少年戦士と彼に憑依した女勇者の二人三脚行脚
9月7日追記しました。
主人公の決断を早くしました。
ラストを追記しました。
改稿はこれ以上あまりせず連載に備えます。
プロット練り直しとしては
①異世界にきてから2人だけの場面を増やす。これにより仲間がすぐ加わらない心細い状況でどうするかを書きます。
②戦闘の演出変更。
俺の部屋には今、女の勇者がいる。
しかも肉体がなく半透明の霊体状態で。
俺は相沢快人、高校二年生。
ここは東京都内の俺の実家。
現在、日本時間で二十時。
つまりここは中世ヨーロッパの世界ではなく、れっきとした現世人間界だ。
にも拘らずその「女勇者」はいわゆるファンタジーの世界の格好をしている。
軽装な鎧、腰に差した剣、ブロンドの長い髪。
そして文句なく美しい顔立ち。
でも我々とそんなに変わらない普通の少女っぽくあどけない雰囲気が多々見てとれる。
可愛さに少し勇者の気高さがあるような不思議な感じ。
ところが
「すみません、家を間違えました」
といきなり入ってきたにも関わらず、彼女は逆に恥ずかしそうに顔を赤らめ、申し訳なさそうに窓からすーっと出て行った。
「え?」
何故来たのにまた出るのかと思い、俺は驚いて窓を開けて外を見た。
すると空中で彼女は止まり何やら躊躇している。
どうしようかこちらをちらちら見ている。
俺はそれを見て恐る恐る彼女に声をかけた。
「あの……」
彼女は驚いた。
「は、はい!」
俺は相手に不安を与えないように努めて穏やかに言った。
「入ってきませんか何だか知らないけど」
「でも!」
遠慮する彼女に再度安心させる為優しく言った。
「ちょっとだけならいいですよ」
霊体の勇者は申し訳なさそうに入って来た。
俺は座布団を渡した。
彼女は俺と向き合い座った。
座布団の距離が初対面同士っぽい。
少女は当たり前だが相当緊張している。
後すごく恥ずかしそうだ。
まあ俺もだけど。
彼女は目をそらし、声につまっている。
「あ、あの」
俺は彼女の緊張を何とか解こうとした。
「はは、な、何か用があったんでしょ?」
彼女は絞り出した。
「実は『家間違い』って言いましたけど、貴方を探してたんです」
「え?」
「私と一緒に異世界に来て戦ってもらえませんか」
「え!」
「私の名前はナターリア。異世界エンバック国の女勇者なんです。征服されそうになっている祖国を救う為、魔王ザンブラ-討伐の旅に出ました。でも配下達に負けて死にました。そして魂はここ現世人間界をさ迷っていたんです。そんな時貴方に強いパワー反応を感じ気になって来たんです」
「強いパワー反応?」
「ええ。並大抵ではありません。我が国の勇者に匹敵、いえ凌ぐ凄いパワーよ。知恵、力、勇気全てが。貴方は凄い才能の持ち主、そして勇気の持ち主。魔王や悪魔に勝てるかも」
「人違いじゃないですか? 俺にそんな能力は」
「いいえ、間違いないわ。この水晶が反応してるの」
「俺は一応剣道やってるんだけど今一つで。今日もね」
快人の回想に入る。
俺は午後剣道部で素振りをしていた。
「よお、へっぴり腰」
それは俺をいつも馬鹿にする生徒米田だった。
取り巻きの一人新田もいる。
俺はこらえて無視した。
「お前才能ないんだからやめれば? 変わんないじゃん毎日ずっと。練習ってのは才能ある奴がさらに伸ばすためにやるんだよ」
「……」
俺はこらえた。
「これ以上やっても無駄だと思うけど。俺がコーチしてやってもいい。一回二千円な。金かきあつめてこいよ貧乏人」
「米田君二千円もらったら俺にもおごって」
と新田が言った。
回想を終わる。
「ふーん」
とだけ言ってナターリアはそれ以上言わなかった。
俺は自己嫌悪をこめて言った。
「情けないだろ? 悔しいとは思うけど、それ以上に悔しさもこみ上げないって言うか」
しかし、ナターリアの返事は意外だった。
「そんな事ないわ」
「え?」
「貴方は挑発に耐えたり怒りを抑えられる力がある。そういう人って強いのよ」
「そうかな」
自分では気づかない意外な指摘をされて驚いた。
励みにもなった。
「ね、明日一緒に学校に行かない? 憑依するわ」
何とナターリアはひょいと俺に乗り移った。
「わ、わ」
何とも言えない感覚だ。
「私の声は外に聞こえない。脳内会話出来るわ。憑依術って言うの」
「憑依術?」
「うん、私は死んで出来る事がなくなり最後の手段として他人に憑依して力を引き出す術を学んだの」
「霊体状態で術を学んだの?」
そして翌日の学校。
ばれないかどきどきしていた。
「ここが現世の学校」
「う、うん」
「独り言いってるわ」
と女生徒に噂された。
そして部活の時が来た。
