初めての笑み
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ガヤガヤと人の出入りが絶えない高さ八メートル程の扉近辺では、帯剣した兵士らが通行人を見据えていた。扉の下をくぐる人を見るその目つきの鋭さたるや、少しでも怪しければたたっ切ると言わんばかりであった。
「ミコ様。如何なさいました?」
目的地……王城と街を繋ぐ扉の前に到着したために、振り返ったミケルは首を傾げていた。ミコの口角が僅かにであるが上がっているのだ。ずっと大人びて居るミコであるからこそ、その笑みが可愛らしく、話の種にもなると思ったために、ミケルも気持ち微笑みながら尋ねた。
「……ぁ、と。私なにかしてしまいましたか?」
真顔のミケルを前に、悪いと思いながらも尋ね返すミコ。
その瞳には感情を読み取られないようにしているのが見えるが、(失礼な事をしている……。)と、返し方を後悔しているようであった。
ミケルからしたら喜んでいるだろうにそれを口にしないミコに疑問しか無かった。
(気づいてないと思っているのでしょうか……?変に取り繕う必要はないのですが……。)
実際。ミコは自分が笑っているのだと気づいていなかった。ミケルと朝食を取れたため、喜んでいたのだ。しかし、ミコ自身はいつも通りのつもりで、ミケルに何があったのか聞かれても答えられるはずがなかった。
「いえ。ミコ様が嬉しそうにしてらしたので。」
「ぁ……。……その。ミケルさんと朝食を取れた事が嬉しくて……。」
ミケルは奥歯を噛み締める。感情が読み取られていたのかと、恥ずかしそうに顔を赤らめるミコが可愛らしくて。自分と一緒に食べれた事を喜ぶミコが可愛くて。それで顔に出てしまうミコが可愛くて。奥歯を噛み締めなければ何を口走るか分からなかったのだ。
(そんなのいくらでもご一緒しますよ……。)
ミケルは目を瞑り高い天井を見上げ、ドクンドクン鳴る自らの心臓を落ち着かせる。少しして静かな瞳に戻ったミケルは、碧色の瞳をミコへと向けて口を開く。
「さようですか。(さようですか!?他にもかける言葉などたくさんあったでしょうに、よりによってさようですか!?)」
「は、はい。」
(あぁ……!しゅんっとさせてしまったぁ……。)
しゅんとしたミコを見てミケルはどのように挽回しようかと、優秀な頭をフル回転させて口を開く。
「この後、城と街を繋ぐ魔法陣に乗ります。(私のばかぁぁ……!!)」
心の内にて自らの言動を怒るミケルを他所に、ミコの顔からは余裕が消えていた。
「魔法陣……ですか。」
呟かれた言葉には意味がなかった。ミコの頭には付与の儀式での事が過ぎっていたのだ。脳に刻み込まれた痛みへの恐怖、魔法陣への恐怖は一日程度で消えるものではなかった。
「えぇ。街から王城までには傾斜のある螺旋状の坂道があります。しかし、その傾斜と長さがあまりにも酷なため、魔法陣が設置されるようになったのです。」
肩にタオルをかけたりしている小太りの商人らは、八メートルの扉ギリギリの高さの物から、腕の中にすっぽり収まるサイズまで様々な商品を運んでいた。
(た、確かにあれを坂道で運ぶのは大変そう……だけど。魔法陣か……。嫌だな。)
「'商人殺し'とまで呼ばれる酷く急で長い坂。ミコ様。体験してみますか?」
ミケルは軽い冗談のつもりで尋ねたのだが、ミコはかなり本気で悩んでいた。
(どうしよう……魔法陣に乗るのは嫌だ。でも……足が死ぬのも嫌だ……。)
ミコが迷うは一瞬の苦痛か、緩やかな苦痛か。
「(下手にからかうべきではなかったですね。)ミコ様?如何なさいましたか?顔色が悪いですよ。」
