同窓会SS
とある青年がふと見たカレンダーから、同窓会のことを思い出す。
ふと卓上のカレンダーが目に留まった。
独身アラサーのサラリーマンである私が休日出勤から帰り、床につく前のことだった。
今日からちょうど一週間後の日曜日、高校の同窓会がある。これまで何回もやって来たが、今回は、確か6年ぶりだったろうか。そうだ、卒業してから、4回目だったはずだ。厳密に覚えているのも変だとは思われるだろうが、それもそのはず。そもそも全部私が幹事を拝命しているのだから。
全く、あいつらも毎回幹事を押し付けるとは。高校時代、学級委員長でも生徒会長でもなかった一般生徒に、お前以外に適任者いないんだから、って。まあ、何だかんだ言いながらも、快く引き受けてしまっている私も私であるが。
さて、感慨に耽っている時間でもなかったか。明日も仕事がある。いくら一ヶ月前に休暇を申請しているとはいえ、平時の出勤サイクルを乱すことになっているわけだし。まともに休暇をとりにくいうちの会社が、世間では準ブラック企業と言われている理由も頷ける。
寝よう寝よう。
同窓会のことを考えていた為か、その日は高校の時の修学旅行の夢を見た。懐かしい記憶だ。
宿泊先のホテルで、いくらバイキングだからといって、蟹ばっかり取ってたあいつら。自重と言う言葉を知らないのか、そこのテーブルだけ蟹のからの山が出来ていたな。さすがにホテル側の従業員の顔は見てなかったが、予想はできる。
夜遅くにベッドを抜け出して、逢い引きしてたリア充のせいで、担任の先生に全員叩き起こされて、理不尽な説教貰ったこともあったな。寝起きのせいで、何言われているか解らなかったが、普段怒らない先生だった分、新鮮だった。
そういえば、たしかそのリア充の片割れが、大寝坊したせいで、うちのクラスだけ出発遅れたんじゃなかったっけ。全くもって、爆発しろよ。
おかげさまで、前に追い付こうとスピード超過したバスは、案の定警察のお世話に。あのとき初めて間近でサイレンを聞いた。いい経験だったが、二度と経験したくない。
そんな最高の思い出は、突然なった携帯のアラームによって叩き割られた。この世に目覚ましほど空気を読まない物はない。
今日も一日が始まる。週末に同窓会があるが、幹事である分だけ気が重い。ただ、開催前の事務仕事は、仕事のせいで慣れている為か、完璧に済んでいると自負できるのが救いか。
いつものスーツを着る。その隣にかかっているのは、同窓会に来ていく用の、黒の一張羅。この一張羅とも、長い付き合いか。
いつも変わらない日常業務が過ぎていく。
そして日曜日。その一張羅を着て向かう、同窓会の会場 。今回も、出席者は全員。勿論、全員笑顔だ。十二年前と変わらない顔で。
次は、四年後か。あいつらまた私に幹事を押し付けるのだろうな。
お前しか生き残ってないんだから、当然やってくれるよな、と。
勢いで一気に書き上げたショートショートなので、稚拙な文章になっていると思います。
実話成分1割強で残りは妄想です。どことは言いませんが。