案の定米田が来た。
「よお」
ナターリアはささやいた。
「私に任せて」
俺の口を完全にナターリアが乗っ取った。
そして俺の口を動かし米田に言った。
「僕と勝負しようよ」
「何?」
俺の口が勝手に動いている。
ナターリアは挑発を続ける。
「それとも怖いのかな?」
米田は挑発に乗って来た
「やってやるよ」
周囲がざわめく中二人で武道場の中心に移動する。
そして俺と米田は向き合った。
そして、はじめの合図とともに米田は攻めたが俺には当たらなかった。
そして今度は俺が攻めた。
ナターリアが全部体を動かして。
俺の動きに皆どよめいた。
「速い!」
そして瞬く間に勝負は付いた。
「勝負あり!」
部活が終わりナターリアは言った。
「どう? 自信付いたでしょ?」
「でもあれは君が操作しただけで」
「いいえ、あれはそれだけの動きが出来るからこそなのよ」
「借りが出来ちゃったね」
「見ず知らずの私を入れてくれて話まで聞いてくれたんだから当然よ」
「さすが勇者、人助けしてるね」
ナターリアはふいにうつむいた。
何かを気にするように。
「…私のしてる事なんて偽善かもしれないけどね」
「え……?」
彼女は何か言いたそうで止めていた。
いや言いたくなかった事なのかもしれない。
何かは分からないけど。
家に戻り俺は霊体ナターリアと話した。
「じゃあ、協力するよ」
「本当⁉️」
「約束するよ」
「貴方は恩人よ。他にも私が出来る事あったら言って」
「じゃあ、俺と友達になって」
「え……うん、いいよ! 勿論!」
「ありがと、宜しく。はいコーヒー」
ナターリアは勿論霊体でコーヒーカップは掴めないが触る仕草をして言った。
「温かいよ」
「霊体で飲めないのに?」
「うん、温かいよとっても」
「でどうやったら異世界行けるの」
「あ、分からない」
「え!」
「私は死んで来たから」
「じゃあ死ぬしかないって事? よし」
「え?」
思い立った俺は家を飛び出した。
「どうしたの?」
俺は路地まで走った。
そして俺はナターリアのコントロールでなく自分でトラックの前に飛び出した。
「ええ!」
俺は覚悟を決めた。
「危ない!」
トラック激突寸前でナターリアが俺の体を操作し激突は免れた。
結構怖かった。
ナターリアは叫んだ。
「何でこんな無茶するの!」
「死ぬしか方法なさそうだから」
彼女は申し訳なさで泣きそうだった。
「もしかして私が責任負わせたから? ごめん! 快人君ごめん! あなたを追いつめた。やっぱり私一人で」
俺は明るく慰めた。
「いや、君は異世界の国の人達の為に戦ったんだろ? 俺がやらないと皆が不幸になると思った。だから命を捨てようと思ったんだ。ちょっと怖かったけど」
「ええ? 顔も知らない他国の人達の為に?」
「うん」
「この人になら命を、背中を預けられるかも知れない」
ナターリアは話題を変えた。
「自殺だけは駄目! そうだ! 着いた場所は教会だったわ」
俺達は町の教会に向かった。
道中会話した。
「もう少し異世界や君の事聞かせて。君は何故勇者になろうと思ったの?」
「説明不足でごめんなさい。騎士学校にいた時、この前貴方に見せた水晶で勇者の才能があるってわかって、国を守る戦士になってくれって王様に呼ばれて直々言われたの。私は首席で二席と三席の男性が後にパーティになって二人とも生きてる」
「選ばれて嬉しかった?」
「うん。ただやっぱりプレッシャーもあったねすごく、後さっきも言った偽善じゃない親切、に悩んでた頃だから」
「そりゃ、大変だよね。期待に応えようと頑張っちゃったって事か……」
「昔から、私は貴族だった時、町で飢えてる人にお金をあげた事があるんだけど『上から目線だ』『めぐんでもらいたくない』『偽善者』とか言われたの」
「……」
「で、偽善じゃない。本当の親切や優しさを持てるように努力した。でも、それが何なのかは突き詰めようとしても分かりにくかった。人の事を優先に考えたから自分が真っ先に死んじゃったのかも知れないと思ったけど本当は自分の命や認められる事が一番だと思ってたんだと思う。自分で自分を褒めようと」
「……」
「だから本当の親切や優しさってなんだろう、自分の生き方が偽善じゃないか、自分で褒めたいだけなんじゃないかっていつも疑問に感じてた」
「そうか」
「快人君は何故剣道始めたの? 強くなりたいとか誰かの影響とか」
「何となくなんだ」
「え……?」
「本当に。何か勉強かスポーツ皆やってるから俺も何かしようと思って。でも一番になりたいとか誰かにあこがれてるとかじゃないんだ。皆がやってるから健康の為程度で」
「快人君は立派な目標とかあるんだと思ってた」
