休日
おはよう、今日は週一回ある休みの日だ。ギルドマスターのはからいで早めに休みをもらうことができた。仕事で使う文字などもなぜか読めるようなので、かけることも確認しておいた。そういう仕様になっているのが何となくだけれどわかった。今日はせっかくの休みという事で魔法の練習をしていて、この前は検証できなかったことをいろいろと検証している。
例えばだが、魔法自体が召喚魔法を前提としていて、それを変化させるというのが、魔法なのではないかという結論に至った。これは、初心者の俺が考えた事なので当たっているかはどうもわからないが、外れという事はないように思える。この世界には、火・水・風・土の魔法があるだがその魔法を使おうとしたとき、その場に火や水があることは少ない。そのため、魔法を使うときにどこかから呼び寄せているのではないか、という事だ。このことは、土や風魔法を使うときに魔力を使うのが少なくて済むことからもわかる。よって魔法を使うとき知らず知らずのうちに召喚魔法を使っているという事がわかった。そのため、逆に言えば召喚魔法を使っているため、いろいろな物を召喚できるのではないか、と思い立った。
それは物質、鉄や鉱石のような土の中からとれるものから、ゴムや木などのそうではない物を召喚できるかという事で実験したのだが、物質に入るゴムは召喚できることが分かった。鉄や鉱石はもちろんのことゴムまで精製できるとは思わなかった。しかしこれは、役に立つこと間違いなしだ。
ゴムは色々なところに使える。靴やタイヤなどからグリップや手袋などたくさんある。それに、ほかの物質ができるという事は、砂糖や塩なども作ることができるという事だ。これは、大きな発見である。これによって生活が豊かになるはずだ。
これらのことを訓練場の片隅で試行錯誤しているわけだ。胡椒などの木の実はできなかったが、漆などの樹液は召喚できた。その違いは僅かだが、確実な差があるのだろう。あと、魔法で召喚・錬成できることを知っていればもっと生活が豊かになってるはずだ。しかし、それが行われてない可能性のほうが高い。いままで、そのような話は聞いたことがない。俺は、こちらに来て三日くらいしかたってないが、あまり聞いたことはなかった。
それはともかくとして、作りたいものが結構あった。まず靴底である。こちらに転移なのか転生なのかしたときに服装や恰好もこちらの物になっていたため、靴もこちらの革靴になっている。それの底をゴムに変えようと思う。ゴムにも固さがありそれを使い分けて履きやすいものにするため、ちょうどいい硬さになるまで調整する。それを靴底にくっつけて完成だ。
「うむ、歩きやすいな。」
軽く歩いたりジャンプしたりして感触を確かめる。なかなかの出来だ、これなら売ることもできそうだ。それとゴムと言えばゴムタイヤ、これは作ってアイテムボックスにしまってある。柔軟性のあるゴムを探しているときにできた。合成は魔力を混ぜ合わせるようにイメージしてから錬成するとできた。頭の中で一度混ぜ合わせるところをイメージするのがコツだ。
それから、俺がほしかったものはタンブラーだ。真空加工されており、熱効率が良く冷めにくく温まりにくいものだ。これは水筒にも使えるので同時進行で作った。ステンレス鋼を使って作ることにした。この時ステンレスを作るのにはさびにくい熱を通しにくいというイメージをして召喚したら、ステンレスになった。最初からステンレスにしようとしたわけではない。
こうして、明確にイメージして形を決め真空にするとタンブラーが出来上がっていた。水筒もできていた、コップになるふたの方もタンブラーにした。そして究極の水筒が出来上がった。
他には土で出来た素焼きの入れ物(塩を入れるための物)を作ったりグラスを作ったりした。グラスは色付きの切子のようなものを作った、綺麗なので。ぞくぞくと酒飲みが欲しがるようなものばかり出来上がっていく。(笑)もちろん量産した。
「ふう」
一息ついた、自分の作ったタンブラーに自分で作った水を入れ冷やして飲む。
「はあ、美味い」
何とも有意義な一日だな。
貰ったナイフの強化も忘れずにやっておく。
強化と言えば身体強化の魔法も試しておく、すごい力を出せるようになった、岩を持てるしその状態で走れるし何でもありだ(笑)。それなりのことはなんでもできそうだ。
休日は満喫した、後は買い物でもしてのんびりといこうか・・・。そういう事で今回は金策のために、商業ギルドに胡椒と塩を売りにきたわけだ。市場で市場価格をたしかめてっと。商業ギルドについて、塩と胡椒を売りに来たことを伝えると、ギルドマスターが出てきた。
禿げててお腹の出たいかにも商人といった格好のおじさんが出てきた。
「これはこれは、私はベンノと言いますどうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。タクローといいます。」
「お座りください。今日は塩と胡椒をお売りになられるという事でよろしいですか?」
「はい、そうです。」
塩と胡椒を一瓶づつテーブルに取り出して見せる。
「っ!!アイテムボックスですか、素晴らしいですね。商人が夢見る能力の一つですね。この瓶も綺麗で整っていますね、見せてもらってもよろしいですか?」
「はいどうぞ、確かめてみてください」
瓶を検証の時に作ってそのまま胡椒や塩を詰め込んでいたのが幸いした。
「確かに本物ですね。それもどちらも混じり物がない高級なものですね。胡椒は金貨5枚、塩は金貨2枚と銀貨90枚ですね。少量ですがどちらも品質と瓶が高級なのでこの値段になりました。どちらも瓶の値段が金貨2枚と銀貨50枚です。よろしいでしょうか?」
「はい、その値段で結構です。まだ持っているのですが買取していただけますか?」
「はいまだまだ大丈夫ですよ。」
アイテムボックスを持っているためかキラキラした視線を送ってくるベンノ。
とりあえず準備していた瓶を9本ずつ出した。
「おおー、どれも均一で美しい、同じ値段で買いましょう。」
「まだお皿やグラスもあります。」
「き、綺麗だ!!!なんという美しさこんなものがあるとは!」
切子の皿やグラスを出したらすごく気に入ってくれたようだ。
「金貨30枚出します!!どうか譲ってください。」
「ええ、いいですよ。」
これでかなりの額になった、良かった良かった。
という事で金策は終わりました。