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来年の今日、またこの場所で。  作者: 若隼 士紀
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第7章 6

6.


 6時過ぎの電車に乗り、早々と皆川駅に着いた。

 スマホで検索すると、大きな桜の木があるのは霊園ではなく公園だと判った。

 とりあえず、この世界にもあったからホッとした。


 前は遼に車で連れていってもらったから距離がどれくらいあるとか判らなかったけど、道順検索をかけると歩いても行けそうだったので、寒さしのぎに歩いていくことにした。

 遼も去年は、監視カメラを避けながら徒歩で行ったって言ってたしなあ。

 

 遼…会いたい。

 やっとこの日が来た。

 短かったけど、やっぱり長かった。


 公園の入り口に着くと、既視感を感じた。

 確かにここだ。


 中に入っていくと、公園の中央に向かってなだらかな丘があった。

 やっと夜が明けて明るくなった丘の上に、桜の木があった。

 まだ蕾がやっとつきはじめた、っていう感じ。

 これが7週間後には、満開になるんだな…


 あたしは暖かい飲み物を買って、手を温めながら8時を待った。

 多分、今日だと思う。うん。

 違ったらどうしよう。

 急に不安になる。


 めちゃくちゃ寒い時期だからか、意外と公園に人の姿はなかった。

 たまに厚着のジョガーが通り過ぎるくらい。

 ワンちゃんも飼い主も寒くてお家から出たくないんだろう。

 良かった。

 

 サショウさんとリュウガさんは、あちらの世界で準備を始めてくれてるかな?

 遼はどんな表情をしているだろう。

 ドクターとか、ヨウゼイ氏はいるだろうか。

 いつも振り回してごめんなさい。


 あたしはどこから入ればいいのかなあ。

 桜の周りをぐるっと回ってみる。


 と。

 木の幹に、矢印が描いてあった。

 その下に「R・Y」とサインしてある。

 

 「リュウガ・ユウリ」…あの二人がここに来て書いたんだ!!

 あたしは「凄い…」と呟いた。

 涙があふれてくる。

 異世界に帰れるんだ、あたし。


 7時55分。

 あたしは位置を確認して、祈るような気持ちでその場に立った。

 お願い。無事に通じますように。

 手を合わせてその時を待つ。


 そして8時。


 頭上の桜が突然、プロジェクションマッピングのようにバアーっと満開になった。

 暖かい風が吹きつけてきて、桜の木の下に手を広げて立っているのは、


 遼!


 あたしは駆け出し、遼の胸に飛び込んだ。

 「早葵!」懐かしい声とともにきつく抱きしめられる。


 「おかえり、早葵」

 「ただいま」


 あたしは遼を抱きしめてキスした。



 

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