「とんでもない。大学もまだどこ行くか決めてないレベル。だからこんな俺に君の代わりが務まるかと不安だった。夢はボランティアで、この前初めてやってみた」
「ボランティア?」
「うん。ボランティアは勿論食っていく事は出来ない。でもね。利害関係なしの奉仕を感じられるんだ。後郵便の仕事をしたくてアルバイトした。手紙で人の想いを伝えてるみたいで」
「利害関係なしの奉仕! それよね! 手紙を配りたいって言うのもいい夢ね。強くなるとかとまた違って」
「それと、人間はみなどこか自分がいい人だと思いたくて親切をしてるところがある。偽善がない事は探す方が難しい。それに君が与えるだけでなく、君自身が本当の優しさを求めてるんじゃないかと思う」
「さっきから黙ってたのはずっとそれを言いたかったの?」
「俺は人がしゃべってる時遮るの嫌いなんだ」
「えらい」
「魔王ってどれくらい強いの?」
「人間の千倍位……例えば攻撃一発で町を滅ぼせる。配下もものすごい数で、野に放たれた魔物のせいで人間に安全がなくなったわ」
「とんでもなさそうだね。皆戦ってるの?」
「私は最後の希望だったの。男の勇者は皆殺されてしまい女の私だけが最後の砦だったの。でも皆は『女で悪人に勝てるの?』『怖くなったら先に逃げるんじゃ』『男は他にいないのか』『期待できない』『無理だね』と噂してたわ」
「嫌だね」
「でも私は国の人を守る為頑張った」
「そんな事を言われても戦ったんだ」
「負けたけどね」
「いや、君の方が馬鹿にした人よりずっと強い人だよ」
「ありがとう。快人君って人を褒めるの上手いね」
「ところで、君は生き返りたくないの?」
「え? 考えてなかった」
「もし、だよ? 悪者を倒しても君は霊体のまま?」
「そう、ね」
「そんな!」
「いいわ別に」
「よ、良くないよ。報われなさすぎじゃないか! でも君は頑張ったんだから自分の幸せ考えてもいいと思う。他人の事ばかりじゃなくて」
「大きな夢や目標はないけど、そこはかとなく他人を思いやれるのが良い所ね」
「じゃあ、協力するよ。行こう! 君がそんなに大変なら、俺は全力で手伝うよ。俺に巨悪と戦う力があるかは何か想像つかないけど」
「ありがとう……『俺が全部やっつけてやる!』って言う人と違って不思議な頼もしさがある」
牧師さんは迎えてくれた。
そして二人で祈った。
「気が付いたらこの教会に魂だけがいたの」
「もしかして君の魂を神様が現世に呼び戻した?」
「そうかもしれない。勇者には『別次元転移』と言う移動の最上級スキルがあるの。貴方にもそれを使う素養があるはず」
「俺に転移能力?」
「うん。ただしすごいエネルギーを使い寿命を縮めるわ。でも貴方なら出来る、と思う。教会は聖なるエネルギーを増幅させるわ」
「思う…」
「私も最大限カバーする! 二人で力を合わせましょう!」
俺はナタ-リアと手を繋ぎ祈りながら力を注入した。
「うおお!」
ナタ-リアの手に力を注ぐ。
俺の生命エネルギーが最大限に減っていく感覚がする。
「教会での祈りが勇者の魂に呼応して力を上げている! もうすこし力を出して!」
「わかった」
「私は頼んだ立場上、絶対に貴方を死なせる訳にはいかない。場合によっては私の魂を犠牲にしても転移能力をアップさせるわ」
「君はどうなるんだ」
「貴方の事は私が責任を持って全てフォローするわ。もし貴方が命を失ったりしたら私を幾らでも憎み恨んで!」
「全部自分のせいと思っちゃだめだ。自己責任を持ちつつ他人にゆだねるんだ」
「うん、わかってるんだけどね」
そして俺の体は半透明になり中から爆発するような感覚になり遂に俺の肉体は消えた。
「うわ!」
「きゃあっ!」
ナタ-リアの魂も見えなくなった。
そして気が付くと異世界にいた。
「転移成功だわ!」
「ナターリアの魂も無事」
「ここは」
草原の真ん中で道の近くだった。
遠巻きに城が見える。
明らかに中世の世界。
交通なんか整備されてない。
草原と荒れ地と道。
何もかも現世と違う。
「私達の拠点のお城の近くね。これから王様に会って貴方を紹介するのよ」
「成程」
現時点の力
カイト
レベル一
攻撃力三 素早さ四 体力三 魔力二 HP18
武器 なし
スキル 魔法 なし
「弱い…でも君が憑依してるし」
「水を差すようで悪いんだけど、実は私他人に憑依したり動かすの初めてなの。つまりどうすれば貴方の体から百の力を出せるか今は分からないの」
「え?」
「米田君程度なら倒せる。でも貴方の力の引き出し方は完全に分からないし、逆に貴方の体がついて来れなくなっちゃかも知れない。そうならない為には一刻も早く私が慣れ、また貴方の能力を解析する、そしてあなたに強くなってもらわないといけないの」