「ぃ、いえ。問題ありません。」
ミケルに心配されたミコは平気なフリをするが、開いた扉の奥にある淀んだ青い魔法陣を見ては、サァァ……と青ざめてしまう。
ミコの体は震えていた。昨日自らを苦しめた紫色の魔法陣と比べては、放たれる異様さも何もかもが大した事ない淀んだ青い魔法陣であるが、その形状や僅かに放たれる異様な雰囲気だけでもミコの嫌な記憶を掘り起こすには十分であった。
「も、申し訳ありません……。ミケルさん。魔法陣から行くのは少し……難しいです。」
ミコは選択した。せざるを得なかった。魔法陣から行くのと坂道から行くのと。どちらがミケルに迷惑がかかるのか天秤にかければ、気絶してしまう可能性のある魔法陣よりも、足が死ぬかもしれないが気絶はしない方が良いだろうと判断したのだ。
(……。よく分かりませんが、ミコ様の顔色が悪いのは魔法陣が関係していると見て間違いなさそうですね。)
ミケルはミコが魔法陣をちら見したのを見逃さなかった。ミコの恐れているものを察すると、ミコから魔法陣が見えなくなる位置に移動して、その碧色の瞳をもう一つの扉へ向ける。
「……承知致しました。では、坂道になりますね。坂道へ繋がる扉はあちらです。」
そう言いながらミケルが手で指し示すは五メートル程の古びた扉。
魔法陣に繋がる扉と違い、坂道に繋がる扉は人の出入りがなかった。と言うよりミコが見たところ無である。魔法陣という楽な道があるというのに、坂道という苦行を行く酔狂はどこの世界でも極小数なのだ。
「……ありがとうございます。」
ミコはミケルに対して頭を下げた。魔法陣が見えない様に自身の体で遮った事、突然のお願いを聞き入れてくれた事に対する感謝の意と、自分のせいで坂道を行く事になってしまった事に対する謝罪の意を含めて。
「いえ。時間には余裕があります。外の景色を眺めながら街へ向かうのも悪くないでしょう。」
そう言うミケルはミコの横にぴったりとつき、まだ少し震えている体を支えながら坂道へと繋がる扉を目指した。
「あ!ミケルさんじゃないっスか!こちらからなんて珍しいっスね?」
扉の横に設置されている椅子に座っていたピンク髪の身長百五十程の女兵士……アストルは、読んでいた本を閉じ、丸メガネを上げてミケルに話しかける。
「えぇ。今日は気晴らしに景色でも眺めながら街へ向かおうと思いまして。」
「そうなんスね!そう言ってこの扉を通った人達は未だ帰らないんスけど……おや?そちらのお嬢さんは?えらく体調が悪そうスけど。だいじょぶっスか?」
アストルは、ミケルが支えているミコを見た。少し顔色の悪いミコを見ては当然、坂を降れるか心配になる。ミコは顔色悪くとも軽く頭を下げてしっかりと名乗る。
「山寺ミコと申します。よろしくお願いします。」
「へぇ!しっかりした子ぉ!じゃ、君が噂の英雄さん?ほんとにちっちゃいっスねぇ!」
「……噂……ですか?」
ミコは困惑していた。自分が噂になっているなど知っているはずもなかった。
「知らないんス?新しい英雄が来たぁぁっっ!!って、街は今ちょっとした祭り状態っスよ。おかげで英雄さんを一目見ようと城へ繋がる転移陣は人であふれかえるし、城に用のない人も混ざって来ちゃうしで、衛兵も兵士も関係なく躍起になって転移陣への侵入を阻止してるんス!」
アストルから伝えられた事実。「ま、それでも坂から来るようなド根性野郎は居ないっスけどね!」と明るく胸を張るアストルを他所に、ミコは驚いていた。それはミコにとってあまりにも予想外な事であったからだ。
('英雄'が来たってだけでそんな事あるの……?)
