とある殺人鬼と少年の話(エンディング風味)
意味なんて無いですよー
落ちなんてないですよー
ちょいちょい残酷です
良ければどうぞ
がんっと信じられないくらいの衝撃が、僕の背中を突然襲った。
「ぅあっ……っく!」
衝撃はそのまま熱の塊となって僕の体を突き抜ける。背中からお腹まで無理やりねじ込まれた“それ”は、何か赤色のもので染まったまま僕の腹から『こんにちは』した。
「うぐぅあぁっ!! ……」
僕も自分のお腹を痛めて生み出した“それ”に『こんにちは』したかったけど、残念ながら今の僕は這い蹲る毛虫程度に力のない生き物であり、その僕の本来持っているはずの能力を10分の1ほど制限している背後の謎の人物に抗議の声すら上げられない状況なのである。
まあ、このままだと『こんにちは』どころか『さようなら』になってしまうんだけどね。
「やあ。気分はどうだい、少年。どうにもね、今までの人達は私が問いかけても答えてくれなかったんだよ。不親切な人達だね。少年はそんな風になっちゃ駄目だよ。自分のことしか考えない……私みたいな大人には、さ」
まるで少年のような低いけど高めの声、20歳くらいの女の人のようだ。背後にいるので顔とかは見えないが、その声は凄く優しそうな雰囲気が漂っている。こんな人が僕の背中を刺しているなんて、とてもではないが信じられない。
「まあ、少年はまだ若いから、私みたいに捻くれてたりはしてないと思うよ。私は捻くれ過ぎて一周してきちゃったからね。そんなんで殺人鬼をやってるんだけど、少年は運が悪かったね。少年はいつか殺す心算ではあったけど、今日殺すことになるとは思ってなかったよ。
そして、私も今日は運が悪かったようだ。殆んど突発的に少年を刺しちゃったからね。今回ばかりは私も捕まるかもしれない。…………まあ、お互いこれが最後ということだ。諦めてくれ。
でも私は、最後に殺すのが少年でとても嬉しいよ。勝手な言い分ではあるけど、少年を殺すことで私の人生にピリオドが打てるなら…………それは、素直に喜ぶべきことだよ」
そろそろやばい、と自分の頭のどこかが告げた。
やばい? やばいだって? いったいどうしたらそんな言葉が出てくるのだ。ヤバいどころじゃない。絶体絶命だ。
遅まきながらも僕の頭は生命の危機を感知したらしく、無意識のうちに体が“それ”――――――大振りなナイフだ、こんなものが貫通しているならどう足掻いたって僕は死ぬだろう――――――から逃げようとした。
「おっと、駄目だよ」
「――――――――――――っぁ!」
背後の人はナイフを握りなおし、僕の耳に口を寄せて切なそうに囁く。
「少年は私のことなんて知らないだろう。でも、私は少年のことを知ってる。だからどうという訳でもないが。
……私は少年を遠くから眺めるのが好きだったんだ。でもそれも今日で終わりなんだ。………………さよならを言う前にさっきの質問に答えてくれると嬉しいんだけど。答える気あるかい? 別に無くても良いよ。」
痛い、お腹が破けてるんだ。それに血が流れすぎててそろそろ寒くなってきた。今はナイフが刺さったままになってるから大して流れてはいないが、抜いてしまえばものの数秒で逝けるだろう。
畜生、何で僕が。死ぬのか? 僕は死ぬのか? こんな路上で? 見知らぬ殺人鬼に刺されて? 冗談じゃない。死ぬなんて真っ平だ。大体、こんな最後は物語としても人生としても可笑しいだろ。こんなところで終わりを迎えるはずじゃないんだ。就職して、結婚して、子供生んで、引退して、病気か惚けて死ぬ。それが普通の人生だろう? 人間80で死ぬとしても、僕はまだ後60年以上生きれるはずなんだ。それが…………こんなところでこんな風に――――――死ぬ?
