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レナ 第五遊撃隊  作者: まんだ りん
10/43

009


「転校生を紹介する」


 担任の河内がそう言って教室の入口ドアへ向かい手招きをした。


 クラスの男子達が一瞬どよめく。髪を後ろにまとめたレナが教室に入ってきた。


「神前レナです。よろしくお願いします」


 教壇に立つと、河内が書いた黒板の自分の名前をチラリと見てからレナがみんなに挨拶をした。


「席は、西園寺の隣りが空いていたな。西園寺、面倒を見てやれ」


「はい」


 西園寺が立ち上がると、レナに礼をしてから手招きをする。


「クラス委員をしています西園寺由美子です。わからないことがありましたら、私に何でも聞いてくださいね」


「ありがとう」


 レナが西園寺の隣りの席に座る。そんな光景を信吾は窓際後ろから二番目の席に座りながら見ていた。


 休み時間になると、クラスの女子達がレナの所に集まってきて大騒ぎをしている。イギリス帰りの帰国子女だとわかるともう大変なことになってしまい、昼休みにはポニーテールの転校生は可愛い帰国子女だと学校中の評判になっていた。


「俺、教務課に言って調べてきたんだ。彼女の家の住所、何処かで聞いたことがある気がするんだ」


 昼休みになり、信吾の目の前で購買のパンを食べながら相川が言った。


「俺の家の隣だよ」


 うちの学校、個人情報の管理は一体どうなっているんだ?と弁当を食べながら信吾は思った。


「何でお前の家の隣なんだよ?」


 相川が怖い顔で信吾のことを睨み付ける。


「何でって、瞳さんのところに住むことになったんだ」


 住んでいる場所くらいは話してもいいだろう。けれど、レナの秘密をばらすわけにはいかない。


「どうしてお前だけがもてるんだ?」


 胸ぐらを掴んできた相川のことを無視しながら、信吾は別にもてている訳じゃないぞと思っていた。


「にやけやがって、昨日の西園寺さんや生徒会長に続いて今日は神前さんか。どうして最近お前の側に美女ばかり集まるんだ?」


 忘れていた。昨日、西園寺が生徒会長の宮寺の所に来て欲しいと言っていたことをすっかり忘れていた。


 相川の手を振り解いて信吾は西園寺達が昼食を食べている席の側に行った。


「俺、昨日早く帰っちゃったから生徒会長に会っていないんだ」


 頭をかきながら話す信吾のことを、西園寺の周りにいる女子達が不思議そうに見ている。その中にレナもいた。


「わかりました。今日の放課後にでもアポイントを取っておきましょう」


 そのまま、西園寺は女子達との会話に戻っていく。レナもちょっとだけ信吾に笑いかけて会話に入っていった。


 レナが食べている弁当が信吾と同じ物だということに誰も気が付いていない。何だかそれが信吾には嬉しかった。

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