな。」

「いえ、」


無口そうな、筋のいい子が答えた。どうやら土魔法というか召喚魔法が得意そうだ。他の二人はなかなかうまくいきそうもない。同時にやるのが難しければ、一つづつ条件付けしていけばよいのだ。それが中途半端に想像で補うといびつになったり気泡が入ったりする。ちゃんと条件付けされていない部分は物理法則に従って、より(やす)いほうになっていくようだ。


「筋がいいから、何日か練習すれば完璧になると思うぞ、今集中すれば上達すると思うがな。」

「はい、」


やる気に満ちているのかすぐに集中し始める。その間自分も皿づくりを続ける。いろいろな幾何学模様を刻んでいく、集中すればするほど細かい模様になっていく。いつの間にか、三人とも俺の手元を見ていたようで、「すげぇー」とつぶやいていた。三人はまだ無地の透明のグラスに挑戦しているので、色付きの切込み入りは高度なことをやっているように見えるはずだ。


「色を付けるのはどうやってるんですか?」

「グラスの外側半分を指定して青色のガラスを流し込むイメージするんだ。」

「難しいですね。」

「まあ、やってるうちに慣れてくると思うぞ。」


近道はない、地道に感覚をつかんでいくしか道はない。俺も何回も練習したしな。何回か練習しただけで出来るのは、ちょっと異常のようだけどな。(笑)これも神様からもらったものだと思っておくかな。


「兄貴すごいですね」


リーダーっぽい子が言ってくる。


「兄貴ってなんだよ、いつの間にお前の兄貴になったんだよ。(笑)」

「だってただでものすごい魔法を見せてもらってしまって、もう兄貴と呼ぶしかないと思って。」

「そうかい(笑)、好きにしな。」

「はい、兄貴!」

「兄貴!」

「お前ら呼びたいだけだろ(笑)。」

「俺ら孤児でして、兄貴ができたのは初めてだったものでつい。(照れ笑)」

「お前ら孤児だったのか、生活はできてるのか?」

「はい、やっと冒険者になれて薬草採取でお金は稼げるようになったんですが、なかなか見つけるのに苦労して、森の奥に入るにはまだ早いので、なかなか見つけられなくって大変でした。それに、まだ小さい子もいるので、その分も稼がないといけないので少し大変なんです。他の子も働いてますけどね。」