英雄が来ただけで市民のテンションが上がり、城まで突入してくるなど異常だとすぐに分かる。そしてそれは、城の兵士らが魔法陣前にて睨みを効かせているのが良い証拠だった。それ程英雄が求められているのか、それ程の事を英雄が成し遂げて来たのか。どちらにしろミコは少し眉を寄せてしまう。
(私はまだ……英雄じゃないのに……。)
途端にしたくなる現実逃避。それは予想もつかない事に対する恐怖か、英雄という肩書きがどれ程のものかを漠然と知ったが故か、かけられているプレッシャーに耐えられるか不安になったが故か。ミコは口を噤んでしまう。
そんなミコを見てミケルは代わりに口を開く。
「アストル様。ミコ様に関わる噂はどういったものがあるのですか?」
「ぇと、確か……。まぁ、英雄さんの容姿を見た感じ結構あってるような?ぁ!そう!'見た事ある'みたいに!」
当てはまる表現を思いついて、満面の笑みで口を開いたアストル。しかし、対局にミケルは胸の内で苛立っていた。
(コルト様……。いえ、あえてクソジジイと呼ばせていただきます。やってくれましたね。)
ある程度察してしまったミケルは眉をひそめる。途端に服を買いに行くのが嫌になったのだ。
「み、ミケルさん。やめましょう……。目立つのは少し……。」
先程の魔法陣とは別な恐怖がミコを襲っていた。
「さようですか……。しかし、ミコ様の背丈に合う服は城内にないかもしれません。あったとしてもそれは……王族の物かと……。」
「そ、そう……ですか。でしたら行きましょう。」
(あ、諦めた顔だ……。可愛い……。)
ミコの顔にありありと浮かぶ諦観が可愛らしく、ミケルはにやけてしまいそうになると唇を噛んで耐える。
「じゃ、たぶん大丈夫だと思うスけど、一応見ますね。('観察眼')」
ある程度の雑談が終えたのを察したアストルはにこやかに笑った。人懐っこい笑みだった。が故に開かれたピンク色の瞳は猫のように鋭くなっていて、ミコはビクッと驚いてしまう。
(ぁ……。この目、コルトと一緒だ。)
ミコの頭を過ぎるは、付与の儀式後にコルトから向けられた瞳。昨日の事を思い出しているミコを他所に、その鋭い目は最初にミケルへと向けられ、その手持ちを確認する。
(ぅわぁ……。相変わらず、たくさんもってるっスねぇ……。手持ちの物々しさと顔の爽やかさの落差が恐怖すら感じるっス……。一体これ程の凶)
「アストル様。」
「ひゃいっっ!!?」
アストルの思考を遮るミケル。背筋を伸ばしてあわあわとしているアストルは、ゆっくりと動き出すミケルの人差し指を見つめる。ミケルは人差し指を口前に立てると、「しぃ……。」と言わんばかりに薄っすらと笑う。
「……はい。(言いたい事はめちゃあるけど)ミケルさん問題なしっス!」
「……?」
明らかにおかしい二人の様子に首を傾げるミコ。しかし、アストルの猫のように鋭い瞳を向けられてはその背筋をすっと伸ばしてしまう。
「英雄さんは……。ま、問題ないっスねぇ。」
にこやかに笑うアストルは今、なぜコルトが五百年と続けた世話役を辞めて、旅へ出たのかようやくわかった気がした。すぅ……とアストルの猫のような鋭い瞳が戻って行く事にミコが安心したのもつかの間。
「英雄さん。握手お願いするっス!」
「はい……?」
ミコは満面の笑みを浮かべるアストルから握手を求められてしまう。そんな彼女を前にしてミコは動揺を隠しきれないでいた。チラリとミケルの方を見たミコであるが、鉄仮面で何もしようとしないために、そっと手を差し出した。
「っっはぁぁ!!英雄さんと握手っっ!これは自慢になるっスねぇっ!!」
ギュッと握る手。キラキラさせたアストルの瞳はミコを捉え、にっ!と満足した笑みを浮かべる。
(ぁぁぁっっ!!羨ましいぃぃぃ!!私もまだミコ様と手を繋いでないのに!!アストル様!羨ましいぃぃぃっっっ!!!)
