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いつも横にいる優しいお姉さんは、多分大体の黒幕

作者: ナカセ

武器や食料を載せた貨物船や、観光客を載せた遊覧船が夜の運河を進む。

側道に鎮座する外灯や工場の明かりが神秘的な夜を醸し出し、人々の声や金属を打つ音がまだまだ更けない夜の底を彩る。

そんな運河を横目に見ながら、僕は慣れた足取りで明かりの少ない道へと足を早めた。

大人一人くらいの高さしかないトンネルを抜け、運河と海の境界線の堤防に一歩踏み出す。

途端に、嗅ぎ慣れた金木犀の香りが僕を包んだ。


「やぁ、少年。元気だったかい?」


トンネルの暗闇を抜け、明るさに目が慣れてきた僕の前には一人の女性が月光を背に浴びながら妖美な表情で手招きをしていた。

魔女を彷彿させるような帽子と黒いドレス。

女性らしさを感じさせる体付きに端正な顔立ちは、会うたびに自分を律しないと顔がほころんでしまいそうだ。

この国では珍しい艶やかな黒髪と灰色の目は、僕との唯一の共通点で、誇らしい。


「元気です。お久しぶりです、お姉さん」


僕には血縁関係上の姉はいない。

目の前の女性を「お姉さん」と呼ぶのは、ただ単純に彼女の名前を知らないだけだ。

いつ頃から彼女と懇意にするようになったかは忘れてしまったが、もう数年来の仲になる。

若い男女の逢瀬としては淡白で、一夜限りの密会に比べたら濃密だ。


夕暮れ時、ふと金木犀の香りが鼻をついた日にここを訪れると、決まって彼女は僕を待ち構えている。

理由も彼女の素性も分からない。

しかし美しく優しい彼女に会えることは、つまらない僕の生きがいであって他ならない。


「最後に会ったのは、一月前か。前回会った時も満月だったはずだ」

「そうですね。親方にたっぷりしごかれた日です」

「仕事は順調かね。王国を代表するような立派な武器職人にはなれそうかい?」

「・・・・」

「なんか、すまない。そんな悲しそうな顔をしないでくれ」


僕は両親も兄弟もいない、天涯孤独の身である。

物心がついたころには孤児院におり、今では懇意にしてくれる方々の元でせっせと鍛冶仕事に励んでいる。なんならわが国では、男の半分以上は武器職人だ。


「センスがないらしいです。この前も、王国の恥だとか真髄が分かってないとか言われました。果ては先人の血が理解できていないとか、訳の分からない罵り文句ばかり」

「大変だね。もしかしたら、君は他の国の人間なのかもしれないよ」

「竜人でもエルフでもないので、違います」

「それもそうか」


お姉さんは頷きながら笑った。

竜人の国『クライオリア王国』、エルフの国『ジルヴァ王国』、そして宝具と技術の我が国『メタトリナ王国』。この三国が、大陸を三等分するように各地を治めている。


この人種が異なる三国の成り立ちについては、とある言い伝えがある。

彼女はとりわけ、僕があった中で最もこの伝承に対して造詣が深い。

まるで当事者であるように語るのだ。

僕は彼女の語りが大好きで、会うたびに聞かせてもらっている。

話も勿論だが話している時の彼女の横顔が何とも神秘的で謎めいていて、それでいて美しい。


「是非、今日も聞かせてください」

「君は本当に好きだね。いいよ、話してあげよう。腰を下ろしなさい」


僕は月が海に落とす光を眺めながら、ゆっくりと彼女の横に座った。

ついでに靴を脱いで、足を海に放り出す。

「元気がいいね」

「そりゃお姉さんと会えていますから」

「嬉しいことを言ってくれるね」


バシャバシャと音を立てる様子を、お姉さんは軟らかい笑みを浮かべながら見守っていた。


*****


今から何百年も前のこと、昔々あるところに()()()()からなる一つの大きな大陸がありました。

大陸の北、極寒の大地で鍛えられた強靭な肉体を持つ『クライオリア王国』。南西の森の中で独自の魔法を発展させた『ジルヴァ王国』、優れた身体能力や魔法を持たないものの、南東で武器を作り扱う事に長けた『メタナトリ王国』。


