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Pray in Darkness  作者: RIA
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左手の十字架17

真夜中、レイのアジトの重い扉が鈍い音をしながら空いた。


テーブルではトゥルーマンがロウソクに火をつけ本を読んでいる。


「いったいどこまでを教えたんだ?」


レイは向かいに座ってタバコの火をつけた。


むわりと煙がトゥルーマンの鼻をくすぐる。


彼はその煙を手で払いながらレイに本のページを見せた。


手を普通に見せるところまでだ。


それを聞き、レイは顔をしかめた。


「何も教えてないにひとしいな。


あの手が持つ意味を教えなかったのか?


彼女は悪魔からすれば最高の脅威なんだぞ?


万が一あれを悪魔に奪われてみろ…


恐ろしいことになるとわからないのか?」


レイはトゥルーマンを睨みつける。


トゥルーマンはオドオドしながらもレイを睨み返した。


「銀の手は適合者が使いこなすまでは、本人の意図に関係なく動いて適格者を防衛してくれる。


当分は大丈夫だろ。


それに人間界にこれる半端な悪魔なんて相手にもならないさ。


我々人間は容易に悪魔に取り憑かれるが、入り口にはされない。


つまりその力の半分もこちらには送れない。


対象の完全支配、身体能力の向上や治癒能力の向上。


それでも人間の域はでれない。


昨日までいい人だったのに、まさかあんな事をするなんて信じられない。


そう言われる犯人の絡む事件には必ず悪魔の影がある。


まぁ単なるお遊びさ。


人を殺したりして遊んでいるだけ。


対象が死ぬか捕まればおさらばさ。


調べなければ分からないが彼女はきっと、その取り憑かれた人間を悪魔ごと殺していた。


全てでは無いにしろ悪魔の意識は人間に入っている。


そこを銀の手で退魔の武器とされた銃弾で心臓を撃ち抜かれれば、悪魔だってひとたまりもないだろう。


当然悪魔が祓われる事はあっても殺されるなんて、ほぼありえない事だろう。


必ず上の悪魔が出てくる。


そこを狙おう。」


レイは何も言わず頷くと、コートを脱いで壁にかけた。


「お前は正しいよ。優しさと残酷さをあわせもつ。


今のセリフをアリシアに聞かせてやりたかったよ。」


トゥルーマンは額に汗をかきながら眼鏡を拭く。


「もう後がないだろ?今日は11月の下旬だ…


ホーリーまでにはどうにかこの煩わしい事件を終わらせないとな。


お互いのためにも。」


トゥルーマンは立ち上がり、出口に向かった。


「泊まっていかないのか?」


レイの言葉にトゥルーマンは振り返る。


この本だけでは少し力不足なところがあるんだ。


今日は久しぶりに我が家に帰るよ。


そう言ってレイに向かって少し笑うと、彼のアジトを後にした。





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