アンラッキーヒーロー13
宮部は堰を切ったように彼自身の想いを吐き出した。
宮部は小さな頃から、この不運に悩まされていた。目を覆うような恐ろしいことが、普通ならば現実では滅多に遭遇しないはずのことが、宮部の前には頻繁に起きるのだ。
おそらく、日凪は信じない。
常識を心得た大人ほど、そうだ。宮部は夢物語の見過ぎか、精神疾患を抱えているのかのどちらかとしか思われない。何せ、彼に起こった悲劇の全てを知っている宮部の両親ですら、息子の言い分を言い訳だということにしているのだ。
宮部は孤立無援だった。世界でたった一人だった。だからこそ、自分で自分を殺すことを選んだのだ。
宮部は掌を開いた。
そこに荒唐無稽な話に唖然とする日凪の表情を想像した。今まで悩みを打ち明けた他人と、同じ反応を予測した。
その予想は、ある意味では外れていた。
「……くっくっくっく……」
日凪は笑っていた。
唖然とさせられたのは、宮部のほうだった。この日まで、宮部は何人かに悩みを打ち明けていた。馬鹿にされたこともあった。叱られたこともあった。カウンセラーを紹介されそうになったこともあった。
だが、こうまで露骨に嘲笑されたのは初めてのことだった。
宮部はトドメを刺されたと思った。
最後の最後で、最低にして最高の相談相手に出会った。
飛び降りようとした宮部を止めたくせにして、背中を押すような相手と出会った。




