銭湯
異世界の朝は早い。前の世界での生活が嘘のように早起きである。空が明るくなり始めた所で起きる。ギル達はもう起きだしているようだ。昨日の雰囲気が嘘のように皆元気だ。よかった。自分でも慰めるのはあまり得意ではないので、どうなるかと思ってたところだった。慰めるのが得意な奴なんているのかね・・・
。
まあそれはともかくとして、今日も仕事だ。遅れないようにいかなければ、サーシャも朝から早い出勤のようだ。ギル達はもちろんジークも早いようだ。ジークとは、ギル達意外に働いてる二人のうちの一人だ。昨日名前をおしえてもらった。みんな朝から残り物のシチューを食べている。元気で、うめーうめーいって食べている。これなら作った甲斐があるってもんだ。どうせなら、ここに住んではどうかと、三人組とサーシャが言ってくる。他のみんなも賛成はしているようで肯定的だ。そこでここに住むことに決めた。子供たちが心配なのが大きいが、こちらに住んでいれば風呂も入れるし、何かと便利なような気がする。
「よし、じゃあ改めてよろしくな、新しい家族の一員として迎えてくれれば嬉しい。」
「もちろん、歓迎するよ兄貴」
「そうだよ兄貴」
「そうですよお兄さん」
「兄貴」
「そうそう兄貴」
「「「兄貴兄貴」」」
「そういってもらえると嬉しいよ。そろそろ仕事の時間だし行ってくるよ。」
「「「いってらっしゃい」」」
「俺たちも行こうぜ。」
「私も行ってくる。」
「じゃあ俺も。」
ギル達、サーシャ、ジークも行くようだ。いってらっしゃいと声を掛け合う、そんな日常がどことなく嬉しい。そんな一日の始まりであった。
ギルドにつくと、昨日は帰らなかったんだね、と聞かれた。
「ええ昨日は、あの子たちの家に泊ったんです。泊って行っていいって言われたので。」
「そうなの、ずいぶんと仲良くなったわね。」
「どうなんですかね、仲良くなれてたら嬉しいですけど。」
「いきなり泊めるんだもの気を許してる証拠だわ。」
それは良かった、あの子たちにとって信用できる大人になれたなら嬉しいことは他にない。子供たちの喜ぶ顔が見れるのは俺にとっても嬉しい。
「今日からあの子たちの家に住むことになったんですよ。」
「っ!!?急展開なのね!どんだけ仲良くなったの!?」
「あははは、ちょっと料理を作って、一緒に食べて、一緒に風呂入って、寝ただけですよ。」
「お風呂!!お風呂があるの!?それに異世界の物を一緒に食べたんでしょう!?ずるいわ!」
「ずるいといわれても・・・(笑)お風呂は作ったものですし、皆さんも一回は食べたじゃないですか?」
「そうだとしてもお風呂はずるいわ!私も入りたいのに!家に作ってしまうなんて、非常識だわ!」
「落ち着いてください、お風呂は作るのに場所をとるし今度入らせてもらっては?」
「そ、そうね、交渉してみるわ。」
「混んできたのでそろそろ・・・。」
「わ、わかったわ」
それぞれ仕事に戻っていく。今度お湯の作り方でも教えとくかな。あいつらなら自分たちでできるようになる可能性もあるしな、普通に作ってみろって言えばいいかもな。お風呂があるって混雑したらどうしよう。ただのスラム街だしな、なにかあったら大事になりそうだな。どうせなら、大きい風呂作って銭湯とかやったらどうだろうか。商業ギルドに行って話したらできそうな気がする。大きな川も近くに通ってるし、水の確保も大丈夫だろう。この世界、男女が分かれていないから大丈夫か心配だが、トイレなどがいい例だ。この世界男も座ってするため全部が個室仕様だ。外だと小便は立ってするが中だと座ってする感じだ。なかなか不便は多いだろう。
トイレにスライムを入れるのだって画期的だと思う、ギル達はあまり反応していなかったが、トイレがひとりでに綺麗になっていく、なんと素晴らしいことだろうか。これは、広めたら売れる発想だろう、今度商業ギルドに売りにいこう。風呂の件といいトイレの件といいなかなかいい発想だと思う。暮らしがだんだん豊かになっていくのを感じる。こうして徐々に変わっていくんだなと思う。