死ぬ。その言葉がまるで壊れたCDプレーヤーのようにリフレインする。頭の中に『死ぬ』という言葉が氾濫する。死ぬ、死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。死ぬ死ぬしぬしぬし主ぬ品ないし脳死にマス死ぬとき死ねば――――――
「――――――――――――死ねよ」
それは僕の声だったのだろうか。おそらく僕の声であったろう。白い靄に覆われた脳味噌ではそんな事ですらはっきりとしない。死に掛けの僕の頭は相当処理落ちしていて、何かするにしてはあまりにも役に立たない。
「ん? 少年、何か言ったのかい?」
役に立たない蟹味噌以下の頭でも、気力さえあれば死に掛けの体でも動かせるものだ。僕は素直に感心する。人間って素晴らしいね。
僕はすでに感覚の無くなり始めている手足を動かして、背後でナイフの柄を握っていた女性を渾身の力を持って突き飛ばした。
「っっな!? 少年、死ぬ気かっっ!?」
今まさに殺そうとしていた人の言う台詞ではない。それは、限りなく場にはそぐわない物ではあったが、最高の冗句だ。
「――――――ぁ…………か、っぐ」
ナイフが無理やり引き抜かれた所為か余計なところまで傷ついてしまっているらしい。両手を使ってお腹と背中、両方に開いた穴を押さえつける。勿論そんな行動に大した意味はない。傍から見ればすぐに出血多量で死んでしまわないように、手で血が溢れるのを防いでいる様にも見えるだろう。でも、僕はただ単にお腹と背中があんまりにも痛かったもんで、思わず抑えちゃっただけなんだ。ちなみに、手で押さえたら自分の傷口に自分の手を突っ込む形になってしまって余計痛かった。
僕に残された時間はもう少ない。それは自分が縮めたものではあったが、酷く短く感じる。
「……っ、ぅ、い、今どんな気分かだってっ……?」
今ほど自分の口が鈍いと感じとことはない。そうして喋っている間にもどんどん血は溢れていっていて、今にも倒れそうだ。
僕は口を出来るだけ早く動かしながら僕を刺した女の人を振り返った。
そして後悔した。
「――――――――――――あ」
絶世の美女…………というほどではないが、きれいな人だと思った。でも、そんな気分や感想を吹き飛ばしてしまうほどに、僕はその女の人に目が釘付けになる。
きっとこの人とその辺の街角ですれ違っても僕は大して気に留めなかっただろう。では、何故僕はこの人に見惚れているのか。答えは実に簡単で、そろそろ動かなくなり始めている僕の脳味噌でも直ぐに答えが出た。
絵になる、といった表現が一番似合う。まるで、そこに最初から存在してたかのように、パズルのピースみたいにごくごく自然に、しかし背景に埋もれることなく異様なまでの存在感とともに、彼女は超然と佇んでいた。
「っっ少年!」
何故か焦った様な彼女の声を聞いて僕は我に返った。不味い、見惚れてる場合じゃない。だがその時既に、僕は口を開く気がなくなっていた。
視界がふら付く、と思った直後には僕の体は自分の作った血溜まり中に倒れこんでいた。
ああ、死ぬのか、僕は。
「―――!! ――――――!」
血溜まりの中の僕の体を抱えて叫んでいる彼女は、どうしてかは分からないけど泣いている様にも見えた。
「……刺したの、君でしょ。何だよその顔」
考えてみれば変な話だ。刺し殺した――――殺そうとしている、か?――――本人が死に逝く僕の顔を心配そうな顔で覗き込んでいるのだ。
僕は軽く微笑んだ。理不尽な死に変わりは無いがこのおっちょこちょいの殺人鬼に殺されるのも悪くない、そんな気持ちになれた。それに――――――
「……………気分は最悪だよ」
――――――それに、さっき見た光景の中に自分(死体)加わると思えばこれくらいどうって事無いかも、知れないし。
初投稿がこれとかどんだけだよ
と、思ったが俺は気にしないことにした
殺し愛は良いものだ、なんちゃって
ここに来たのは初めてなので
まだまだ、至らない点もあるかと思いますがどうぞ宜しく
こんなものを読んでくれた物好きの方
読んでくれて有難う御座いました




