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来年の今日、またこの場所で。  作者: 若隼 士紀
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プロローグ モノローグ


 今夜はやけに喉が渇く。

 

 私は寝ていたベッドから起き上がって思わず寒さに震え、パーカーを羽織ってからスリッパに足を入れて立ち上がった。

 

 部屋を出て寝静まった家の中、階段をそっと降りてキッチンに入り、暗闇の中を手探りで冷蔵庫を開ける。 

 扉を開けっぱなしにしたまま洗いかごからグラスを取り、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを注いで一気に飲み干し、大きく息を吐いた。


 失恋…したのかな、あたし。


 なんだかよく解らない。実感がない。

 ここ最近、LINEは既読スルーだし、電話しても出たり出なかったりで、出ても不機嫌そうな感じ。

 なんだかんだと理由をつけて一緒に登下校もしてくれないし、学校で話しかけても上の空。

 

 何となく予感はしていた。でも認めたくなかった。

 だけど今日、、、、、遂に言われてしまった。


 冷たいシンクを無意識に両手で思い切りつかんでいて指の先が真っ白になっているのに気づき、慌てて手を離した。

 シンクの上の明かりをつけ、開けっ放しで好きなだけ冷気を吐き出した冷蔵庫を閉めて冷たい水でグラスを洗う。


 かじかんだ手に息を吹きかけているうちに、涙が出そうになって掌を頬にあてる。

 だけど涙は出なかった。


 あんなことを言われたのに、まったく泣けなかった。

 君って強いよね。全然大丈夫だよ。

 呆然とたたずむ私に、彼は傷ついたように少し笑って言った。


 強いのか…あたし?

 胸に何か重いものが詰まっているようで何も食べられない。涙腺も何かにせき止められていて、素直に涙が出てこない、そんな感じ。

 なのに。

 

 あたしが強いから?大丈夫だから?

 あの子の方が弱いから、あの子の方が好きだというんだろうか。

 あの子が弱いから、あの子の許へいくのだろうか。

 …強いあたしが悪いのか?


 失恋っていったいなんだろう・・・


 

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