「そうなんだ」
「まずは二人の波長を合わせるわ。無駄な力はぬいて。一旦深呼吸してみようか。で私が最初主導して貴方の経験を稼ぎ一方で貴方の能力の解析をするわ。どういう点が強いのか」
「二人三脚だね」
「一人よりずっと心強いよ。合わせる苦労もあるけど」
「これからお城に行くまできっとモンスターが出て来るわ」
「初めての戦いか。異世界での戦い、緊張して膝ががくがくしてくる。どこから敵がくるかわからないし」
「落ち着いて。基本は剣道と感覚は同じ。貴方には戦いの勘がある」
そして恐る恐る城への道を歩き始めた。
「あなたのパワー解析。まず腕力とスピードは今はまだだめ。でも内包した謎の力がある。まるであなたの体の中で燃え盛る白いマグマみたいな力が見えるの」
「白いマグマ? 見えるの?」
「うん、死火山状態から何かのきっかけで爆発的な力を見せる白い炎みたいなのが見えるの。それは数値に表す事は出来ない。でもこれは他の戦士誰にもない物。ちょっと力を溜めて」
「うん」
「少しずつ炎が大きくなって行くわ」
「俺は分からないけど」
「手を突き出して力を放出して」
「こう?」
「少し火が伸びたわ!」
「本当?」
「ちょっと石をつかんで握ってみて」
「こう? いて!」
「もう少し強く、ほら煙が出てきたわ!」
「何これ!」
「貴方の秘められた勇者の力。他の勇者は違う色をしてる」
「白は俺だけなんだ」
「ろうそくの小さな火がいきなり大きくなるみたいなの。この力は数値ステータスで確認出来ないわ。水晶か中に入った私だけが確認できるの」
と言うと草原に小型豚獣人が現れた。
「あれはちびオークよ!」
「来たかっ」
「まずは私が体を動かすわ。貴方は雰囲気に慣れて」
グルルと言いながら睨んでくるオーク。
今にも襲い掛からんばかりだ。
俺は武器がない。
オークは棒で殴りかかって来た。
ナターリアの操作で俺は棒攻撃を避ける事が出来た。
「危なっ!」
自分じゃかわすの無理だったかも
「大丈夫? あいつは小学生くらいの強さよ。初心者でも行けるわ」
「俺は武器がない」
二発目の棒攻撃も飛んできたがこれも際どくかわせた。
自分の動きじゃないみたいに。
だけど負荷が少しかかっている。
しかも彼女の操作は良いんだけどタイムラグとかがある。
ナターリアは言った。
「パンチよ。武器がない今それしかない」
しかし、俺の拳はオークの顔に食らわせられたがあまり効いてない。
「うわ」
即座に反撃が来た。
しかしこれは何とかかわせた。
「反撃に備える事も忘れないで」
「パンチじゃ効かないな」
「あの棍棒を奪い取るのよ。上手く避けながら」
「やって見るよ」
上手く次の棒攻撃をかわした後、俺は腕をからめ手首を殴り棒を落とすのに成功した。
「やった。これを拾えば」
先に棍棒を拾った俺はオークを棒で二発殴った。
痛みで頭を押さえ弱気になったオークは逃げて行った。
「やった」
「やったね初勝利」
「武器がないから棍棒を拾っておこう」
さらに進んで行くと、今度はまるで鋼鉄の様な皮膚を持つ巨大サソリが現れた。
「でかいサソリだ」
「鉄鋼サソリ。あいつの尾は注意よ。尾にとにかく気を付けて。こいつはまず魔法で攻撃するのがいいかも知れない」
と言いナターリアは詠唱を始めた。
「え? 君が詠唱すると俺も魔法が出せるの?」
「分からないわ。貴方は集中して手を前に出して」
そしてナターリアの詠唱が終わった。
ところが俺の手からは何も出ない。
「駄目だわ! やはり貴方自身が魔法を学ばないと」
「ん?」
俺の手周辺が白く光り出し僅かに煙も出た。
「あれ?」
「もしかして出かかってる? でも火炎魔法でこんな現象は起きないわ」
「確かに俺の体の中から大きな力が出るような感覚がする」
「貴方の体にはあまり大きな魔法力は感じないけど別の何かを感じる」
「よし、棍棒であいつに殴りかかろう」
俺はサソリの背中を思い切り殴った。
「痛い! 何だこいつ!」
「このサソリの体は鋼鉄並みなの」
「あっ!」
サソリは尻尾を振り上げた。
「くっ!」
俺は何とか尾を抑えたが尾の力が強く押されている。
「両手が塞がっていて反撃できない。うおお」
不意に俺が力を込めるとさっきの白い光が手から出た。
「うおお」
「あなたの攻撃力が上がってるわ!」
その秘密は分からない。
「このままひっくり返してやる。サソリも強いけど」
ところが、である。
「何だあいつ」
空中に突如大きさ二メートル位の古代怪鳥が現れた。
「援軍?」
「魔王の手下同士呼び合ってるのかも」
