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職業

「ふん……まあ良いか。じゃあまず自己紹介から始めるぞ。今回の冒険者講習、初級を受け持つホルツだ。ホルツ教官と呼べ」

「はい。ホルツ教官」

「ホルツ教官……」


 俺とリーサがそれぞれ答える。

 若干ホルツ教官の眉が刎ねた気がするけれど気にしない方向で行こう。


「まずは俺からですね」


 ここで偽名を言うとか考えが過ったりするけど、別に本名で名乗っても良いだろ。

 そもそも何に警戒するって言うんだ。

 とりあえずリーサの話から聞いた所だと、名字と名前では、名前を先に名乗ると言うのは異世界でも変わらないらしい。


「千鳥=文月と言います」

「リーサ=エルイレア……です」

「ふむ……短い間だがよろしく頼む」


 で、ホルツ教官は俺を見て来るのでリーサに教える様にと顔を向けて合図を送る。

 とりあえずリーサに教える内容を俺が一緒に聞く事が重要なんだし。


「それでは……何から教えたものか……総合ギルドの使い方を知らなければこの講習を受けることは出来ない訳だしな」

「えっと……冒険者として強くなるにはどうしたら良いのですか? それさえも……その」


 リーサが俺の方を見返してくる。

 うん。この世界の法則を俺は知らないからね。


「……まあ、こんな子供じゃ知らない奴もいるか。良いだろう」


 ホルツ教官は腕を組んでリーサの前に立つ。


「良いか? 胸に手を当てて心臓の鼓動に意識を集中させ、やや強めに前に引っ張る感じに意識をしてみるんだ。初心者は手で引っ張る様にやるとやりやすい」


 言われて俺もリーサと合わせて心臓に意識を集中させて何かを出す様な感じで引っ張る様に意識してみる。

 すると……パソコンとかで最小化させたブラウザが飛び出すみたいに何かが視界に浮かび上がってきた。

 同時にサンダーソードがパチッと反応した気がする。



 文月千鳥 Lv35 男 種族 人間 職業 剣士Lv40

 習得技能 力向上4 体力向上5 早さ向上6 視力向上4

 異世界言語翻訳 ラルガー流剣術5 サバイバル技能7 交渉術4 品質鑑定2 品質管理2 アーマーマスタリー2 気配察知4 回避技能3 

 スキルポイント40


 所持装備

 マッドストリームイヴィルオクトパスのサンダーソード

 異界の魔獣の革鎧


 武器項目

 マッドストリームイヴィルオクトパスの魔石 □□□□□

 使用可能技能

 ブラインドライトニング アームドサンダー 水中活動(大) 水龍の力 水雷龍刃 



 おお……まさしくステータスとしか言いようがない代物が出てきたぞ。

 細かいステータス表示もあるみたいだけど……うん。

 これはまさしくゲームみたいなステータスアイコンに見えるな。

 しかも習得技能って項目が存在していて自ら選べるみたいだ。

 あ、職業の部分に▼アイコンがあって目でカーソルを合わせると一覧が出て来る。



 異世界人Lv1

 商人Lv1

 狩人Lv1

 剣士Lv40

 魔法使いLv1



 就ける職業も色々あるんだな。

 試しに狩人に変更すると何か少し力が抜ける感じがした。

 その場で転職できるのか? 結構便利そう。

 そう思って剣士に戻そうとしたら時計のアイコンが出ている。

 再転職には時間が必要らしい。

 ふむ……興味深い。


「なんか出た……」


 リーサがそう言いながら目を泳がせている。

 が、リーサの前には何も浮かんでいない。

 もしやこれってそれぞれ自分にしか見えない奴なんだろうか?


「それがお前のステータスだ。重要なのはLvと職業、その項目を確認しろ。それが神がお前に授けた加護だ」

「えっと……Lv12、職業は魔法使い……」

「ふむ……まあ、そうだろう。その華奢な体付きならまず商人か魔法使いだからな。何が向いているのかわかったな」


 まあ、リーサは水龍の腕輪もあって魔法が向いているだろうってのは俺でもわかっていた。

 才能があって良かったな。

 向いている物がわかれば努力もやりやすくなる訳だしさ。


「これって……?」


 リーサが首を傾げている。


「この世界の生きとし生ける者の大半は胸……心臓と呼ばれる所の近くに魔石という臓器がある。この魔石が無い生き物は生き物では無い、と言うのが通説なのは蛇足としてだな」


 ああ、イノシシも狼も心臓近くにあったな。

 アレがここで何の関わりが?