真顔鉄仮面のミケル。しかし内心大荒れ模様。碧色の瞳が睨むは、ピンク髪の女兵士。
(ま、アストル様も可愛いからいっかぁ。)
可愛ければ許せるミケルであった。そんなミケルを他所に、アストルはキラキラとさせた瞳でミコを見て、満面の笑みを浮かべる。
「頑張ってくださいね!小さな英雄さん!」
「……。は、はい。」
目を白黒させるミコ。今までこのような人と接する機会など無かったのだ。それもまた、'英雄'の肩書きが巡り合わせた出会いなのだと理解しては、改めて肩書きの大きさに息を飲む。
「では!お二人とも通って良しっス!」
ミコは握手した体勢のまま横へ流れ、呆然としたままミケルを見上げた。
「……。(何このっ!何このっ!かわっ!可愛すぎっ!?「どうしよう!?今何があったの!?」そんな事考えてるのでしょうか!?抱きしめたい ……!凄く……凄く!!)……ミコ様。参りましょう。」
荒らげる自らの思いを鎮めるミケルは、揺るぎない鉄仮面でミコへと語りかける。
「は、はい。」
青い線が扉に浮き上がりギィッと、ゆっくり開いて行く。二人分が開いた時に扉は止まり、そこを通って行くミコとミケル。それを笑顔で手を振り見送るアストルは、バタンッ!と扉が閉じた途端に脱力し、設置されている椅子へふらりと腰掛ける。
「はぁ……。新しい英雄さん……っスねぇ……。」
アストルが思い出すは、ミコの内側にて荒れ狂う淡白い光の粒子。いつ暴れるかも分からない様なとんでもなく危険な存在。そこから発せられた雰囲気は直ぐにでもアストルに理解させたのだ。
「ありゃコルト様逃げるわぁ……。」
悲しきかな、コルトは逃げた扱いされてしまった。
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バタンッと閉じる扉。強いとも弱いとも言えない程度の暖風がミコとミケルに吹き付ける。
「ぅっ……。」
ミコは軽く目を閉じてしまうが、薄っすらと開いた瞳に、城を中心に円状へ広がる無数の家々を映しては、広い国を囲む更に高い山々を映しては、青空を悠々(ゆうゆう)と飛ぶ少し大きいような気がする鳥を映しては、風なんて気にならないくらい目を見開いてしまう。
「ぅわぁ……。」
いつもの冷静さなど弾け飛んでしまったミコ。ドクンドクンと強く鼓動する心臓。全身を覆う外気の暖かさも相まって、その体は一瞬で熱くなってしまう。
('初めての外。童心に帰る子供。'……保存完了。)
ミケルは景色に夢中のミコを、すぐにミコファイルへと収め、そのままミコの楽しそうな顔を穏やかな心持ちで見守っていた。
(大人びた子供でも可愛かったですが、やはり、笑った顔が一番ですね。)
そう。ミコは白い歯を見せ、自然体で笑っていた。目に映る圧巻の景色と今抱いている思いを忘れまいと胸に刻んでいるかのように。それはミコがこの世界へ来て、初めて心から出た笑みであった。しかし、それも一分と続かない。ミケルの目が乾き始め、充血し始めた頃であった。
「ぁ……。も、申し訳ありません。」
ハッとしたミコは直ぐにでも気を引き締めて笑顔を消す。ミケルは恥ずかしそうにしているミコを少し残念に思うも、小さく首を振るう。
「いえ。この世界の景色が気に入ってもらえたようで何よりです。」
「……。はい。初めてです。こんなに綺麗な景色を見たのは。」
嬉しそうに。しかしどこか悲しそうに言ったミコ。
学校の遠足は日帰りしか許されないが故にミコはまともな旅行に行った事がなかった。彼女が今まで見た中で一番綺麗な景色は?と聞かれて答えるのが、家から見える夕日と答えるくらいだ。それを羨ましいと捉えられるのか、可哀想と捉えられるのか。答える相手の居ないミコには知る由もない。