「あいつもやっつけないと」
古代怪鳥は急降下して来た。
しかし俺はかわし損ねた。
「うわ!」
「ごめんなさい! 私が上手く出来なくて!」
「俺の体上手く動かなかった」
「私が人の体を動かすのに慣れていなくて」
「大丈夫、俺も自分の力で戦う」
怪鳥が下りて来た所をパンチで迎え撃とうとしたが避けられてしまった。
「駄目か、俺の動きじゃ」
「ごめん」
「波長合わせるの初めてだし気にするなよ」
「波長も私が上手く操作出来ないのも原因なのよ」
「そこに弱点があるのか。俺がもっと動ける様になれば」
しかし今度は隙を突いてサソリが背部から迫り、尾を突き立てようとする。
ところが
「うおお!」
突如響いた声の主は十八位の体の大きな青年だった。
そして乱入した彼はサソリを何発か切り何と持ち上げ投げた。
仰向けになったサソリの腹を剣で刺した。
さらに急降下した古代怪鳥も青年は倒した。
青年は言った。
「大丈夫ですか?」
ナターリアは青年を見て名前を叫んでしまった。
「マーガス!」
知人のようだ。
でもマーガスと呼ばれた青年はさすがに驚いていた。
「え? 君何で俺の名前知ってるんだ」
「え? ああ? ナターリアから聞いてたんだよ!」
俺は言葉につまり憑依しているナターリアは必死にごまかす。
青年はまた驚いた。
「お前ナターリアの友人なのか?」
「そ、そう。隠れ友達みたいなもんで、彼女には自分がやられたら後は頼むって言われてたんだ。名前はカイトって言います」
「本当かよ! 俺はマーガス。ナターリアと組んでいた勇者パーティのメンバーの戦士さ。騎士学校の三席さ。パーティの力を担う役さ。これでも貴族なんだ。カイト…ナターリアの口から一度も聞いた事のない名前だな」
「付き合いは結構長い。でも彼女は俺の事を口外しなかった。何故なら狙われるから。彼女は俺を最後の切り札って言ってた」
「それで秘密にしてたのか」
「でも彼女が死に俺が出る番になった。マーガス君の話は聞いてたけど体大きいね」
「おお、体力には自信あるぜ」
「ナターリアが『いつも前に出て戦ってくれる頼もしい人』だって言ってた」
「それは嬉しい。ところで君大丈夫か」
「サソリの毒は食ってない」
「良かった」
「これからお城に行くから。こんな所でやられないよ」
「お城で何かするのか」
「うん、王様に僕がナターリアの友人で代わりに冒険に出ると伝えるんだ」
「そうなのか。なら俺も行く、そういう事なら俺も再度旅に出たい。ナターリアが死に俺は力を蓄えてたんだ。……ナターリアを死なせたのは俺達がふがいなかったからだ。ところで君貴族出?」
マーガスの問いに俺もナターリアもたじろいだ。
「ほら、ナターリアは貴族だから」
「そうなんだ」
「え?」
危ないタイミングでナターリアの方が上手くごまかした。
「ああ、僕は彼女の家の近くの村出身で一緒に遊んだりしたんだ」
「そうなんだ。でも何故彼女は君の事を誰にも話さなかったんだろうな。それとナターリアが見込んだだけあって君強いのか?」
「ああ、まあ」
「剣の流派は?」
「浅草学園剣道部」
「は⁉」
「間違い間違い! 村の近くに凄い剣豪がいて手ほどきを受けたんだ」
「ちょっと手合わせしてみないか?」
「え?」
結局周りにモンスターもいないしここでする事になった。
そして始まると俺はあまり攻めず様子を見た。
マーガスの剣筋は速い。
しかしナターリアは見切ってくれた。
怪しまれるから反撃もした。
二分間経った。
「ふう、中々強いな、でもそれだけじゃなく、ナターリアに剣筋が似てる。そっくりだよ」
「一緒に練習したから似たんだと思う」
「まあいいや。お前は信頼できそうだし、お城へ急ごうぜ。俺が飯おごってやる」
「ありがとう。初対面なのに」
「気にするな」
俺は脳内会話した。
「割とすぐ打ち解ける人だね」
「だからやりやすかったわ」
「ナターリアから聞いたあの話」
「ああ、貴族時代にお金を貧しい人にあげたらってやつ?」
「あれ、偽善だと思う?」
「どっちでもあると思う」
「え?」
「困ってる人にお金をあげるのと、その人のプライドを考えるのどっちも間違ってない。優柔不断だってフォルスターに言われたな。飯を買う時も迷うし」
そして遂にエンバック城に着いた。
すると門番がいる。
門番はマーガスに恐縮した。
「これはマーガス様! でもう一人の方は」
「こいつはナターリアの友人なんだ」
門番は悩みながら断った。
「うーん。それだけでは通せませんな」
「はい!」
俺と言うかナターリアは勇者パーティ証を出した。
「お通り下さい」
俺はきらびやかな城内にあがった。
「綺麗だね」