「そうか、グラス作れるようになれば、安全で高い金が稼げるようになるもんな。」

「はい、そうなんですよ。」


グラスで、稼げるようになれば、安定的に収入が入ってきて随分楽になるだろう。


「お前らが最年長なのか?」

「はい、今は俺らが最年長です。」

「前はもっと上がいたのか?」

「はい、だんだん上の年の人たちが働きに出てって帰らなくなっていくんです。たまに様子を見に来てくれる人もいるんですけどね。」

「どこに住んでるんだ?」

「スラム街ですよ。」


この町にそんなところあっただろうか?。


「どこにあるんだ?」

「西の端っこの方です。お金のない人たちが廃墟に勝手に住み着いているんです。」

「そうか、そんなところにあったんだな、まだ一度も行ってなかったな。試したい魔法もあるし連れてってくれないか?」

「何するんですか!?うちには何もありませんよ?」

「ちょっと建築魔法を使ってみたくてな、ぼろ屋ならちょうどいいかなと思ってな。」

「本当ですか!!?綺麗にしてくれるんですか?」

「まだ使ったことがないから上手くいくかわからないけどな。こういうことは自分たちで試してみないのか?」

「自分たちでやってもあまりうまくいかなくて、継ぎはぎだらけって感じです。」

「そうか物は試し、つれてってくれるか?」

「はい、行きましょう」


そういうと皆が一斉に立ち上がる。無口な子もある程度コツはつかめたようなので(きり)もいいだろう。


リーダーの子が先頭を切って歩いていく、それに続いて二人と歩いていく。リーダーの子はギルといい、無口の子がダルでもう一人がサージというらしい。ギルは金髪で悪ガキといった感じの風貌だ、ダルは灰色の髪の毛で物静かな感じ、サージは茶髪の普通の子って感じだ。その三人に連れられて、スラム街に向かっている。歩きながら自己紹介してたわけだ。子供たちも全部で8人くらいいるそうだ。女の子もいてなかなか大変そうだ。ただ今の時間は働ける年齢の子が働きに出ているのでちびっこしかいないようである。ちなみに、ちびっこは3人いて家で遊んでいるようだ。もしかしたら家の外で遊んでいていないかもしれないとのことだった。スラム街だからと言って治安が悪いという事はなく、みんな働いているようだった。


そうこうしていると、どうやら自宅(廃墟)についたようだ。ぼろいが家の原型はとどめており所々修復された跡があった。


「ついたようだな、」

「はい、この家です」


一軒の住宅がそこにはあった、三角屋根の木の屋根がある普通の平屋建ての住宅だ周りの家も古いのか所々壊れているところが見受けられる。


「早速直すが、とりあえず中も見ていいか?」

「はい、いまは誰もいないようなのでどうぞ。」

「おう、」


家の中に入って行く。まず玄関、木製のドアがありまあまあ年季が入っている。中に入るとリビングで大きな部屋になっていた、その部屋の横に二部屋あり寝室になっていた、一応男女で分かれているようだ。一応トイレもあった汚かったが・・・。これはトイレも作り直したほうがいいな。


「おし、トイレから直すか、」


家は大体土で出来ておりそれを固めたようになっている。とりあえず、トイレを石張りにして、便器もつるつるにする。穴を深めにして、スライムでも入れれば大丈夫だろう。


「今度町の外に行ったときスライムでも捕まえて入れておけよ?」

「はい、わかっ、わかりました」

「敬語が苦手なら無理しなくていいぞ?」

「練習ですから」

「そうか、ほどほどにな。トイレも終わったし外殻をいじるか。外側も石でいいか?」

「はい、でも地面は石だと冷たいので土でお願いします。」

「了解、じゃあやるか!」


家の中で、様子を見ながら魔法を使っていく。家具などはほとんどないので、気にせずにやる。とりあえず壁や床を石に変え、そのあと床だけ土を薄く張っていく。屋根は所々雨漏りしそうなので内側にもう一つ屋根を張る。これで一安心だ。崩れる心配もなく上手にできたのではないだろうか。


「こんなんでどうだ?」

「はい、とっても綺麗で見違えました。」

「そうか、新築祝いに布団を送ってやる、喜べ。(笑)」

「布団ですか、ありがとうございます。最近寒くなってきてたので助かります。」

「ここにまとめて置いとくぞ。」


貿易を操作して8枚布団を出してやる、結構な量だ。


「ありがとうございます、うわ!!ふっかふかだぜきもちいいー!」

「喜んで貰えて何よりだ」

 

これで当分は何とかなるだろう、グラスの造り方教えたしな。


「魔力操作はなんにでも使うからな、鍛えておけよ。」

「はい、今日はありがとうございます、兄貴」

「おう、あと魔法を上手く使えば塩も作れるからな、やってみたらいいさ、飯が上手くなるからな。」

「そんなことまで!!わかりました!」

「他の人には言うんじゃねーぞ、塩売って稼ぎたいならな。」

「はい、そうします。」

「コツは塩のことを思い出しながら、イメージしてそのまま魔力を流すことだ。やってみな」

「おお!!できた!!こんな簡単にできるなんて!」

「じゃあちびっ子たちによろしくな」

「はい、何から何までありがとうございます。」

「「ありがとうございます」」

「じゃあな」

「「「はい」」」


そうして、スラム街から去っていく、それにしても筋が良かったな。子供のほうが想像力と発想が自由だからかな。他の人には難しいかもな、あと見本を見せたのが良かったのかもしれない。想像力は大切だが見た目、イメージ(りょく)の力も大切だろう。見た映像がイメージにつながるからな。



 




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