キャヴェンディッシュでも顔が世界一好みだとなんでも愛せる
日常(大学2年生)
20××年4月1日
みんなよりもひと足早く学校に足を運んだ。まあ4月になったからそういう表現をしただけで勉強だなんだで結局毎日来ている。今日は勉強を早めに切り上げて帰ろうと思い、いつもより早く席を立った。足は門へ向かっていたが野生の勘というかなんというか中庭に行かなくてはいけない気がして中庭へ進行方向を切りかえ向かった。
そこでは案の定涼くんが椅子を沢山並べ日光浴をしていた。
「涼くんおはよう」
「あぁみやびちゃんいいところに。
そこのシールとれそうだから上からおしてくれない?」
ふくらはぎに貼ってある可愛らしいシールを顎でさし、そうお願いしてきた。
「もちろんいいんだけど何してるの?」
「日焼け止め塗ったところと塗ってないところでどれだけ焼け方に違いがあるのかなって気になったら試してみたくなってさ」
だから試してるとのほほんとした口調で説明してくれた涼くん。
なるほど。彼らしい疑問だ。なんなら大学生になるまで試さなかったのが不思議なくらい。
「へー、あとどのくらい焼くつもりなの?」
「うーん日が沈むまで…?」
「じゃああと2時間ぐら「うわっ!!」あーーーー!」
何時間前から肌を焼いているのか知らないが徐々にズレていったであろう椅子が限界をむかえたらしく体勢が崩れそうになった。咄嗟に手がでた自分を褒めてあげたい。目の前で彼の顔に傷なんてついたら自分を恨んでも恨みきれない。傷がついてもそれはそれでかっこいいと思うが。それよりも本当に危なかった。
「わ、さすが元陸上部のみやびちゃん。反射神経がいいね。」
「まあね」
返事をしたはいいが顔が近い。
「ねえあと2時間そのまま支えてくれたりしない?」
さすがに無理なお願いだと思うのか申し訳なさそうに顔をのぞきこんで頼んでくる涼くん。
「(うわぁ何その顔信じられないぐらいかっこいいんだけど四捨五入しなくても天使だよ地上にいてもいいの?はー今日も顔がいい)」
「みやびちゃん、?やっぱダメだよね…」
「あ、ううん、大丈夫だよ。椅子飛んでちゃったからね。」
「やったぁ。じゃあ、あと2時間おしゃべりしていようね〜」
そのあとはご飯奢るね。と楽しそうに話している彼の顔をあと2時間も眺められるなら肩を支えるぐらい容易いことだ。
時々通りかかる先輩や同期に「キャヴェンディッシュまた変なことに彼女付き合わせてるじゃん」なんてからかわれながらも世界一大好きな顔を堪能させてもらったし彼にご飯まで奢ってもらって幸せなエイプリルフールだった。