7.最終話「心に残る何かを」
唐突だが、私が学生の頃は本が主流で、ネットは普及してなかった。
だもんで誰かが、「本を読む時は全体を覚えず、何が載っていたかを覚えろ」と言ってた。
全体を覚えると膨大な量になり、訳が分からなくなるけど、どの本に何があったかを覚えていれば。
後で本を開けば、該当する情報が得られるから。
現代は検索すれば何でもすぐ出るので、特にそんな覚え方はしなくていいかもしれない。
だけども読み方としてクセになってるし、読後に「これを覚えた!」みたいな感覚が残ると、何かレベルアップしたようなお得感があって、好きだったりする。
覚えるのは何でもいい。表現でも単語でも。
たとえばだけど、私は富野由悠季先生の本で"ロボットの二足歩行は昔不可能と言われるほど難しい技術だった"こと、「裂帛」「承服」なんかの単語を覚えた。(他にもいろいろ覚えたけど割愛)
夢枕獏先生の『陰陽師 鉄輪』で貴船神社と高龗神、闇龗神。
久美沙織先生の本では、「爪月」という言葉がすごく印象的だった。
これは小説版ドラゴンクエストに使われた言葉で、ドラクエ4、デスピサロが登場してたシーンだったと記憶している。
黒い夜空に孤を描いた、白く細い月だとすぐ脳裏に投影されて、「切った爪の先みたいなカタチなんだな。キレイだな」と、とても感銘を受けた。
そういう単語があるんだとばかり思って調べてみたら、どうにも久美先生オリジナルの言葉のよう。(※違ってたらすみません。さらに記憶違いだったらどうしよう)
造語と知った時には驚嘆した。
月の形を表すのにこれほど的確な単語が、その本だけの固有表現だなんて!
当時の驚きは、数十年経った今でも「すごいなぁ」という感慨と共に抱いたままだ。
たくさんある本の、ほんの一語。それでも人の心に数十年を超えて刻み込まれるなんて、考えてみたらものすごいことだと思う。
書いた本人は忘れてるかもしれない何気ない一文でも、誰かの記憶に残ったら。
作家冥利に尽きそうだと憧れる。
もし、私のお話のほんのカケラでも「覚えてるよ」と言って貰えたら、幸せで光栄だ。
とはいえ、私は気の利いた表現は出来ないし、でも読んだ後「得した」とは思って貰いたい。
なので、とりあえずウチでは豆知識を、作品のどこかに練り込むことにしている。(※ない時もある)
すでに知ってる人には響かなくても、「初めて知った!」という方には「あそこで覚えた」と思って貰いたい。
我ながらわりと厚かましく、欲深い創作をしてると思う。
本当は心揺さぶるような表現で、ガツンと衝撃を与えるような文が書けるといいんだけど。
意気込んでも空回りして、案外、なんでもない部分が刺さったりするかもだから、それはまあ……。成り行きに任せる。
とにかく多少なりとも"読後の満足感"を提供できるよう目指したい。
頑張る!
◇
ところで久美沙織先生といえば、私にとってたくさん印象を残された先生で。
著書『45歳、もう生んでもいいかしら?』は衝撃だった。
久美先生は45歳でご出産(それもすごい!)。上記タイトルは、その実録エッセイ本なのだけど、なんせ産む時に!
「まだいきんじゃダメ」の制止を振り切って、会陰切開を待たずに力んじゃったらしく。バリバリバリッておまた周辺が避けたとか……!
こっわ!
なんせ大作家先生。描写の迫力と、その後の凄惨な痛みっぷりが、それはまあ生々しく。
震えながら読んでたおかげで、自分のお産時には助産師さんに忠実に従った。甲斐あって安産だった。ホッ。
他にも著書『新人賞の獲り方おしえます』は、私にとって学びが多かった。
タイトル通り、お話の書き方の本。
詳しくは覚えてないけど、読者が「なぁーんだ、これ〇〇のパクリじゃん」と思わないためには、「作中でキャラにセリフとして言わせ、先にネタ晴らしする」など、細かなテクが多々載っていて「なるほど」と勉強になった。
(最近は"テンプレ"という文化があるため、パクリという非難が減り、境界がややこしいことは省く)
その他書ききれないけど、私の中で久美先生は、"とにかく印象的な単語遣いや一文を残す先生"というイメージが強い。好みや波長が合うのだろう。
そして別の作家先生は……、と語り出したら止まらないし、終わらないので、ここできり上げるとして。
今日も誰かの心に、何か一言。
心を打つため、文字を打ちたいと思う。
これからもよろしくね!
お読みいただき有り難うございました!!
「連続投稿チャレンジ!」今回を持ちまして7週完遂! 完結です!
ここまでお付き合いくださり、感謝感激!!\(*^▽^*)/
結局いま読んでる本の紹介とかあまり出来ませんでしたが、ラノベはじめいろいろ買ってます(笑)
3月には交流のある作家さんのアンソロジー本がたくさん出るので、リワード稼ぎに精を出したいところ。
文字を書いて、稼いで、また文字を買うのです!(笑)
なお私も。以前活動報告でお知らせしたアンソロ本(紙・電子両方)が、3月6日と3月13日に出ます。原作参加させていただきました。どうぞよろしくお願いしますヾ(*´∀`*)ノ
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◆3月6日ブシロードワークス様『私が溺愛されるなんて聞いてません! 好きなら好きとおっしゃって!? アンソロジーコミック』
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◆3月13日マッグガーデン様『訳アリ令嬢でも、幸せになります!様々な事情で悪役の誹りを受けた令嬢が溺愛生活を送るまでを描くコミックアンソロジー』5巻
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おすすめです(笑)