 って……つまり魔石はこの世界の人間にもあるって事で良いのか。


「生命が死ぬ時、その生き物から循環している魔素が周囲に霧散し、近くに居る生き物の魔石の中に吸収されて魔石が成長して行く、その魔石の恩威として俺達は強靭になり成長するって事だ」

「じゃあ……魔物を倒したらその魔石からもっと魔素を取れるの?」


 俺が知りたい事をリーサは教官に聞いてくれる。

 助かる。


「残念ながら絶命後の魔石の中に残っている魔力は成長に使われる魔素とは異なるのが分かっている。だが、使い道が無い訳ではない。生き物の魔石に蓄積された魔力が明かりや様々な道具の材料、魔法の触媒に使われたりするからな」


 ふむ……つまり魔素と魔力は別で、生き物が生きている間は生き物の体の中で魔素と魔力が循環している。

 生き物が死ぬと魔素が体外に漏れだして別の相手に吸収され、残った魔力の塊が魔石として残る、と言う所か。


「この程度の事も貴様は教えていないのか?」


 教官が俺を怪訝な目で見て来る。


「ははは……」


 愛想笑いで誤魔化しておこう。

 あるいは、まだ関係が浅い事を匂わせるか?


「はあ……どう言う理由で一緒に居るかは知らないが、確かにそんな子供をお前みたいな奴が教えるよりは教わった方が良いな」

「そう思って来たんだ」


 胸を張るなって目で見られたけど、不自然じゃないはずだ。


「えっと、魔法使いってどんな事が出来るの?」


 リーサはお金を無駄にしたくない一心なのか、食い入るように教官に尋ねる。


「魔法使いは攻撃も回復も補助も使える万能魔法職だ。だからと言ってどれもこれも魔法を覚えるのはあまりお勧めできん。時間は有限だしな。器用貧乏になりかねん。才能の無駄にもなる」


 魔法にも才能の概念があるのか。

 得意属性という奴だな。

 こりゃあ難しいぞ。


「魔物と戦ったり、鍛錬をしっかり積めば魔石が成長し、やがて魔法使いの上位職へと至るだろう。大体が魔術師……信心深ければ僧侶になれる。自分が何に向いているかを鍛錬をしながら見極めると良い」

「……はい」


 リーサが素直に頷く。


「基礎の基礎はこの辺りか……他に知りたい事はあるか?」

「えーっと……」


 リーサが俺の方を何度か視線を向けて来る。

 うーん……聞きたい事は大体分かってきたけれど……。


「新しい魔法を習得するにはどうしたら良いの?」


 ステータスを見る限りだと習得技能の項目を弄れば使えるようになりそうだけどいきなり試すのはちょっと怖い。


「そんなもの、しっかりと鍛錬……Lvを上げ、しっかりと学ぶ……そうだな、覚えたい魔法の習得最低Lvになったら魔法使いの魔法習得講座で講師から教われば出来るようになるかも知れんな。才能も必要だからすぐに使えるようになるかわからんがな」


 つまり、必要Lvを満たして魔法の唱え方を教われば使えるようになるかもしれないって事みたいだ。

 うーん……俺が前に居た異世界とはやっぱり法則が違うんだな。

 俺が居た方の異世界だと剣術とか教わる感じだった。

 Lvとか無かったし。


 ただ、魔物を倒すと体が強靭になって行ったのは変わらないな。

 俺のLv……35で剣士の職業Lvが40だけどこれは元々居た世界からのモノなんだろうか?

 まあ、日本人組の中じゃ弱い方だったけど、結構微妙なLvじゃないだろうか?


 この世界のLv上限ってどんなもんなんだ?

 俺が聞くと不自然さが出て来るから聞けない。

 リーサに察してもらうには……ちょっと難しい疑問だな。


 ただ、職業のLvを幾ら上げても習得出来ない魔法とかあるみたいだから困りものになりそうだなぁ。

 とりあえず……習得可能技能を確認して、割り振って置いた方がこの先無難か。

 サバイバル技能が7ってのは俺が猟師をしていた経験から来ているのはなんとなくわかる。


 しかし……俺自身は割り振った覚えは無いのだが……転移した直後に自然に割り振られたって事なのか、あっちの世界で既に習得していたって事なのかよくわからない。

 少なくともラルガー流剣術はあっちの世界の武術だけど。


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