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レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
20/43

019

 翌朝、信吾達は学校へ向かうために自宅を出ると家の前に宮寺がいた。


「おはようございます」


 宮寺の側に、信吾の自転車があった。レナを追って雑木林に向かったときに置きっぱなしになっていた信吾の自転車だった。


「それ、俺の自転車です」


「鍵はきちんとかけておきましょうね。けど、鍵をかけてなかったからここまで持ってこれたんですけど」


 宮寺に礼を言い自転車を受け取った信吾は、どうして宮寺が朝から信吾の家に来たのか不思議に思い尋ねてみた。


「室田真琴軍曹と連絡が取れなくなってしまったのです」


 昨日、宮寺は信吾に、室田には手出しさせないと言っていた。その室田と連絡が取れなくなり、そのことを告げるためにここまで来たという。


 信吾は振り返り、玄関先に立っているレナを見た。もしかすると、また室田がレナを襲ってくるのかも知れない。


「平気だよ。リミッター解除指令、ちゃんと受け取ったからね」


(昨日、ピコにリミッター解除許可信号を適応させてあります)


 レナとレディバードから言われたが、信吾には何のことだかわからない。


「それなら安心ですが、念のためにしばらくは私か誰かを護衛に付けます。室田軍曹はアイリス小隊の中では一番の武闘派ですので」


「ありがとう。けれど自分のことは自分で始末を付けるから大丈夫」


「室田軍曹は私の部下ですから、この責任は私にもあります」


 レナが、申し訳なさそうに言うが、宮寺もアイリス小隊の隊長として責任があるのだろう。そのまま、三人で学校へ向かうことになった。


「神前少尉に話しておかなきゃならないことがあるのです」


 駅に向かう途中、県立中央公園の中まできて宮寺が隣を歩くレナに話しかける。その反対隣を歩いていた信吾も宮寺のことを見た。


「私の父は、ダーリングハーストへ向かう移民船団を救助するために向かった第二艦隊の司令官だったんです」


 三人並んで公園内を駅に向かって歩いたいた。ダーリングハーストの話が出たせいだろうか、気持ちレナの歩みが遅くなった。


「あの時、第二艦隊ごと移民船団を消滅させることを決めたのは私の父だったんです」


 レナは急に立ち止まって驚いたように宮寺のことを見ている。宮寺も立ち止まったレナのことを振り返り見ていた。


「私も後から聞いた話なので詳しくはわからないのですが、父が帝国本国へそう伝えたと聞きました」


 公園内に風が吹いてきてレナと宮寺の髪を軽くゆらしている。


「そうなんだ」


 レナが歩き出す。その後を宮寺が追い、信吾は二人の後に続いた。


「神前少尉が一人責任を感じる必要はないのです。最初にこの作戦を提案したのは私の父だったのですから」


「でも、みんなを殺したのはあたしだよ」


「私は事実を神前少尉に話しておきたかったのです」


「ありがとう」


 暫く無言で歩く二人の後を信吾はなんて言葉をかけていいのかわからずに黙って歩いていた。この話には信吾は関わってはいけない気がする。けれどこのまま二人が何も話さないで学校へ向かうのには信吾には苦痛だった。


「おはよーっ!あれぇ?」


 駅に着くと、相川と西園寺がいた。二人は信吾達が来るのを待っていたようで改札口の側に立っていた。相川は何で宮寺がここにいるのか不思議そうに見ている。


「何でミス桜田高校がここにいるんだ?」


 相川が信吾に詰め寄ってきた。


「何でって言われても」


 何と説明すればいいのか、信吾の方が教えて欲しい。


「おはようございます、宮寺先輩。どうされたんですか?」


 西園寺も宮寺がいることに疑問を感じたようで、直接宮寺に聞いている。


「神前さんとは何年か前から知り合いだったの。久しぶりに話がしたくて」


「じゃあ、ロンドンに行ったことがあるんですか?」


「ロンドン?」


 宮寺はきょとんとした顔で西園寺を見ている。レナがロンドンから引っ越してきたことになっているのを知らないようだ。このままじゃまずいと信吾は思った。何か話題を変えないと嘘がばれてしまう。


「早くしないと電車に乗り遅れちゃうよ」


 レナが急に改札口へ向かい駆け出す。その後を宮寺と西園寺が続く。信吾は三人を追いかけるようにその後ろから付いていった。


「どうして、和久井ばっかりに美人が寄りつくんだ」


 ぶつぶつ言いながら相川が信吾の後から付いてきた。 

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