さて仕事仕事、といってもあまり仕事はないのだが、暇なので考え事をしているというわけだ。銭湯でもつくってそこで冷えたエールやビールを飲ませれば最高に儲かるだろう。ギルマスと話しを進めたくなってきた。ただ、どのくらいの金なら入りに来てくれるだろうか。鉄貨5枚あたりだろうか、500円か少し高いな、鉄貨3枚ならもっと入ってくれそうだな。
そして、鉄貨1枚追加で石鹸を貸し出すか。それで、併設した食事処で飯も出したら売れるだろうな。もしかしたらテナント料払ってもらって入ってもらったほうがいいかもな。自分で経営するのは大変そうだし、お金の管理がめんどくさいだろう。なので、調味料などを卸して異世界風の料理を作ってもらうのもいいかもしれない。
やはり話したくなってきた
「いま抜けてもいいですか?」
「いまはあまり忙しくないだろうけど、どうかした?」
「商業ギルドに、お風呂を作らないか聞きに行こうと思いまして。いうなれば風呂屋ですね。」
「それはいいわね!!」
「いまは、買取の人が少ないので、行ってもいいかなと思いまして。」
「何やら面白そうな話をしているな?」
ギルマスが現れた。
「・・・というわけで、少し外に出てきたいんですけどいいですか?」
適当に説明する。
「うーむ、この町の利益になりそうだしな、良いだろう、行ってこい。」
「ありがとうございます。」
そういうと、ギルドを出ていく。
商業ギルドに行ってギルドマスターに会う。そして、ここに来た経緯を話す。そうすると、ベンノさんも乗り気になったのか、色々なことを聞いてくる。お湯のことや建物のことロッカーなど必要な物を聞いてきた。それについて自分の意見を言っておく、そうすると、ある程度質問したところで納得してくれた、ただ経営を任せると言ったら、なぜなのか聞かれたので、めんどくさいからですとだけ答えた。そこはあまり納得してもらえなかったが、何とか話自体は通すことができた、実際にやるかどうかはまだ決めてないが、話は聞いてくれるようだ。あとはどんな話をしてどんなことをしていくかを言ってやる気を出してもらうほかない。
今はそんな感じで話が進んでいる。
どんな外見にするのか、これは俺がパルテノン神殿のようにしたいと原案を出した。
それもどんなふうに作るのかという事になって魔法で作っちゃいます。と答えたら、そんな魔法が使えるのかといった質問があった。
それには、使えて自分の思い道理にものを動かせるという説明もしておく。これで困ったときは手伝う事ができる。
というかどちらかというと俺が主体になってやっていくことになりそうだ。ギルドの仕事休めるかな。
さっき冒険者のギルマスにあったときに今の家を引き払うことも伝えて置いた。その分給料に上乗せするようだ。
給料は銀貨20枚ほどだそうだ。多いのか少ないのかは個人の判断に任せる。
どうにか作る方向に向いてきたようだ。
温泉がないか探すのもいいな、とりあえず言ってみる。
「温泉を探してみるのもいいのでは?」
「温泉か、探して見つかる物なのか?」
「魔法でやってみればいいのではないかと思います。ちょっとやってみましょう。」
そう言って目をつぶる。
魔法で熱いお湯という条件で召喚するものが近くにあるか確かめる。と、意外と近くにあった地中の数百メートルのところにあった。
「魔法で掘ればすぐのところにありました。」
「そうか、すぐか、なら温泉のほうが良さそうだな。」
「はい、お湯を沸かす人件費もかからないですし、そのほうがいいでしょう。」
「そうだな」
結構やる方向で決まってきた感じだな。よかったお風呂造りに行くといった手前成功しないんじゃないかと思ってたんだよな。温泉探す魔法も上手くいったし大丈夫だろう。そんなこんなで話は進んでいき、温泉・銭湯を作ることになった。俺のプレゼンが功を奏したようだ。
こんなに上手くいくとは思ってもみなかった。着工の日取りを決めて、今日から始めることにした。そして、場所が大きくとれるスラム街に立てることに決まった。これでスラム街にも活気があふれるだろう。余計なお世話かも知れないが、活気があるのはいいことだ。
まず始めに場所を選定してその場所に建物を建てる。スラム街の広場になっているところに場所を決めそこに建てることにした。まず、パルテノン神殿のような外観を作る、入り口は一つで中で二つに分かれるようにする。そこに受付を備えて、男女どちらも受付できるようにする。
