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サンダーソード研究

 ダンジョンへの調査か……確かになんか心躍る感じはする。

 シュタイナー氏は言動やステータスを見るに、かなりの権力者である可能性が高い。

 サンダーソードの為に金を貯めていた頃の俺だったらコネクション目当てに依頼を受けたと思う。


 何より冒険者になりたいというリーサの経験にも良さそうだしな。

 本人に聞いてみるか。


「どうする? 依頼を受けてみるかい? もちろん先を急ぐのでも良い思う」

「チドリさんはどうしたら良いと思いますか?」

「こういう事を自分の考えで決めるのも冒険者なんだ。例え美味しい話や受けないと立場的に危うい依頼だったとしても、自由に選択する事が出来る」

「……」


 まあ、それが原因で死んでしまう冒険者も多いけどさ。

 依頼の途中で死ぬ場合もあれば、依頼を断ったから殺されてしまった、なんて感じで、どっちを選んでも地獄って事もある。

 ここ等辺は経験や勘を養っていく事で解消されていく。


 俺としての経験や勘を信じるに、シュタイナー氏の依頼であれば大丈夫だと思う。

 その理由として、シュタイナー氏が孫を連れている事も加味している。

 これ程の経験者が危険な所に可愛がっている孫娘を連れて行ったりはしないだろう。


「……う、受けてみたいです」

「わかった。依頼を受けさせてもらいます。その後はイストラまでお送りしましょう」

「それは助かる。ワシ達も調査後に行く先は同じなのでな」

「しばらくよろしくお願いますね」


 と言う訳で俺達はシュタイナー氏の提案を受けてダンジョンへの調査に同行する為、シュタイナー氏のやや小さい貴族用っぽい馬車に乗り替えた。

 ちなみに同行している馬車は数台ある。

 調査団って感じらしい。


「ではワシらはこっちじゃな」

「ええ」

「ありがとうございましたー」


 途中の別れ道で俺達はキャラバンの人達と別れて進んだ。

 何だかんだ賑やかで良い所だったな。

 ちなみに魔物を倒したお礼とかで食料とか色々ともらっている。

 馬車を運転する従者の人は俺達を快く迎え入れてくれた。

 30代くらいのやや草臥れた印象のある男性だ。


「……この調子で進めば明日には到着するじゃろう」


 シュタイナー氏が行く先を見て呟く。


「その調査したいダンジョンってどんな所なんですか?」

「うむ……ワシらが向かっているダンジョンはヘーブナーの地下迷宮と呼ばれる、元々は行商用のトンネルを掘っている最中に発見してのう。地域の昔話では高名な錬金術師が築き上げた迷宮じゃ。遥か昔、何らかの災害か事故で地下に埋没してしまった建物だったそうじゃ。調査に入った者の話では今もダンジョン内では様々な魔物が闊歩しておるそうじゃ」

「災害……」

「うむ……一夜にして沈んだと語られておる。そこに住んでいた錬金術師が何らかの魔術を施して今の形になったのじゃろうと囁かれておる」


 どうやら厄介な迷宮であるようだ。


「ダンジョンの調査と聞きましたが、そのダンジョンの奥深くへの調査と言う事で良いのでしょうか?」

「一応はそうなるが、一番の目的はダンジョン内で増え続けている魔物の原因を調べることじゃな」


 何でも話によると今回向かうダンジョンは、山をくり抜いて通行用の通路にしようとしていた所を、埋没していたダンジョンの壁を開けてしまったことから魔物が溢れて来る事になってしまった、という経緯があるのだとか。

 俺がいた方の異世界だとダンジョン内だと独自の生体系が成立しているとか魔素が溜まっていて魔物が形作られたとかあったけど、こっちの異世界だとどうなんだろうか?