しかしミコはまた笑う。嬉しそうに悲しそうに。でもそれは、確かな笑みであった。
「この世界に来れて良かったです。」
ミコの一言。それは可愛い可愛いい悶ていたミケルの思考を一時真面目にさせる。
「……。さようですか。では、ミコ様にとって更に良き世界となるよう、私も微力ながら尽力致しましょう。」
「はい。よろしくお願いします。」
改めて頭を下げたミコ。
「いえ。こちらこそ。よろしくお願い致します。」
ミケルもまた頭を下げる。
「では、参りましょう。」
「はい。」
顔を上げ、互いに見合えば二人は傾斜四十度程、螺旋状の長い坂を気をつけながら降り始める。
おまけ
「ミコ様。疲れては居ませんか?」
「はい。今の所は問題ありません。」
「ただ降りるのも暇ですね。軽くですが、私が街の事を説明致しましょう。」
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、ではまず何が気になりますか?」
「(あ、質問形式なんだ……。)そうですね、では、街の家は色が赤・青・緑。それぞれの派生色で統一されているのですが、あれは一体……。」
「はい。まずそれぞれの色の意味ですね。赤は一般人の家。青は宿屋。緑は店とざっくり分けられていますね。」
「へぇ。やっぱり分かりやすいようにですか?」
「それもあるでしょう。書籍に載っている写真からすると、かなり昔からこのような感じであったと予想されます。なぜこの色のなのかは記載されておりませんが、恐らくミコ様の言った予想で間違いないかと。」
「でも、色は系統さえ合っていれば良いのですね。赤でも色んな種類が見られますが……。」
「そこは人の好き嫌いですね。人によっては家を真っ黒にして、「これは黒寄りの赤だぁぁぁあ!!!」と訴える者も居ますよ。」
「(黒い家……。あれだ。わかりやすい……。)……造形も建てる場所も自由そうですね?」
「えぇ。我が君の通る道……王道を遮ったり見栄えを悪くさえしなければ、基本的には許されます。中には「俺がジャックになるやるんだぁぁぁ!!!」と言って、上へ上へと家を伸ばしては、崩してしまうような輩も居ます。その為、高さは二階までが限度になりましたが。」
「(崩れた家……あれか、なんかバベルの塔を築いて倒したみたいになってる……。)……じ、じゃあ最後に聞いていいですか?」
「はい?」
「どうしてこんな高いところに王城を建てたのですか?」
「それについては、王国建設記第一章に記載されています。「わし高い所でなければ嫌じゃ!!嫌じゃ嫌じゃ!!」……初代国王の一言です。」
「(……グランツ王さんも言いそうだな。)」
「我が君が言いそうな事でしょう?」
「ぁ、いえ、そのような事は……。」
「問題ありません。我が君自身おっしゃっていたそうですよ。「なんじゃ!?過去にワシがおる!?なんでなんしゃ!?なんでなのじゃぁ!?」と。血は争えない様ですね。」
「ぷっ。」
「今、笑いになられましたね?」
「い!いえ!わ、笑ってなど……。」
「ふふ。いいじゃありませんか。可愛らしいですよ。」
「っっ!!そ、そんな事……。」
「(照れた!可愛いぃ!!)……と、おや。下リだからですかね、思ったより終わりが早いようです。」
「そうですね。楽しいお話ありがとうございました。」
「いえ。ではあと少し、気をつけて参りましょう。」
「はい。」
(多少距離は縮まった……のでしょうか?ま、一歩は確実に進みましたね。)