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「ごめんなさい。許して欲しい」
信吾はレナの前で頭を下げた。
「和久井君が悪いんじゃないよ。あたしが着替えを持たないでシャワーを浴びに行ったからだよ」
瞳の家のリビングで、レナは部屋で着替えてからここへ下りてきていた。
「違う、そのことじゃない。俺、今日はどうかしていたんだ」
最初、わからなかったレナだったが、信吾が何を謝っているかわかったようだった。
「和久井君は悪くないよ。これはどうしようもないことなんだから」
「俺、自分の気持ちに嘘は付きたくないんだ。今日は、レナのことを傷つけたと思う。自分の身勝手でレナに悲しい思いをさせた」
「和久井君の気持ちは嬉しいよ。でもね、前にも行ったけれど和久井君は皇子であたしはただの近衛兵なんだよ。身分も違うし第一あたしはホワイトだから・・・」
「そんなことはわかっている。それでも俺はレナが好きだ!」
ソファーに座っているレナに信吾はそのまま抱きつこうとした。
(緊急起動、アイリス小隊からの救援信号を受信しました)
「ピコ、状況を直ぐに調べて。宮寺小隊長の現在位置は?」
レナがソファーから飛び上がるように立ち上がった。
(先ほど別れた場所から東へ約五百メートルの県立公園内です)
「行こう、助けに!」
信吾は、瞳の家から外へ飛び出そうとした。
「待って、和久井君はここで待っていて」
レナが玄関先まで来た信吾のことを止めた。
「どうして、宮寺先輩が大変なんだろう?」
「唯がいる、共和国軍が関係しているみたいなの。危険だからここで待っていて」
レナが、青白く光ると玄関先から夜空へ飛び上がろうとした。
「俺も行く、レナを一人にはさせない!」
信吾がレナに後ろから抱きついた。
「ちょっと、これじゃ飛べないよ」
レナは、信吾を振り払うと青白く光る球体を出現させた。信吾とレナを中心に球体が大きくなっている。大きさがちょうど直径三メートル位になった。
「あたしの手を握って、行くよ!」
信吾は隣に立つレナの左手を自分の右手で強く握った。
信吾とレナを包んだ青白い球体は夜空に飛び上がるとそのまま西にある県立公園を目指して飛行した。
「なんだ、あれは?」
夜空に信じられない物が浮かんでいる。大きさは自動車、いや路線バスより大きな赤く輝く立方体が五つ六つ何かを取り囲んでいるかのように浮かんでいるのだ。
「共和国軍の小型強襲揚陸艦だわ!」
小型強襲揚陸艦が取り囲んでいるのは青く光る球体で宮寺達が作ったシールドだろう。完全に包囲されている。このままだと宮寺達が危ない。
「レナ、どうすればいい?」
「レディバード、和久井君のことをお願い。飛行モードで和久井君を護りながら指示があるまでこの場所に待機、指示がない場合と危険を感じたら和久井君を安全な場所に空間転移をして」
(了解いたしました)
「ピコ、一番下を浮遊している敵小型強襲揚陸艦を奪取するよ」
(了解)
「和久井君、直ぐ戻るから待っていてね」
レナはそう言うと球体から外へ飛び出していった。