「どこかに錬金術師が仕掛けた魔法陣、もしくは魔法道具が残されていて、それが悪さをしているのだろう、というのがワシの読みじゃ」

「見つかれば良いですが……」


 あるかどうかわからないダンジョンの魔法陣の調査をするのは相当時間が掛りそうな予感がする。


「そこはどうにかするほか無いのう……出来なかったらその道を封鎖するほか無いのでな」

「わかりました。俺も出来る限り協力します」

「うむ……それとレナとリーサ殿がダンジョンで魔物を相手に戦闘を経験する良い機会じゃろ?」


 ああ、その辺りも視野に入れている訳ね。

 ダンジョン内での戦闘って地上とは異なり狭い所が多いからなぁ。

 味方をすり抜ける魔法があるなら良いんだけど、無い場合は誤射に気を付けないといけない。

 使う魔法の選択なども重要になってくる。

 まあ俺は魔法が使えないから、あくまで剣士から見た魔法使いの話だが。

 この辺りはシュタイナー氏が魔法系のスペシャリストなので上手く教えてくれるだろう。


「危ないからダンジョンの外で待ってもらうという方法もありますが……」

「……ん」


 リーサが俺の服の裾を掴んで見つめて来る。

 相変わらず無表情だが、置いて行かれるのはイヤって顔に出ているなぁ。


「魔法を覚えた……」

「私達は足手まといじゃないですよ」

「ほっほっほ、そうじゃな。何事も経験じゃ。幸いワシの調べた限りではこの布陣ならば手間取る相手はおらん」


 まあ大人数を連れて行けば大抵どうにかなるか。

 それと強敵の出る様なダンジョンでは無いって事なのかもしれない。


「それなら良いんですけど……」


 やや不安だけど誘われた身だし、気を引き締めて行かないとな。




 なんて感じで馬車に乗って俺達はどんどん進んで行った。

 やがて日が落ちかけた頃……馬車を停めてキャンプをする事になった。

 俺達は手慣れた様子で野営の準備を行う。


 人数が増えたから休むのも大分楽だな。

 キャラバンに居る時とあんまり感覚は変わらない。

 なんだか賑やかな感じが続いて焚火を囲って夜が更けていく。


 食事を終えた俺達はそれぞれ明日に備えた作業を始める。

 俺はサンダーソードのメンテナンス。

 リーサは魔法の反復練習。

 シュタイナー氏はダンジョンの資料を再確認。

 レナさんは何やら分厚い本を読み耽っている。

 従者の人には見張りの為に先に休んでもらっていた。


 さて……サンダーソードに関してだが……。



 武器項目

 マッドストリームイヴィルオクトパスの魔石 ■□□□□

 使用可能技能

 ブラインドライトニング2 アームドサンダー2 ヒーリングサンダー 水中活動(大) 水龍の力 水雷龍刃



 しばらく魔石を着用していたら□のメモリ部分が変わって使用可能技能が増えた。 

 それと2と技能が増えたのも確認している。

 どうやら長く着用していると魔石の力をより引き出せる様になって行く仕組みの様だ。

 完全に確認した訳じゃないけれど、ステータスの数字も大きくなっている気もする。

 ここでグレークリムゾンブレイドボアの魔石に付け変えてみよう。



 所持装備

 グレークリムゾンブレイドボアのプラズマブレイド

 異界の魔獣の皮鎧


 武器項目

 グレークリムゾンブレイドボアの魔石 □□□□

 使用可能技能

 プラズマスラッシュ 突進 スマッシュ ハイスピードサンダー ブレイドマスタリー3



 とまあサンダーソードの名称まで変わってしまう結果になった。

 尚、サンダーソードの形状は分厚いロングソードっぽい感じになるんだけどね。

 鞘もサンダーソードに合わせて形が変わるから助かる。


 攻撃力とかの数値は言うまでもなくタコの魔石の方を装着した方が高い。

 一段階か二段階位、ブレイドボアの魔石の方が性能が下かな?

 まあ……どう見てもタコの方が格が上っぽいもんな。

 水龍の力を随分と取り込んでいたらしいし。


 ただ、タコの魔石一本だけでどうにかして行くってのも間違いだと俺の冒険者としての勘が告げている。

 何分、俺は手に入るスキルポイントをサンダーソードマスタリーに全振りする予定なので、その辺りの補填を魔石で補おうと考えている。

 ちなみにこの前倒したパープルトロンボ-ンオウムの魔石を装着するとサンダーソードの形状がレイピアみたいになる。



 パープルトロンボ-ンオウムのサンダーレイピア


 武器項目

 パープルトロンボ-ンオウムの魔石 □□□□

 使用可能技能

 プラズマスナイプ 轟音波 音響把握 プラズマフェザー レイピアマスタリー3



 ちょっと癖のある代物って感じだな。

 攻撃力も他二種に比べるとやや心もとない。

 一応早さは上だけどさ。


 なんて言うか……サンダーソードには無限の可能性が眠っているのをヒシヒシと感じる。

 エロッチの加護は凄いな。


 ここまで成長性があるのだから、あっちの世界で買うに値しないとか言っていた奴等を見返したい気持ちになってくる。

 まあ、あっちの世界じゃ魔物に魔石なんて無いから魔宝石を埋め込む感じなんだろうけどさ……。

 きっと魔宝石によって形状が変化したんだろうな。


 そうだな……もしも俺が殺されていなかったら、次の目標は黒曜石の魔宝石にした思う。

 なんとなく相性が良い気がする。

 これもサンダーソードマスタリーのランクが高くなった影響かもしれない。


 そんな感じでサンダーソードの手入れがひと段落着いた所で、ふと気付く。

 レナさんが指先に火の魔法を出して練習しているリーサの事を、なんか羨ましそうな目で見ている事に。

 そしてじっと見ているとレナさんが俺の視線に気づいてサッと本に意識を集中しながら、ちょっとだけ肩を揉み出す。

 暗いから目にはあまり良くないかもしれない。


「ふう……」


 その様子をシュタイナー氏も見ていた様でちょっと疲れた感じに息を吐き出している。

 ここでレナさんはちょっと眉を寄せたかと思うとリーサと同じく魔法の練習をし始めた。


 えっと……水の魔法の練習かな?

 藪の方へ水を作り出して飛ばそうとしている。

 ただ……リーサの様に簡単には行かないようで、水が靄みたいな形で集まっては霧散してしまう。


 そんな様子をリーサは……申し訳なさそうに火を出す魔法をやめて足のマッサージを始めた。

 別に歩きっぱなしって訳じゃないのだから浮腫んではいないと思うんだが……ちょっと気不味いのはわかる。


 で、リーサは水龍の腕輪を何度も腕の所で回して……迷う表情をしてしまった。

 それは水龍がリーサの為にあげたモノだから、レナさんに貸すにしても良い事じゃないと思う。

 シュタイナー氏も初めてリーサを見た時に良い魔法効果のあるであろう腕輪を付けていると言っていたもんなぁ。


「その……レナさんも魔法使いなんですよね?」


 気不味いので、とりあえず声を掛けて話題を変えよう。


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