そして大陸の中央部に位置しほぼすべての分野において他国に引けを取らず、大陸内で最も栄えたとされた『アレスメデス王国』。


それぞれ得意な分野は違えど、これら四つの国は各々大陸を豊かに発展させました。

しかし、それは突然終わりを迎えることとなりました。


ある日突然大陸の上空が、黒と白の中間色で塗りつぶしたような雲に覆われたと思えば、一匹の巨大な龍が我が物顔で飛翔し、国に関わらず大陸のすべてを焼き尽くし始めたのです。


四つの国を治める王たちは、各々急いで事態の収束を試みました。

あの竜はいったい何者なのか? 

何故この大陸を滅ぼそうとしているのか?

人智を超えた存在の蹂躙に何も分からないまま、一つまた、一つとそれぞれの国の町が地図から消えていきました。


最初は何処の国も自分の国を守ることに精一杯であり、他国の被害なんて構ってはいられませんでした。雷が他国に落ちれば安心し、自国に堕ちれば他国を恨む。

どうか他の国よりも被害が軽くありますように。

時間が経つにつれて、傷と溝は深まる一方でした。


このような状況を大陸中央に位置する、アレスメデス王国が打破したのです。

このままでは大陸もろとも消滅すると危惧したアレスメデス国王は、他国と協力して巨大な龍に立ち向かうべく、自分の国のみならず他国の襲撃にも軍を派遣するようになりました。

そこから国同士で強固な絆が生まれていき、ついには大陸を挙げた人類と龍の戦いとなりました。


するとどうでしょう。ついには大陸を火の海に陥れた巨大な龍は見事討伐されたのです。

これには大陸で生活するすべての人類が喜び、儚く散っていった仲間たちに涙し、それぞれの国を称えました。


そしてその後、亡骸となった忌々しき巨大な龍を各国が相談を交えて分配する形で戦果としました。

北に位置する『クライオリア王国』は大国を滅ぼさんとした龍の肉を。


南西に位置する『ジルヴァ王国』は臓物を。

南東に位置する『メタナトリ王国』は瞳、牙、鱗、爪を。

そして中央に位置する『アレスメデス王国』は心臓と脳を持ち帰りました。


この会議を境にして、四つの国はそれぞれ違った道を歩むことになったのです。


龍の肉を持ち帰った王国は、龍の襲撃によって貧しくなった民たちにその肉を配り食しました。すると長い年月をかけて徐々にその体が龍が如く進化していき、元々培われていた強靭な肉体に加えて鋭い爪や牙、そして中には羽を生やした、いわゆる龍人となりました。


龍の臓物を持ち帰った王国は、その臓器に独自の魔法を用いて漢方とし、傷ついた者たちに服用させました。すると龍の魔力が体内を巡る、とがった耳と白い肌をもつ超常人種、通称エルフとなりました。

これにより彼らは寿命が大きく伸び、大地や視線に宿る精霊との対話まで可能となったのです。


龍の牙や爪、鱗を持ち帰った王国は、大陸に大きな爪痕を残した龍自身の武器を自分たちの技術で加工することで9つの武器、『宝具』を作り上げました。

そして、選ばれた優れた能力を持つ者たちにその所有権を認め、少数精鋭の組織『ノイン・シュバリエ』を形成し、国を大きく発展させました。

こうして龍をこらしめた()()は、今もなお発展を続けています。


めでたし、めでたし。



『アレスメデス王国』はどうなったのかって?

今はもう亡くなってしまったよ。

かつてアレスメデス王国と呼ばれた国はもうない。

脳と心臓を持ち帰った彼の国だけはある日突然、一夜にしてすべてが崩壊して地図から消え去ったらしい。悲しい話だね。何があったんだろうねぇ。


どうして滅びたのか、知らないかって?