中の更衣室は大きめに取り混雑しても悠々と入れるようにしておく。風呂の中は、洗い場と風呂場を作り、洗い場は、地下からくみ上げた温泉を使うようにした。風呂場は広く取り浅いところと深いところを作る。
風呂にお湯が出るところはライオンの彫刻を作りお湯が出るように加工する。室内も雰囲気があるようにして、過ごしやすくする。サウナも作り、水風呂も作り客層が分かれるようにした。
下駄箱を用意し木の札で出し入れできる簡易の下駄箱を用意する。ロッカーは手に鍵付き腕輪をするタイプのロッカーにし、受付でカギを受け取り、その番号のロッカーを使うようにしてもらった。
出入口と受付の間に休憩所を作り、そこで飲み物の販売もするようにした。もちろん飲み物は冷えたものを魔道具で出せるようにした。水とエールとミルクを取りそろえられるようにした。魔道具はそろえるのに時間がかかるようだ。
これで大体出そろっただろう、後は、温泉を掘るのみ、という事で温泉を掘っていく。魔法で探知した場所に一直線に魔法で掘っていく。まもなく温泉に当たり、湯が吹き上がってきた、勢い良くライオンの口から湯が出てくる。成功だ、思ってたより上手くいっている。
前に言った通り石鹸は受付で借りて、返すスタイルだ、タオルも借りられるようにしよう、ふわふっわのタオルを借りられるように、受付に大量に準備した。飲み物販売のグラスも、自作の透明なものを大量に置いておいた。
一日でかなり進んでしまった(笑)ベンノさんは唖然としている。しばらく使い物にならなかったが、一緒に館内を歩き回って不備がないか確かめているうちに再起動した。だんだんお客目線でいろいろ言ってくれるようになったので助かっている。
結構とっ散らかった思考になってしまったがこんな感じで完成を迎えるっことができた。後は従業員を雇って訓練してといろいろある、なので後はベンノさんに任せて、自分は元の仕事に戻る。今回は共同出資者として儲けの半分をもらうことになった。
ちなみにだがロッカーなども貿易の商品に乗っている。そして、従業員が揃うまで試験的に、銭湯を運用してみることになった。なったというよりしたのほうが適切だが、ギルド職員の熱烈な要望によりそうなったのだ。
なお、試験期間は無料で入ることができるので混雑が見込まれる。ただあれだけの準備をしたので捌けないことはないだろう。そのことを今ギルドで話しているところだった。話の中では石鹸も自由に使えるようにしてほしいなどいろいろな意見が言われていた。そのため石鹸は自由に使えることになりタオルも試験期間は使えるようになった。そして、洗い場はシャワーが並んでおり温泉が出るようになっている。それらは、皆が使えるようになっており好評だ。もうすでに日が変わり試験期間がスタートしている。風呂に足を運ぶのはやはり女性が多かった、持ち前の情報網もあり瞬く間に広まっていった。
男は仕事終わりに入る物が多く、試験的に始めたエールやミルク、水なども飛ぶように売れている。男はまだ客層に余裕があるが、女性はこれでもかというほど押し寄せている。ただ、時間帯が重なっているため、空いている時間帯は空いている。仕事終わりの時間がかき入れ時だ。うちの子たちは時間をずらして入りに行っていた。ただサーシャとジークは混むので辟易としていた。
そんなこんなで試験期間が終わり、普通の営業になったが客足は途絶えていない。繁盛しているようだ。冒険者が意外と入りに来ているのが印象的だった。なんでも、護衛依頼などの前に入って行くのが礼儀となっているらしかった。それに街のシンボルともなりつつあった。
そのため、町の外からも訪れる客が増えたように思う。おしゃれをする前に風呂に入り身ぎれいにしてからというのが、この辺りでは当たり前になった。
他の集団の孤児たちの元へも布団や食事、風呂なども作ってやりに行って、交流もするようになった。そのせいで、兄貴と呼ばれる回数も劇的に増えていった。孤児のグループも3組くらいあり、それぞれが8人前後だ。
これが銭湯計画のあらましである




