第1章〜契約&転生〜
………。ここは、どこだろう?
目を開けると周り全てが藍色。
深海にいるみたいな気分。
そうか、俺は自殺のやつから
華恋を守って……。
つまり俺は死んだのか、
「はあ、これといって普通の人生だったな。
次に生まれるならちょっと特別な人生を送りたいぜ」
「その言葉しかと聞いたよ!」
「え?」
俺の前に現れたのは純白のドレスを身に纏った若い青年だった。
「あんたは誰だ?」
「これは失礼失礼、私は異世界〈エレメンタル〉
の監視の神、惑乱の天使。
ゼルゼルって呼んで!」
「……はい?」
こいつ無駄にテンション高いな。あとチャラい。
「ところでゼロくん。君、特別な人送りたいんだってね。じゃあ、異世界生活なんていうのに
興味はないかい?」
「まぁあるか無いかで聞かれればありますけど」
「そうか!そうだよね!じゃあ僕と契約をしよう。僕と契約してくれれば異世界生活出来るから」
「いやいや、初対面の人を信じられますか!
騙される可能性有るんだし」
「疑ぐり深いなー。じゃあ、ほい」
ポンッ。
「これは……書類?ええと……
『異世界生活するにあたっての契約書類』!?」
「どう?これで信じて貰えた?」
「はい。」
「じゃあ契約をしよう。僕の持っているリングが
監視者の証だからこれをつければ異世界転生出来るよ」
「ちょっと質問していいですか」
「?。いいよ」
「監視者って?」
「そのままの意味だよ、異世界を監視して、
パワーバランスが悪の方に傾いたら勇者を召喚したり出来るし、逆に正義の方に傾いたら魔王を召喚したり出来るし。あと特典もあるしね」
「特典?」
「自分は死なない。チート級アイテム、武具
などが減らない。レベル1で全魔法、格闘スキルが
全て使える。さっき言った無制限召喚とか」
「そんなに良いんだったらなんで交代しようとするんですか」
「いやー。理由はいくつかあって。
まず一つは。飽きたから」
「は?」
「いやー飽きるんだよ、二千年も続ければ」
「に、二千年……」
二千年も監視しているとは外見などに反して
結構誠実なんだろうか。
「二つ目は、僕、監視してる内に女の子を口説きまくってね。今修羅場状態なんだよね。」
前言撤回、クソだった。
まぁでもアザゼルも監視してる途中に
若い女性を娶って禁忌に触れて神々に
殺されたから名前はあってるな。
「さあ、早く契約をしよう」
「嫌ですよ」
「君の仲間をもう一度救いたくは無いのかい?」
「え?」
「爆発で吹き飛ばされた君の仲間はもう転生して、僕の世界で生活している。
君のその権限があれば、またピンチに陥った時
あの子たちを助けれるんじゃないかな?」
そうだ、今度こそは助けるんだ……。
「わかりました契約をしましょう」
「分かった。じゃあ僕の言ったことを復唱して」
「はい」
「我、リングに誓う」
「我、リングに誓う」
「我、この世界を永久に監視する」
「我、この世界を永久に監視する……え?」
「うん、契約完了。これで君は監視の神だ。
あ、あと、パワーバランス崩壊したままほっとくと世界滅びて、全員死ぬから気をつけてね」
「え?え?ちょっと待っー」
「いってらっしゃーい」
「うわあああああああ」
こうして俺は異世界転生する代わりに
世界の監視を押し付けられた。