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レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
33/43

032

「新聞屋さんがくれたんだけれど、二人で行ってくれば?」


 夕食後、瞳が信吾に手渡したものは有名キャラクターが人気の遊園地の一日フリーパスだった。


「ここ、知っているよ。夜のパレードが人気なんだよね。由美子ちゃんが行きたいって言っていたんだ」


 リビングのソファーに座りくつろいでいた信吾の隣りに来たレナが手渡されたチケットを横から眺めている。信吾はレナにそのチケットを渡した。


「週末、一緒に行こうか?」


「うん」


 最近、敵である共和国軍の動きはなくなってきている。信吾が風間に拉致され、西園寺邸でレナ達が戦ったあの事件からぱったりと共和国軍の動きがなくなり蒲生唯や風間直美の所在もわからないと宮寺が言っていた。


 信吾はレナの自分に対する気持ちを知りたかった。これはレナの気持ちを知るのには良いチャンスなのではないだろうか。


「週末、晴れるといいな」


 テレビの週間天気予報はあいにくの雨だった。


「そうだ。明日、お弁当作らなくっちゃ。瞳さんに聞いてくるね」


 レナは嬉しそうに、キッチンで洗い物をしている瞳のところに行った。


 レナがこの家に来てから一緒に何処かに出かけたことは今までなかった。信吾を護ると言っていつも一緒に学校へは登校している。クラスも一緒だから体育などの男女別の授業以外はいつも側にいた。信吾の行くところには必ずレナが付いてくる。それが当り前になっていた。


 でもレナが行きたい場所ってあるのだろうか?


 週末はここの遊園地に行って楽しく過ごそう。レナの信吾に対する気持ちもわかるかも知れない。そして、その次の週末はレナが行きたい場所に一緒に行こう。いつも俺の行くところばかりではなく、たまにはレナが行きたいと思っている場所に俺が付いて行ってもいいだろう。


 キッチンからはレナと瞳の楽しそうな会話が聞こえてくる。お弁当のおかずはこれが良いとか、明日は早起きをしてこれを作るとか何だか楽しそうだ。


 いつもどおりの今までどおりのこの関係でレナと一緒にいたい。もし信吾がレナに告白をしてこの関係が微妙に変わってしまったらどうなってしまうのだろう。


「告白なんかしなくてもこのままの関係でいれればいいか」


 そんな気持ちにもなっていた。


 体育の授業が四時限目にあるとさすがにお腹が減るのが早い。着替えをして自分の教室に戻るとレナが西園寺と一緒に信吾達の来るのを待っていた。


「屋上でお弁当を食べようよ」


 レナの提案に三人は同意して、校舎の屋上へ行くことにした。


 昼休みに屋上で昼食をとる生徒達もいる。学校側も昼休みは屋上を開放してくれているので何人かの生徒達が弁当を食べていた。


「すげーっ!」


 相川は、西園寺の作ってきた弁当を見て叫んでいた。どうやって学校に持ってきたのだろう。重箱にたくさんのおかずがぎっしりと詰まったお弁当を西園寺が作ってきていた。


「相川君、たくさん食べるからたくさん作ってきました」


 信吾はレナが作ってくれた弁当箱を開いてみた。いつも瞳が作ってくれる弁当とどことなく違うところがある。


「どう?美味しい?」


 おかずを一口食べるとレナが聞いてきた。


「うまいよ!」


 正直言って味はどうでもいい。ただレナが自分のために早起きして作ってくれただけで信吾は満足だった。


「レナちゃん達、週末空いてる?」


 自分の重箱を突っつきながら西園寺が聞いてきた。


「どうしたの?」


 レナが聞き返した。


「うちに来た新聞屋さんが持ってきたのです。一緒に行きましょうよ」


 西園寺が持っていたのは昨日信吾が瞳からもらった遊園地のフリーパスと同じ物だった。


「四人分あるから一緒に行こうぜ」


 相川も信吾達を誘ってくれている。信吾は何て答えて良いかわからなくなっていた。その日はレナと二人っきりで行こうと思っていたのだ。


「由美子ちゃんが前に行きたいって言ってたところだよね。みんなで一緒に行こうよ。ねえ、和久井君」


 レナが四人で行くことを承諾したように信吾に言ってきた。


「ああ」


 どことなく元気がない返事しか信吾には出来なかった。本当はレナと二人っきりで行きたいと思っていたんだ。レナは二人っきりで行きたいと思っていないのだろうか?


「元気ないよ。もしかしてあたしが作ったお弁当、美味しくなかった?」


 正直言うと瞳が作ったものより味は少しだけ落ちるかも知れない。けれどレナが一生懸命に信吾のために作った弁当だ。それを考えると美味しいと感じるはずだった。


 それなのに、瞳の作ったものより味が落ちると感じるのはやはりレナが二人っきりで出かけることに反対だからなのだろうか?ちょっとだけレナが遠くに感じてしまった。


 レナが四人で遊園地に行くことを承諾したような返事をしたことで、信吾はレナが自分だけを見ていてくれないんじゃないかと思ってきた。


 レナが自分をどう思っているのか、信吾にはわからなくなってきた。


「違うよ。ちょっと体育の授業で疲れただけだよ」


 そう答えるのがやっとだった。


「じゃあ、決まりだな。週末は遊園地に決定!」


 脳天気な相川は楽しそうだった。


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