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レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
31/43

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「お待ちしていましたわ、神前さん」


 友達に挨拶するように風間が微笑んでいる。


「和久井君を苦しめる人は、あたしが許さない!」


 レナが風間と対峙する。


 遅れて青い光りがいくつか飛んできた。宮寺麻衣率いるアイリス小隊だった。


「室田真琴軍曹は?」


「彼女ならもうここにはいません。今頃天国にでも行っていることでしょう」


 表情を変えずに話す風間に宮寺の顔つきが変わった。


「私もあなたを許しません!」


「皆さんのデータは取ってあります。宮寺さん、あなたにはもう少し働いてもらいたいので殺したりはしませんよ」


「第二分隊は後方の逃げ道をふさいで、第三分隊は上空待機、第一分隊は私と突撃!」


 宮寺が自分の部下に指示を与えて、自らを先頭に風間に向かっていく。


「和久井君!こっちに!」


 レナが信吾の側に駆け寄ってきた。宮寺達が風間を引きつけているすきに安全な場所に逃げるように勧める。


「レナちゃん、これってどういうこと?」


 逃げ道を確保しようとするレナに西園寺が詰め寄って聞いている。西園寺からすれば、現実にあり得ない状況が続いている。信頼していた風間に監禁されただけでもショックなのに、人が空を飛んだり何もないところから光線を出したり普通の人からすれば信じられないことばかり目の前で起きているのだ。


「訳は後で説明するわ、今はここから逃げ出すことを考えて!」


 レナが西園寺の手を取り庭から建物の方へ導こうとする。上空では宮寺達が風間と空中戦を行っている。赤い光りと青い光り、数では青い光りの方が多いが、赤い光りの方がどちらかといえば優勢に見えた。


「和久井君も早くこっちに来て!」


 レナに呼ばれ、ひとまず建物の中に逃げ込もうとしたときだった。


「レナ、逃げるの?」


 庭の中央に真っ赤な光りが現れた。その明かりがだんだんと弱まりそこに黒いドレスを着た少女が立っていた。


「唯?」


 レナがその少女を見て、驚きのあまり立ち止まってしまった。


「久しぶり」


 レナが唯と呼んだ少女が右手を広げ真上にかざし始めた。


「唯!生きていたの?」


 レナが唯に駆け寄ろうとしたときに、唯が右手人差し指を真っ直ぐにレナに向けた。


 真っ赤な光りがレナに向かって放たれた。ピコが素速く反応したのか、青白いシールドが広がり真っ赤な光りをぎりぎりの所で防ぎきった。


「私はもう、あの頃の唯ではない」


 右手を広げレナに向ける。左手で右腕を押さえ唯が両足を踏ん張った。


「死んで!」


 強力な光りが束となり、真っ赤な炎のようになって信吾達の所に向かってきた。


「唯!」


 レナが叫ぶ。ピコとレディバードが二重のシールドを作り何とかその攻撃を防ぐことが出来た。


「不思議。空間航空隊でエースだったレナが、落ちぶれて地上部隊勤務?」


 唯が再び攻撃するために右手を信吾達に向けた。


「あなたの身体は、パイロットとして作られているはず。陸戦には向かない」


「唯、どうしてあなたがここにいるの?」


 シールドを解き、レナが唯に近づく。


「レナが、私の命令を無視したから」


 唯が空に飛び上がる。同時にレナに向け強力な光りを束にして投げつけてきた。


 レナが魔法陣を作りそれを盾替わりにして防ぎながら同じように空へ舞い上がった。


 信吾と西園寺の周りにレディバードがシールドを作る。信吾は前にレナが語ってくれた話を思い出していた。蒲生唯はレナがここに来る前に親友だったと言っていた人物だ。目の前にいる人がその人なのか?確か何処かの惑星でレナが命令無視をしたために撃墜されて行方不明になったと聞かされていた。


「私は今、共和国軍に所属している。皇帝の間違った政治を正し、世界を帝国から解放するために戦っている」


 唯が放つ真っ赤な光りが、いくつもの矢のごとくレナに突き進む。魔法陣の盾を使いレナは必死になって応戦している。


「どうして?一緒に未来を切り開こうって誓ったのに!」


「誰の未来を切り開く?私達?それとも皇帝?」


「誰の?未来?」


 レナの一瞬の隙を唯は見逃さなかった。立て続けの攻撃を防いでいたレナだったが、唯のその言葉に迷いが生じたのだろうか。一瞬の隙をつかれレナが光りを受け地面に叩きつけられた。


「レナ!」


 信吾はレナの所に駆け寄った。左肩に怪我でもしているのか血がにじんでいて倒れたまま動かない。


「とどめ」


 唯が上空からレナに向け右手を向ける。開かれた手の周りがだんだんと赤い光りが集まってくる。


「やめろ!二人は親友じゃ無かったのか?」


 信吾は唯に向かって叫んでいた。


「親友?それは過去の出来事」


 唯の手から真っ赤な光りが信吾とレナの所に降り注がれてきた。レディバードがシールドを急展開させて防ぐがパワー不足で防ぎきれない。


 信吾は迷うことなく倒れているレナを抱きしめ覆い被さった。光りの攻撃からレナを護ろうとしたのだった。


「くそっ!」


 背中が熱い。焼けるようだ。


「何故?」


 急に攻撃が止った。信吾が真上を見ると唯が信吾のことを困惑の顔で見下ろしていた。


「何故、皇子が一兵士をそこまでしてかばう?」


「レナは、俺にとって、」


 俺にとってなんなのだろうと信吾は言葉に詰まってしまった。俺のことを護るために来たレナは、俺にとってなんなのだろう。友達?家族?レナの笑顔が思い出された。


 俺はレナの笑顔が見たいと思っていたんだ。そしてその笑顔を護りたいと。


「俺にとって、一番大切な人だ!」


 信吾が立ち上がり、右手を唯に向けた。その手のひらからエメラルドグリーンの眩しい光りが唯に向かって突き上げられた。


 唯はシールドを張りその光りから逃れようとするが、間に合わない。信吾に向けていた右手をエメラルドグリーンの光りが包み込んだ。


 一端、上空まで逃げた唯が風間を呼ぶ。アイリス小隊と交戦中の風間が唯の所に来た。


「引き上げる」


 右手を負傷した唯をかばうようにして風間が巨大な魔法陣を作り上げた。


「待ちなさい!」


 宮寺が叫ぶと同時に魔法陣が真っ赤に光った。その瞬間に唯と風間が消えた。


「レナ!」


 信吾は足下に倒れているレナを抱き起こした。


「衛生兵!負傷者がいます。至急こちらに」


 宮寺が呼ぶと、何人かの兵士が近づいてきた。


「この子と皇子を手当てして。あと、向こうに立っている民間人の記憶を完全に消去して下さい」


 宮寺が見ている先に、西園寺が震えて立っていた。


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