第6話;鳥籠の中
僕は、美咲達の後を追って、校舎の屋上へ辿り着くための階段までやってきた。
階段を上り、屋上に出るための扉のノブに手を掛けたところで、右手を誰かに掴まれた。
「待って、大月君!! 少し様子を見ましょ」
僕の右手を掴み、声を掛けたのは、工藤麻美だった。
工藤は、じっと僕の顔を見つめ、僕が頷いてみせると安堵の表情を浮かべた。
僕と工藤は、屋上へ続く扉を少し開けて、外の様子をうかがった。
学校の屋上は、生徒に開放されていた。
その為の安全性確保のため、金網で周りを仕切られ、その金網は、ドーム上にに丸く天井へと繋がる。
まるでそれは、籠の中に居る小鳥のような気持ちになる場所であった。
この場所なら、生徒がボール遊びをしても屋上から飛び出さないと、学校の運営側がそう考えたに違いなかった。
広い土地の少ない都市の中に学校が存在するのだから、生徒が遊べる場所が少ないもの原因であった。
運動場が無い都市の学校では、よく使う有効活用である。
僕の従姉弟、佐倉曜子は、僕の友達であり、現時点での恋人立候補である萩原美咲を学校の屋上へ連れ出した。
その事でクラスに混乱が起き、僕は、彼女達の後を追うはめになってしまった。
萩原美咲の親友である工藤麻美は、僕と一緒に屋上で繰り広げられてる会話に耳を傾けていた。
「ねぇ、あいつとつきあってるって? 本当なの? 信じられないんだけど」
先に口を開いたのは、曜子の方だった。
曜子の問いに美咲は、クスリとわらった。
「今は、まだ友人ですが。いずれそうなれたらと、思っています」
「本気なのね? 感情を持たないただの人形を好きになるなんて」
「あら、そこが魅力的じゃないですか」
美咲のその言葉に曜子は、ピクリと右眉を引きつらせた。
「やはり、少しおかしいのね」
「おかしいと・・・言われましても。狂っていると、言う意味なら、お姉さんほどでは、ありませんよ」
曜子は、再び眉をピクリと動かすと、ジロリと美咲を睨みつけた。




