4.カルト教
※注意※
「カルト教」とは主人公達のいる国の国教の名前であり、我々地球人が想像するあのカルト教ではありません。予めご了承ください。
私──カルア・ミルはカルト教所属の諜報員だ。
カルト教というのは、カルトというこの国の神を崇める国教らしい。私は少し前まで別の国にいたから、どうもこの国の生活様式には慣れない。
「報告に上がりました、シスター・ホワイト」
っと、私のことはいい。
目の前の私の依頼人は、かの聖女候補の1人であり、Sランクギルドのメンバーでもあるらしいシスター・ホワイト。確か、本名はリリーホワイトだったか。
先日、とある人物を退治して欲しいと依頼があった。名前は確か……ナルという男だ。
「どうでしたか?」
「いえ……それが、あの少女も共に行動していたようです。全員、跡形もなく殺されました」
「そう、ですか」
そう。いつまでも報告がなく、調査に向かうと既に彼らは殺されていた。恐らく、スピエルという少女がやったのだろう。
「どうやら、あのヒトモドキと悪魔の子を一緒に追放したのは間違いだったようですね」
「え、ええ、そうですね」
「てっきり、無能な人間は放っておいて、1人で行動するのかと思っていましたが……」
ナルという男は、確か魔力がない欠陥を抱えた人間だったはず。
一方のスピエルという少女は、遠目で見ただけでも物凄い魔力を保有していた。あれこそを退治するべきではないだろうか。
「あ、あの……あのナルという男は、それほどまでに脅威なのでしょうか?魔力がないのでしたよね?
退治するのは悪魔の子の方では……」
「いいえ。悪魔の子は強いだけの人間ですよ。人を殺すなんてダメですよ」
……本気で言っているのか?
いや、勿論教義でも人を殺めることは禁止されているが。
でもこの人は、多くの人間を殺している。それが義務であるかのように。
「いいですか?魔力というのは、本来生命に絶対に必要なものなのですよ」
「え、では」
「はい。彼はモンスターです」
なるほど。それで彼のことをヒトモドキと言っているのか。
人に擬態するモンスターもいるから、有り得なくはないが……そこまで人に溶け込めるものなのか?
「さて、各教会に、白髪の少年と黒髪の少女の2人組を見かけたら知らせるように通知してください」
「はっ」