第5回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞&冬の童話祭2024
ハルちゃんと魔法のゆめ
ハルちゃんは、魔法が大好き。
魔法使いになりたくて、今日もほうきにまたがってぴょんぴょんはしゃいでいます。
「いつか魔法の力でお空を飛びたいな」
ハルちゃんは、空を見上げます。
でも、ハルちゃんは、夜の空は暗いからあまり好きではありませんでした。
その夜、ハルちゃんが眠りにつくと、魔術師さんが現れました。
「あなたはだぁれ?」
「僕は魔術師さ。君の夢を叶えてあげよう」
「まじゅつし? もしかして、あなたは魔法が使えるの!?」
「お安い御用! それっ!!」
魔術師さんがステッキを振ると、ほうきが現れました。
「これは魔法のほうき、君を行きたい世界に連れていってくれるよ!」
ハルちゃんがほうきにまたがると、体がふわっと浮きました。
「わー! すごーい!」
「それでは、いってらっしゃーい!」
魔術師さんに見送られ、ハルちゃんは魔法のほうきで空を飛びます。
見えてきた洋服屋に降り立つと、スーツを着た執事さんがお出迎え。
「素敵なお嬢様、いらっしゃいませ」
「かわいらしい服をちょうだい!」
「かしこまりました」
執事さんが指をパチンと鳴らすと、ハルちゃんの服はドレスに早替わり!
「わー! すごーい!」
「お嬢様は、ドレスがお似合いでございます」
「あら、そう?」
「そして、こちらの魔法の靴がぴったりです」
執事さんはハルちゃんに靴を履かせてくれました。
「まぁ、素敵」
ハルちゃんがつま先をコンコンと鳴らすと、ドレスの色が変わりました。
もう一度コンコンと鳴らすと、またドレスの色が変わりました。
「わー! すごーい!」
「それでは、いってらっしゃいませ」
執事さんに見送られ、ハルちゃんは魔法のほうきで空を飛びます。
ハルちゃんはお菓子の家が見えたので、気になり降り立つと、白い長い帽子をかぶったコックさんがお出迎え。
「かわいいお嬢ちゃん、いらっしゃい」
「おいしいケーキをちょうだい!」
「はい、よろこんで」
コックさんがお皿に手をかざすと、ケーキが現れました。
「わー! すごーい!」
「こちらは、どれだけ食べても虫歯にならないケーキです」
「えっ!? そうなの?」
「好きなだけお召し上がりください」
「やったー!!」
ハルちゃんはもぐもぐケーキをいっぱい食べました。
お腹がいっぱいになったハルちゃんは、夢の中。
笑顔でスヤスヤおやすみなさい。
目が覚めると、もう魔法はとけていました。
「あーあ、魔法が消えちゃった。また魔法の夢見れないかな?」
ハルちゃんは、思い出してにっこり。
その日から、夜が楽しみになりました。