「お前はお城初めてだっけ」
「ん?」
見ると随分汚いぼろの服を来た青年がいる。
「あの人使用人?」
「いや奴隷だ」
「奴隷?」
この時代は奴隷制度があるんだ。
その青年はうっかり水をこぼした。
「大丈夫ですか」
俺が駆け寄ると青年は恐縮した。
「そんな! 勇者パーティの方にやっていただくなど!」
「気にしないで」
そしてさらに歩くと凄い上品そうな青年がいた。
「キャー王子様!」
ナターリアは脳内で言った。
「あの人が王子様?」
「ハンサムで気品があるでしょ? 本当素敵」
王子は近づいてきた。
「これはこれはマーガスさん。そしてもう一人の方は」
「王子様……」
うっかりナターリアがしゃべった。
「あ、僕はナターリアの友人、カイトです!」
「宜しく」
「フォルスター君は?」
「ああ、あいつですが一人修行をしてます。実はナターリアが死んだ事を深く悔やんでまして」
マーガスは回想した。
怪物に絶対絶命になったナターリアはマーガスとフォルスターにエネルギーを与えバリアを作った。
「おいナターリア!」
「このバリアは頑丈だから速く逃げて」
「そんな事出来るかよ!」
ラセル王子は気持ちを汲んだ。
「そんな事があったんだね」
「俺達は何も出来ませんでした」
ラセルは気持ちを汲んだ。
「僕も彼女に何も出来なかった」
「お優しいお方」
またナターリアはうっかり喋った。
「え?」
「あ、何でもないです」
ラセルは言った。
「父が待っているよ」
そして俺達はエンバック王が待つ二階へ行った。
「これはこれは」
王は出迎えた。
ひざまづいたマーガスは詫びるように言った。
「俺達のせいでナターリアは死にました」
王様はマーガスをなぐさめた。
「そう気にせずとも良い。ところでそちらは?」
「カイトと言います」
俺は隠しながら自己紹介をした。
「それでは君はナターリアの意思を継ぐと?」
「はい彼女が守りたかったものを守りたいんです」
これは俺の意志で言った。
「うーむ。目がナターリアに似ておる」
そこへ何とさっきの奴隷の青年が来た。
「彼を信じて下さい。その人はこんな僕を助けてくれました」
奴隷って王様に謁見できるの?
すると青年はかつらを取った。
なんとラセル王子だった。
「え?」
「父上、実は今日奴隷のレイバックと入れ替わり彼がいじめられていないか見ていました。そんな時カイト君は彼と言うか私を助けてくれたんです。彼はナターリアに負けない勇者となるのではと思います」
「お前がそこまで言うのなら、よし!」
王は全面賛同してくれた。
「マーガス君、カイト君、再び勇者パーティとして頑張ってくれ!」
ナターリアは聞こえないようささやいた。
「私の師匠の所へ行きましょう。あの方なら貴方の力を引き出してくださるわ」
ところがいいムードを切り裂く声が聞こえた。
「敵襲だ!」
外の戦士の声が聞こえる。
「ナターリアが実は生きていたと報が入った。見間違いかもしれないが確かめに来た。それに仲間の生き残りも殺させてもらう」
門番や兵士達はかかったが切られ殺された。
「出てこい」
「大変です王様!」
マーガスは窓から外を見た。
「あいつは、マッギリール!」
「強いの?」
「ええとっても」
マーガスは言った。
「俺が行ってやる!」
思わずナターリアは間違えた発言をした。
「駄目よ! 貴方までやられたら!」
「俺、行きます」
「勿論俺も」
「僕も行こう」
「ラセル王子も⁉」
「王子は危険だわ!」
しかしマッギリールの暴行は続く。
「出てこい! それとも乗り込まれたいか!」
マーガスは言った。
「もうやめろ! 俺が相手だ!」
「勿論俺も」
「ナターリアはどうした」
「死んだよ」
「嘘じゃあるまいな」
「嘘な訳ねえだろ。今こそ貴様らに仇を取らせてもらう!」
いきなりマーガスは食ってかかった。
「ぬっ?」
「はあはあ」
「少し腕を上げたな」
「当然だ! 俺達はナターリアの仇を討つため強くなったんだ」
「もう一人仲間がいなかったか?」
「今はいない」
「本当に女勇者はいないんだな?」
「くどいぞ」
「あいつ凄い技とか使うの?」
「ええ、通常攻撃だけでなく魔王から直伝された剣技が」
「また見せてやろうか?」
「え?」
「衝撃!」
凄まじい衝撃波がマッギリールの剣からマーガス目掛けて飛んだ。
「危ない!」
ラセルはマーガスをかばいバリアの様な物を張った。
「危なかった」
「ありがとうございます王子」
「では新しい衝撃!」
「あっ!」
衝撃は切れこそしなかったがバリアごと二人を吹き飛ばした。
「今度はお前だ」
素早く俺に向き直ったマッギリールは同じ技を俺に放った。
かわせない!
