表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
13/43

012

 生徒会室から戻ってからレナは元気がなくなっている。何も知らない西園寺が心配してレナに付き添っているが、レナは転校初日だから疲れたんだよって説明をしていた。


 学校からの帰り道に信吾の側に相川がきて、しきりにレナや西園寺のこと聞いてきた。その二人の前を西園寺とレナが歩いている。西園寺がレナに何か話しかけているがレナは元気がなくなっていた。


「生徒会室で何があったんだ?」


 そのことばかり聞いてくる相川に嫌気がさしてきたが、何か話さないとしつこく付きまといそうだった。


「ちょっと生徒会長と話をしただけだよ」


「だから何の話だよ」


 言えるかそんなこと!言っても信じてもらえないだろうと信吾は思った。


「私にも教えてくれないんですよ。でも友達なら言いたくないこと無理に聞かない方が良いのではないですか」


 西園寺が振り返ってそう言った。レナは立ち止まって下を向いたままだった。


「そうだよなぁ」


 西園寺に言われ、相川が素直に納得した。女子には弱く相変わらず調子の良いやつだと信吾は思った。


 自宅近くの駅前で信吾達は西園寺や相川と別れた。知らなかったが西園寺は信吾達と同じ駅の反対側に住んでいるようだ。帰りが同じ方向なので相川が喜んで西園寺と帰って行く。


「レナ、元気ないぞ!」


 レナと二人きりになって信吾はやっとレナと話が出来ると思った。学校に着いてから今日一日、レナは女子達の輪の中心にいたので信吾が近づける状況じゃなかった。


「ごめんね。心配かけてばかりいるよね」


 返事はするがやはりレナに元気がない。生徒会室で宮寺が言っていたダーリングハーストのことだろうか?室田が両親とか殺されたって言っていたけどまさかレナが殺したんじゃないだろうな。


 辛いことがあったら人に話すと楽になるって瞳が言っていたことを信吾は思い出していた。きっとレナに信吾の知らない嫌な思い出でもあるのかのしれない。それを聞いてあげればレナが楽になるのではないか?


「ダーリングハーストって何なの?」


 レナの歩みが止った。ここは信吾がレナと初めて会った場所、中央公園の芝生広場の跡地だった。今朝まで封鎖されていたが今は通ることが出来るようになっていた。


 レナが倒れていた場所、信吾とレナが防御シールドの中で攻撃から堪え忍んだ芝生広場は相変わらず立ち入り禁止のままになっている。が、その周りの遊歩道は人が通れるようになっていて、犬の散歩をしている老夫婦が歩いていた。


 少しだけ盛り上がっていた芝生広場跡はすり鉢状にへこんでいて、かなりの衝撃があったことを物語っていた。表面は芝生が剥がされて茶色い土が露出している。この間まで街灯があった場所には今は何もない。


「話さなくちゃダメ?」


 レナが立ち止まったまま聞いた。辛いことなんだろう。俺で良ければ聞いてあげたい。そうすることでレナの気持ちが落ち着くんじゃないかと信吾は思っていた。


「教えてくれよ。レナがここに来るまでのことを」


 知りたかった。レナの全てのことを知りたいと思った。


「わかったわ」


 レナがその事件について話してくれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