さぁ、それは私も知らない。ただ、…私は呪い殺されたと聞かされているね。

龍の怨念が脳と心臓に残っていて、最後の最後にすべてを闇に葬った、と。

だから他の三国は急いでアレスメデス王国との国境に壁を作って、自分たちの国を守っているんだよ。

その国が滅びた理由は、きっと大陸中央の壁の向こう側にある事だろうね。

最も、誰も入れないだろうけど。ふふっ。

当然の報いだ。

うん? いや、今のは独り言だよ。聞き流してくれ。


何でそんなに詳しいのかって?

さぁ、何故だろうね。まぁ一言でいえば、趣味かな。

調べることが? 違うな、私はそんなに勤勉でもなければ博識でもない。

君に聞かせることが、趣味なんだよ。


私が何者かって?

それに答えたらこの関係は終わってしまうけれど、それでもいいのかい?

嫌、か。うん。それなら今の質問は聞かなかったことにしてあげよう。

また私の気配を感じ取ったときは、いつでも来ると良い。



今日は随分と質問をしてくるね。月の光に一歩踏み出す勇気でも貰ったのかな?

じゃあ私からも一つ、質問をしてもいいかな。

君は一生涯、武器職人がいい? 

それとも・・・、武器に認められて魔王を打倒す英雄になりたい?


******


気づけば辺りの明かりはすっかりと消え、僕たちを照らすのは月光のみとなっていた。

「君は一生涯、武器職人がいい? それとも・・・、武器に認められて魔王を打倒す英雄になりたい?」

「僕は、・・・僕は」

突然の彼女の問いに、一度は答えに詰まる。

だが、その答えはいつも自問自答していたことであり自分でもただ一つの答えを持っているものだった。


僕だって戦いたい。

物語に出てくるような、かつて命を賭けて龍と対峙した先人たちのように。

今の鍛冶仕事に文句があるわけではない。

むしろ我が子のように育ててくれる親方たちには頭が上がらない。

しかし、どうにも僕は彼らのように武器作りに命を捧げる熱意と覚悟が持てないのだ。


目つきが違う、考えが違う。温度が違う。

まるで自分から出る熱で命を削るように、取りつかれたように金属を打つ彼らのようになれるビジョンがどうしても湧かない。

違う、何かが致命的に彼らと違う。親方に拾われてから、この思いが消えたことは一度もない。


それに僕は、作る側よりも使う側となりたい。深い理由はそこにない。只の直感と、ロマンだ。

拙いながらも僕は、お姉さんに自分の胸中を告げた。

すると彼女は嬉しそうな、でもどこか悲しそうな眼で僕を見た。


「それが、どれほど危険で辛くてもかい?」

「生きている意味も分からず、他人と比べて自分を嫌いになりながら一人で生きるよりかはずっと楽です」

「そうか、君の未来が楽しみだよ。ねぇ、服を脱いで」

「分かりました。・・・ん? 今なんて言いました?」


会話と会話のつながりが途切れるほどの脈絡のない返答に戸惑っていると、金木犀の香りをほのかに香らせるお姉さんは僕の傍にすり寄り、胸に手を置いた。


「ちょ、ちょお姉さん! こ、心の準備がまだ・・・」

「何を妄想しているんだ。上だけでいいから早く」

「ちょ、まっ、アッー!」


顔を真っ赤にしたまま口をパクパクさせることしかできない僕を尻目に、彼女は無理やり上着を脱がしたかと思えば、胸に額を当て何かつぶやく。

しかし特段何も変わった様子はなく、羞恥心で耳まで赤くしていると彼女は満足そうに離れ、優しく頭を撫でた。上着をはぎ取られて肌寒いはずが、彼女に頭を撫でられることで全身が火照っているのが自分でも分かる。


「いい鼓動の音だね。うん、私の好きな音だ。私の心臓の音とは大違いだ」

「い、いったい何を・・・?」

「おまじないをしただけだよ。君のこの先歩む道に幸多からんことを、とね。明日の正午、国立コロッセオに向かうといい。きっと良いことが起こるに違いない。大丈夫、おまじないをしておいたから」

