第二章
読みにくいかも知れません。
「お腹いっぱい・・・」
ラーゼは片手でお腹をさすりながら自室に戻ってきた。
彼女はシチューを2杯半も食べることになった。宿屋の主人アルカノはもっと食べろと言っていたけどそれは少しきつかった。最後のアルカノの言葉を思い出す・・・
『夕飯にも期待しといてくれよ!!』
(ごめんなさいアルカノさん無理です)
自分のお腹と相談して彼女はそう結論を得た。
以前のラーゼならこんなには食べたりする事はなかっただろう、元々小食の彼女は動きが鈍ったり腹に傷を受けた時のことを考え、五割程度しか食事をとった事がなく、今回は厚意に負けた結果だった。
(でも・・・おいしかった)
たったそれだけの事、彼女はそれだけで幸せになれた。
お腹もふくれたとこで、寝ようかとも思ったがまだ日は落ちていないので、しばらく町に出ることにした。
「人がいっぱい・・・・」
人、人、人。どこをみても人でいっぱいだった。両側を店がに挟まれた大通りを長い帽子をかぶっている男、腰に剣を携えた騎士風の男、船に乗ってきたのだろう旅商人、露天商などの他にも見たことも無いような格好の人達が通りを歩いている。
ラーゼ自身真っ黒な外套を着ているため普通なら目立つ所が、この人ごみの中では自然に感じられた。彼女より目立った格好の人がいくらでもいるせいでもあった。
彼女は人ごみの中でも他人にぶつからず器用に歩いて行く、もし彼女だけを見ている人物がいればそれは不自然なほどだったが、幸いにも気に止めている人はいなかった。
「あれは・・・・?」
通りをしばらく進んだ先で人だかりを見つけた。
「すいません、何かあるんですか?」
ラーゼの身長では中を覗くことが出来ないため、一番手前に立っていた男に声をかけた。
「ん?・・・あぁ、たぶん喧嘩・・・なのかな?見てみるかい?」
一度ラーゼの姿を確認すると男は、すぐに前を向き直り自分のいた場所をあけてくれた。男の頬が少しだけ赤くなっている気がする。
「ありがとうございます」
男の空けてくれた場所にさっと入り込む、それでもまだ見難い事にかわりは無かったが、背伸びをすることでなんとか見ることが出来た。そこには・・・・
「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
とか
「でりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
など、気合の十分入った、よくありそうでめったに聞かない声を発しながら複数の男達が誰かを睨みつけている姿があった。男達の視線の先には一人の男が立っていた。
服装はタキシード、純白の手袋に初老に見えながらするどい眼光、長身で背筋をピンとのばし直立している。まさに紳士だった。
髪をトサカのように立てた男が初老の紳士に向かい拳を繰り出す。
「ふむ、この程度ですか?」
「なんだと・・・・な・・・い、痛てぇぇぇぇ!!!!」
初老の紳士は最低限な動きで男の拳を避け、伸びきった腕の関節を狙ったのだった。それもかなりの速さで・・・。トサカ頭の男には何が起こったかもわからないようだった。
「少しお休みになってください」
初老の紳士はそういうと、トサカ頭の男の首筋に手刀を叩き込む。
「あっ・・・・」
男はその場に崩れた。
「・・・・・・っ」
その動きを見たラーゼの身体が自然と戦闘態勢に切り替わる。瞳は相手の動きを逃さぬように、全身の筋肉は即座に動くことが出来るように・・・。それはラーゼの過去、殺しを生業としていた時に身についたものだった、強い者に反応する・・・。
それに気がついたように初老の紳士がラーゼのいる方に顔を向けた。
すぐに背をかがめて紳士の視界から外れる。ちょうど別の男が紳士に殴りかかっていったので彼は視線をすぐに戻した。
その間にラーゼは緊張を解いてその場を離れた。
(危なかった〜今度から気をつけよう、でもまさか、あれだけで・・・?)
偶然という事もあるかも知れないが、あのタイミングでこっちを向いた理由が何か他にあるだろうか・・・?
もしかしたら、奴らの仲間かも知れない。そんな考えが頭に浮かぶ
(顔も見らてないだろうし大丈夫かな、いざとなったら・・・)
さっき見たばかりの初老の紳士の顔と動きが浮かぶ。
(か、勝て・・・るのかな)
まだ日は落ちていないが、早めに宿屋に戻る事にした。そして、ラーゼは明日には次の町に向かう事に決めた。
さっきの事もある、それに海は部屋から見ることが出来た。もうこの町に長いする理由は無かった。
「次はどこに行こうかな・・・」
この時、彼女の元に新しい風が吹きつつあった。
読んでくださった方ありがとうございます^^
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週一のペースを守れたらいいな〜と思っています。