表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Over Sacrifice  作者: 浅野
1/1

多き犠牲

Over Sacrifice

作:浅野 雄

序章


激しい銃撃戦、銃声の音がハッキリと聞こえてくる。

俺は少し離れた場所で銃撃戦の様子を眺めていた。銃撃戦を眺める間、剣を握る掌が汗ばんでいく気がする。いや、この場合はトリガーを握る手が汗ばんでいくと言えば正しいか。

俺の機体には銃撃戦に耐えられるだけの装甲はありはするが、遠距離武器のウェポンは他の機体と比べて圧倒的に少ない。だから、こうして銃撃戦から離れてメインモニター越しから観察しているわけだ。なに、戦線離脱をしているわけじゃない。これも作戦のうちだ。そんなこんなで眺め始めて数分、使用していなかった小さなサブモニターからようやく連絡がきた。司令塔となる機体が見つかったのだ。

剣を腰に着けられた鞘に収めると一度トリガーから手を離し、汗ばんだ手を着ている服で拭き、再びトリガーを握りブースターを使うため右ペダルを強く踏み込んだ。激しいエンジン音とともに、機体が前方に動き振動がコックピットまで伝わってくる。銃撃戦の中を左のトリガーを左右に動かしたり、左のペダルを使いジャンプするなどして、極力被弾しないように抜けていく。時には唯一使っている遠距離武器のガトリングで敵機に被弾を負わせ、先に進んでいく。

銃撃戦の中を抜けると奥には数十機の機体が待ち構えていた。最悪なことに後方からも数機がこちらを追跡しながら、銃やレーザーを撃ってきている。一度機体を止め勢いで前進しながら、反転し強く右ペダルを踏み、後方から追ってきた機体に急接近していく。

攻撃範囲内に入ると腰から剣を抜き、右のトリガーをうまく動かし、敵機のコクピットを切りつける。切断する時、鉄と駆動系を切り裂く音と激しい火花の光がモニターとスピーカーから伝わってくる。切断した機体は黒煙を上げながら爆発した。

黒煙が立つ中一度ジャンプし、数メートル離れ機体の被害状況を確認する。こちらが攻撃をしている合間も他の機体に攻撃を受けていたからだ。サブモニターで機体の簡易全体図を確かめる。見る限りではまだ機体が動かせる。一番近い敵機を攻撃しようと接近していく時、上空から数え切れないほどのミサイルが降ってきた。思わず左トリガーを引き、機体を止める。

複数いた敵機はミサイルを避けきることができず全滅したようだ。上空を確認すると空色と白で着色されたボディ、肩にはDSと白で書かれていた機体が大きな翼とブースタを使い今も空の上で静止している。

「ワレ、はよいかんかい!」

「僕達戻るから早くお願いね」

男口調の女の声と、オドオドした男の声が通信で入ってきた。

仲間の機体だ。女の皮肉と罵倒に近い言葉が通信から延々と入ってくるため、苦笑しながら反転し、敵機の司令塔を潰そうと再び前進した。

敵機は既に後退しながら、地下施設に入るためのエレベーターに入ろうとしている。まずいと思い、ブースト全快で接近していくが、地下に入るためのエレベーターはあと一歩というところで固く閉ざされてしまった。

他のエレベーターを探してみるが見当たらない。次のエレベーターが上ってくるまでただ待つことしかできず、再び苦笑する。

エレベーター前に佇んでいるのを見つけたのか先ほど助けてくれた機体から再び通信が入ってきたその瞬間、大声でハッキリと罵倒し始める。

「何やっとるんやー!この薄ノロ!ハゲ!アホ!死ねーーーーーーーーー!」

言いたいことを言って通信を切りやがった。別にノロマでもハゲてもいない。ましてや学校の成績はどんぐりの背比べだが俺のほうが上だ。最後の死ねはアイツが言うとなぜか心が痛むみそうだが、腹が立つことに変わりは無い。後で思いっきり殴ろう。そして、こうした罵倒を浴びさせた原因である敵機を思いっきり切り刻んでやろう。俺はそう心に誓った。

エレベーターが上がってくると、すぐに乗り込み、地下に向かった。別に階を決める必要がなく、ただ下りるだけなのでその辺は調べる必要がないため楽だ。

メインモニターに映るのはエレベーターの鉄そのものの色と赤いランプだけだ。おそらく、下りる時間も数分かかるだろう。持っていた刀をしまい、膝辺りから伸びる短剣の柄を引き抜いた。

おそらく剣を振るだけの十分な広さではないと考えたからだ。レーザー系のウェポンを使いたいところだが、ここまで来るのに防御のほうにエネルギーを使いすぎた。それに、レーザー系のウェポンを使うと威力は高いが、その代わりに機体を動かすためのエネルギーも消費してしまうため、稼働時間も少なくなってしまう。極力長い時間稼動に使いため、物理武器だけで勝負を決めたいところだ。

エレベータが止まり、ドアが開いた瞬間だった。

バシュンッ!

青白く巨大なレーザーが飛んできた。

エレベーター内にいたため避けるだけの広さが無く、残りのエネルギーで防御しきれず俺の機体は激しく揺れながら、消えていった。

 GAME OVER

モニターにはゲームで負けるとほぼ必ずでる文字が映っている。つまるところ俺は負けた訳だ。両膝辺りから伸びるレバーから手を離し、敗北感を味わいつつもモニター下に挿されたIDカードを取り出し席を立つ。畳一畳分ほどの広さで作られたゲームボックスから出ると、外は五月蝿く感じるほどの様々なゲーム音が入り混じり雑音として聞こえてくる。

 俺が先ほどまで入っていたゲームボックス同様の物が両隣にも、その奥にも俺の後ろにも同じものが配置されている。

今更ながらこれはゲームだ。『Over Sacrific』と呼ばれる。ガーディアンと呼ばれるロボットを動かしてバーチャル対戦することができ、オンラインにも繋がっており全国対戦もできる人気ゲームの一つだ。

今でもゲームボックスの中では先ほどの対戦が行われているのだろう。奥のほうで個々の指定で見たモニターと大きな中継モニターで対戦の様子が映っている。

これを見る限りではおそらく、こちらが負けるだろう。

たぶん出てきたら、俺をさっきまでひたすら罵倒してきた奴が再び文句と罵倒を言いに来るだろう。来た瞬間殴ってやる。

そんな事を思いながら、ゲームボックスに寄りかかり、モニターで成り行き眺め始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