プロローグ
少し前までの記憶をたどる。あれは、夜のコンビニに行った帰り道だったような気がする。小腹がすいてしょうがなくというか、いつも通りのことなのだが、コンビニに行こうかと思い立ち夜道を歩いた。コンビニについていつものごとく、安くなったコンビニ弁当を買って、店をでた。その時、目の前が真っ白になってその後、今に至るというわけだ。
特に、何があるというわけではないが、そのような経緯で今に至るわけだ。さて、どうしたものか。周りが真っ暗で何もわからない。いや、遠くに明かりが見えるから近くになにかあるな。
今までのことはなかなかどうして、何が起こっているのかわからないが、とりあえず明かりを求めて歩きだす。だが不思議と、空気が変わったことだけはわかる。なんといえばよいのか、空気がきれいで澄んでいる。
そんなことを考えながら歩いていると、意外に近かった明かりがゆらゆらと揺れていた。火の光だったか・・・ 近くにきて確信をえる。この時代に火の光なんてお祭りかなにかじゃないとつかわないよな・・・
それが違ったことがわかった。その火の光”松明”が門にかかっていたからだ。これまた、その門がなんと大きいことか。見上げるほどあるその門は閉じており、下にある小さな扉だけがわずかにひらいていた。
意を決して、近づきノックする。
コンコン
「ん、なんだこんな時間に」
中から人が出てくる。槍を持ち鎧に包まれた兵士のような恰好をした男だ。そのことに驚き、数秒かたまってしまう。
「なんだ、こんな時間に。夜に門の外は危ないぞ。」
「ここは、どこです?」
「ここはドランという街だぞ知らずにきたのか?」
「知らないうちにこんなところに来ていたんです。」
どうやら日本ではないようだ。俺は何処に来てしまったのだろうか。
「とりあえず中に入りな、外は危ないからな。」
「ありがとうございます。」
中にいれてもらえた。中は、意外と明るく中世の街並みが広がっていて、なぜかワクワクした。こんなよくわからない状況だが、なぜか高揚感が収まらずドキドキしているのがわかる。どうしたものか・・・・
「どうしてここにいるかわからないんだよな?」
「ええ、そうです。」
「そりゃあ、転移か何かかもしれない。」
「そうですか・・・・」
「ギルドマスターなら、なにか知ってるかもしれないな。あってみるか?」
「はい、何かしら手掛かりがほしいのでよろしくお願いします。」
「じゃあいくか!」
「はい」
門番の男は隣の男に後のことを頼むと、「ついてこい」といって俺を引き連れて歩いていく。大通りをまっすぐ歩いていくと左に大きな建物が見えてきた。そのまま中に入って行く。そうすると、酒場があり結構な人が酒を飲んでいた。その酒場の反対側に受付の様なところがありそこへ向かった。受付にいる女の人に話しかける。
「おい、ギルドマスターはいるか?」
「はい、いらっしゃいます。」
「ちょっと取り次いでもらえるか?」
「少々お待ちください」
そういうと女の人は奥の階段を昇って行った。女の人に違和感があって見ていたら、なんと猫耳が生えていた。どこの世界に来てしまったんだろうか、まさか、夢の中じゃないだろうな。そんなことを考えていたら、女の人が戻ってきた。
「お会いになられるそうです。」
「そうか、助かる」
そのまま2階に案内されていくと、突き当たりに大きな部屋があった。女の人が扉を開けてくれたのでそのまま入らせてもらう。
「しつれいします。」
「おう、入ってくれ」
中に中年の男性が座っていた。それも筋骨隆々の男だった。軽く会釈しながら入って行くと椅子をすすめられる。とりあえず一礼して座る。
「それでなんのようだ?」
「ちょっと変な奴が門に来まして、どうしてここにいるかわからないと言っていまして。」
「?転移かなにかか?」
「ギルドマスターもそう思いますか?どうにも話を聞いた限り、私も転移ではないかと思いまして。ギルドマスターのほうがその辺は詳しいと思って、つれてきたんです。」
「そういうことか、俺もそんなに詳しくはないが、聞いた限りそんな気がするぜ。」
そこで一旦話が途切れると、視線が俺に集まる。
「で、お前さんはどう思う。」
「俺は、道を歩いてたら知らない町に来てたので、何とも言えないですが、元居た世界じゃない気がします。」
「ほう、世界が違うか・・・興味深いな。だとするとこれはすごいことかもしれん。」
「なにがです?」
「いやな、前にもそんな事例があったんだがその時は、勇者のように強いものだったという噂があってな、それが本当なら、ここにいる男も只者ではないかもしれない、というわけだ。」
「ほ~そんなことがあったんですね。じゃあ早速ステータスを見てみないとですね。」
「だが、今日の所はもう遅いし、明日鑑定をしてみようと思う、お前さんもそれでいいか?」
「はい、それと俺はいく当てがないのですが・・・・」
「それじゃあギルドの一室を貸してやろう。」
「ありがとうございます」
とりあえず寝床は何とかなったな、よかったぜ・・・。後はなんやかんやあって明日なんかわかるらしかった。わからないからとりあえず寝るぜ、おやすみ・・・。