ナターリアも。
「ぐあ!」
俺は胸を切られて血を流し倒れた。
「快人君!」
俺は気を失いそうでナターリアの声だけが聞こえた。
「ごめんなさい! やっぱり私が連れてきたのが悪かったのよ!」
その時、俺の体に理由が分からない様な力が沸いてきた。
ぜいぜい言いながら立った俺に皆驚いた。
「立った!?」
「はあはあ……君は守りたい物の為に戦ったんだろ? なら俺は全力でその手伝いをするだけさ、俺はまだ死なないぞ」
「え、ええ! あの技をまともに食ったら私やマーガス達もしばらく立てなかったのに。それに私の操作ではなく自分の意思と力で動いてるわ!」
「うおお!」
気を取り直した俺はマッギリールに殴りかかった。
マッギリールは驚いた。
「何だこいつ! 白い光が全身から! こいつも勇者なのか! なんだこの得体の知れない力は!」
「はっはっ!」
でも俺の体には確かに謎の力が宿ってるけど、動き自体は遅い。
剣道初心者って感じ。
「何だこいつ? 動きは遅くて隙が多いがすごい力だ」
俺は思った。
この光を武器に変えられないかな、よし!
俺は左手を前に出すと光の圧が飛んだ。
「ぐあ!」
マーガスは叫んだ。
「あれ、勇者しか使えない技だぞ!」
ナターリアも驚いた。
「何故貴方が勇者の波動を⁉️」
「何か『使えるような気がした』んだ。まぐれだろうけど。でも、俺は代わりの勇者になるって決めたんだ! こんな所じゃ倒れない」
「こいつはここで潰さなければ駄目な男だ」
猛然とマッギリールは攻めてきた。
「わっわっ!」
「ここは私に任せて」
ナターリアが俺を動かしマッギリールの猛攻を防いでくれている。
でも俺の体がオーバーヒート寸前だ。
「待てっ!」
そこへもう一人戦士が現れた。
マーガスが叫んだ。
「フォルスター!」
えっ? 話に出ていた仲間?
「フォルスター?」
「マーガス、何だ?」
「いや、お前なんか雰囲気が、短期間しか別れてないのに」
「まあ、そう気にするな」
「マーガスも感じてるけどわたしも感じる。外見でなく雰囲気が」
マッギリールはにやりとした。
「フォルスター、久しぶりだな。」
「…」
「また打ち負かして下さいと言ったらどうた、え?」
フォルスターは近づいてくるマッギリールを払うような仕草をした。
「え!」
「血が!」
フォルスターはラセルには挨拶をした。
「遅れました、王子」
「あ、ああ」
そして俺と目があった。
「俺、カイトです!」
「こいつナターリアの友人らしいんだ」
「ん」
フォルスターはこくりとした。
マッギリールはいきりたつ。
「勇者パーティめまとめてあの世に送ってやる」
フォルスターは細くにらみそして剣を抜こうとした。
「ふん」
二人は向き合った。
俺は入れなかった。
まるで邪魔しちゃいけないみたいで。
そして二人の切りあいが始まった。
楽しそうなマッギリール。
無表情なフォルスター。
だけど俺は感じた。
明らかにフォルスターの方が強い。
何となくなんだけど。
息を切らすマッギリールに対し、全く無駄がないフォルスター。
ふいに彼が叫んだ。
「君、一緒に攻撃してくれ! こいつはここで倒す!」
「は、はい!」
俺は武器もなくがむしゃらになぐりかかった。
「くっ!」
フォルスターは焦るマッギリールの隙を見逃さなかった。
「うおお!」
フォルスターの剣が一閃した。
マッギリールはあがいた。
「貴様、どういう事だ? この前とはまるで別人だ」
「私もそう思う」
「危ない!」
俺はマッギリールの後ろから回り込み傷口に渾身のパンチを食らわせた。
「ぐっ!」
「すげえぜ! お前どんな修行を」
「アッサム様の元で修行した」
「誰?」
「私達の師匠のそのまた師匠よ」
「俺はナターリアを死なせた自分のふがいなさに激しく嫌悪した。だからあの方に教えを乞うしかなかったんだ」
「それほどまでに気にしてたのか」
「当然だ。チームワークでなく個々人の力を上げる必要性を感じたんだ。ところで君は」
「カイトって言います!」
「何故ナターリアは君の存在を黙っていたんだ意味がわからん」
「ともかく、これで新メンバー合わせて三人だ」
フォルスターは言った。
「そろそろ動きだそう。まず皆でアッサム様の元へ行き準備が出来たら拠点を奪回する」
「まだだあ……!」
マッギリールは起き上がって来た。
「くっ!」
「ここは私がケリを付けたいわ」
「ナターリア」
ナターリアの声が出た。
「この男には負けそうになった悔しさがあるの。だから今度こそは!」
「……」
