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レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
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027

 レディバードが緊急起動したので、目が覚めた。


(帝国軍第八十二師団の緊急通信を受信しました。報告いたしましょうか?)


 六時限目は古文の授業で、信吾は睡眠学習の真っ最中だった。周りを見回すとクラスの半分はぐっすりと眠っている。古文の教師はよく怒らないものだと感心してしまう。


「後ででいいよ」


 また眠りに付こうと何げなくレナのいる方を見た。レナはしきりに板書された文字をノートに写している。今度、テスト前はレナにノートを借りようと信吾は思い再び眠りに付こうとしたところで授業の終わりを告げるチャイムが鳴った気がした。


「和久井君!」


 肩を揺らされて目が覚めた。寝ぼけ眼で周りを見るとクラスの半分は教室にいない。どうやら寝ている間にホームルームも終わってしまったようだ。


「あたし、宮寺先輩の所に行ってくるね。和久井君は先に帰っていていいよ」


 信吾が起きたことを確認してから、レナが鞄を持ってバイバイと教室を出て行った。信吾は置いてきぼりを食った子供のようにレナのことを見ていた。


「俺、西園寺さんの家に寄って帰るから、先に行くな」


 まだ寝ぼけている信吾の背中に軽くパンチを入れて相川も教室を出て行く。そうだ、俺も帰ろうと信吾も帰り支度を始めた。


 レディバードの報告によると、共和国軍の強行偵察部隊がこのこの近くに降りてきたようだという。アイリス小隊に緊急招集が発令されたそうで、近衛師団に所属するレナも協力するために宮寺の所に行ったそうだ。


(室田軍曹を護送していた警備艇が襲われたようです)


「そうなんだ」


(警備艇は沈められて、乗員は行方不明だそうです)


 レディバードの話を聞いていても全く現実感がなかった。まるで興味のない映画のストーリーを聞いているようで信吾にはどうでもいい話の気がした。


 一人で帰るには寂しい。レナのことを待っていようかとも考えたが、何となく今日は一人で帰りたくなったのでそのまま鞄を持ち教室を出た。


「和久井信吾さんですよね」


 校門の所で、見知らぬ女子に話しかけられた。桜田高校のとは違う高校の制服を着ている。


「そうだけど、誰だっけ?」


 学校の敷地でも走るためにか、サッカー部員が校門の所に集まってきていた。みんながジロジロと見る中で信吾はこの人は誰でどうして俺の名前を知っているのだろうと考えていた。


「風間直美です。西園寺の家で働いている」


 思い出した。昨日のメイドさんだった。メイド服から近くの県立高校の制服に着替えていたので全く印象が違い誰だかわからなかった。そうか、彼女も高校生だったんだ。


 信吾は服装が違ったので誰だかわからなかったよと答えると、西園寺が信吾にどうしても会って話を聞いて欲しいことがあるからと迎えに来たという。


「西園寺さんが俺に話があるって?」


「はい、お嬢様が自宅でお待ちです。こちらにどうぞ」


 勧められた方向に高そうな外車が止っている。一瞬ためらったが、知っている風間と西園寺の家に行くだけなら大丈夫だろうとその車の後部座席に乗り込んだ。


 風間が助手席に座ると車は滑るように走り出していた。


「西園寺さんは風邪をひいたんだよね」


 かなりのスピードを出している車の中で、信吾は少しだけ不安になっていた。


「はい、少し熱がありましたので、私が休むように言いました」


「もう具合はいいのかな」


「いい薬がありましたので、和久井さんも飲んでみますか」


 風間がふざけてそう言ったと信吾は最初思った。しかしそれは間違いで不安だと感じていたことが現実になっていた。


 風間が急に振り返り、スプレーのようなものを信吾に吹き付けてきた。信吾はそれを思いっ切り吸ってしまい、だんだんと意識が薄くなってきた。


「すいません。間違いました。この催眠スプレーは飲むんじゃなくて、吸うんでした」


 風間が言ったつまらないジョークを意識の遠くで聞いた。


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