「フォルスター!」
何と俺の口からナターリアの地声が出た。
どういう原理なんだ。
マーガスは当然驚く。
「何でナターリアの声が!」
フォルスターは表情を変えない。
「フォルスター! 剣を貸して!」
「ん!」
フォルスターが投げた剣を俺は受け止めた。
「どう言う事か分からんが、ナターリアなんだな」
「ありがとう、信じてくれて」
俺は脳内会話した。
「君の力で倒す?」
「ええ、私の奥義で倒すわ。この技は一度彼に破られた」
「分かった。俺の体を使ってくれ」
波長を合わせようとすると凄まじい重さと負荷が俺の体にかかる。
「ぐ、ぐぐ!」
「ごめん快人君!」
「はあああ!」
エネルギーが最高に高まった。
ナターリアは俺に持たせた刀に力の全てを込めた。
そしてマッギリールをにらむ。
「ぬ?」
「千麗刀突撃!」
またナターリアの地声が出た。
俺は力を入れず全て彼女に任せた。
「はあああ!」
ところが、俺の体が耐えきれず当たる寸前に剣を放してしまった。
「ぐあ!」
「快人君ごめん! 私のせいよ!」
「いや、俺の体が弱いから耐えられなかったんだ。でも、俺は約束したんだ君に協力すると……! ならば今度は俺の力で奥義を出すんだ」
「え? どう言う意味?」
「俺が君の技を見よう見まねで瞬時に真似し、さらに俺の体に合ったアレンジを加える」
「そ、そんな事いくら何でも!」
「俺は真似と自己流アレンジが得意なんだ」
「いくらなんでも」
「もう一度力を溜めるんだ! 行くぞ! 見よう見まねだけど!」
俺はわずかな時間で記憶したナターリアの奥義を出そうとした。
体が拒絶、ついて行けない部分だけ変えようと。
ほんのわずかな時間だけど。
「行くぞ!」
「おお、ナターリアと同じ構えだ!」
「うおお」
俺は飛び掛かった。
ところが
「ぐあ!」
全身の筋肉がおかしくなった。
そして耐えられなくなった。
俺はマッギリールに飛びかかる前に倒れた。
「駄目だった」
「快人君! もうこれ以上無茶しないで‼」
「無理だった。そんなの当たり前だよね君の技を真似るなんて。でも俺、まだ死なないよ」
「え?」
俺は何故立てるのか分からないけど起き上がった。
ゾンビみたいに。
「何だお前。もしかして娘が好きなのか」
「知らない」
「は?」
「それは知らない。だけど、そういう事じゃなく、悪人をやっつけたいからでもない。俺はこの世界の悪人を見た事がないし自分が酷い事をされたわけじゃない。でも約束だけは守る。破るわけに行かないんだ。俺は『協力するよ』って言ったから。俺は誰が相手でもどんな小さな事でも約束を破るのだけは大嫌いなんだ。それに目の前の困っていたナターリアに頼まれたから!」
脳内会話に切り替えた。
ナターリアは言った
「あの時、言い方が少し普通な感じだったから少し不安だったけど、そんなに気にしてたんだ」
「それが俺の信条。相手が誰だったとしても同じだよ」
「うおお!」
俺は素手で隙を突いてマッギリールを掴んだ。
「何だ!」
「自爆だ」
俺の体の中の白いエネルギー、それがぼろぼろになってはっきり目に見えたんだ。
今ならこの炎を爆発出来る!
ここで死んでもかまわない。
俺の体は爆発した。
と言っても肉体は焼けただけ。
半径三十程の小爆発が起きた。
しかしマッギリールは至近距離でくらってもまだ倒れない。
「笑わせるな」
「なら何度でも自爆してやる。あんたを倒すまで」
俺はマッギリールに思いきり顔を蹴られ吹き飛んだ。
しかし、大きな隙が出来たマッギリールをマーガスはすさまじい勢いと気迫で殴った。
「ぐああ!」
「いい加減にしろよお前」
さらにフォルスターはマッギリールを刺し腕も切った。
「真面目にやってるやつバカにするなよ」
俺はぽかんとした。
フォルスターは言った。
「ナターリア、何となく事情は分かった。快人もよろしくな。これから一気に砦に行くぞ。あいつらは油断している。俺達はもう十分強くなった。一気に決着だ」
え、でも俺は全然強くなってない。
一気に決着ってどうすれば。
「お前には自爆がある、と言うのは冗談でこれから伝説の師匠に習いに行こう」
人気が出れば連載に移行します。この作品は読み切り版がどれだけ伸びるかで連載を決めます。
PV、ブクマ、評価が一定以上行けばです。
改稿はこれ以上あまりせず連載に備えます。
プロット練り直しとしては
①異世界にきてから2人だけの場面を増やす。これにより仲間がすぐ加わらない心細い状況でどうするかを書きます。
②戦闘の演出変更。