「今のがおまじないですか?」

「嫌だったかい?」

「寧ろもっとしてほしいです」

「欲しがりさんだね。でも今日はここまで。またいつの日か会おう。大丈夫、またすぐに会えるさ」


彼女は最後にそう言って、瞬きの間に音もなく消えた。

いつもの別れと同じだった。

「お姉さん、貴方は一体・・・、何者なのですか?」

先程彼女に遮られた、僕の問いは誰の耳に届くこともなく月夜へと霧散した。


*********


翌日、僕は親方に休みを頂いて国立コロッセオへと足を運んでいた。

親方に行き先を告げると「やっぱりお前も気になるか。思春期だもんな」と頷かれたため、訳を詳しく聞いてみたところ、今日は宝具の所有者の選定会が行われるらしい。

なんでも、9つあるうちの宝具の内一つは未だに所有者が決まっていないらしいのだ。


そのため定期的に若者を集めて選考会を行い、宝具の適任者を探しているらしい。

13年間生きてきて、そのイベントの存在を初めて知った。

そんなのやってたんかい。もっと早く知りたかった。

親方たちは武器を作ることにしか興味がないし、僕も基本は工房から出ないから存在すら知らなかった。


しかしお姉さんは、今日という日にコロッセオに行くことを指定した。

それがどんなことを意味するのか分からないほど、僕は馬鹿じゃない。

溢れんばかりの期待を胸に、コロッセオの受付に顔を出した僕に突き付けられたのはあまりに非情な現実だった。


「選考会の参加には予約が必要です。観覧は5000G頂戴しております。あと、参加は15歳からです」

「へ?」

余りの展開に、僕の口から出たのは余りに情けない声だった。

確かに、今日コロッセオに向かうと親方に行った時に小遣いとして5000Gを握らされた。

もしかして、用途って観戦料ってこと?

「そんな、何とかなりませんか!?」

「坊や、何歳?」

「じゅ、じゅうごさい」

「嘘でしょ」

「うぅ・・・。そ、そこを何とか!」


違う、そんなんじゃ駄目だ。

お姉さんが折角僕の人生を一変させるような何かを用意してくれたのに、それじゃ駄目なんだ。

焦りから僕は受付の人にしがみつく様に嘆願したが、眉を顰めるだけだった。

「帰るか、観戦するか。どっちがいい?」

世界から音と色が消える。


放心状態となった僕は気づけば観戦料を払い、出来立てのパンを片手に観覧席に座っていた。


*****


意識を取り戻してからは現実を受け止め、僕は選考会へと興味を移した。

右手に握っているパンを齧る。焼きたてで美味しいが食べ終わると同時にあくびが出る。

何が行われているかも良く分からない、退屈な時間だ。

これだったら親方にシバかれていた方が、マシだったかもしれない。


特段面白いことはなく一時間ほどが経過したが、目の前で行われていることのルールも仕組みも分からない。再び小さなあくびを丁度一つ噛み殺したとき、不意に誰かが腰を下ろした。


まだ席は余っているのに、随分近くに座るものだと音のした方に顔を向けてみると、そこにはフードを被った一人の男性がこちらをやや不吉な笑顔を張り付けながらこちらを覗き込んでいた。


水晶のように青い目は、僕の何かを見透かしているように不吉にギラギラと光っている。

嫌な目だ。なぜだかわからないが、本能的にそう感じる。


「こんにちは。急で悪いんだけどキミ、ちょっと席外してくれるかな」

「・・・? 僕ですか?」

「そう君。ほら早く」

「ちょ、っ! ま、まって!!」

男性は僕の手をぶっきらぼうにとり、慣れた足取りで僕をどこかへと引っ張っていく。

当然、子供の僕よりも歩幅は彼の方が大きい。

僕は何度も足が絡まりそうになりながら、何度も右左折を繰り返す彼に早足でついていく。

やがて試験場とは違う少し大きめの広場に到着した。


「あ、あの、これって誘拐ですか? ぼ、僕にはなにもないですよ」

恐怖と痛みで涙目になりながら震える唇でそう伝えると、彼はめんどくさそうに頭を掻きながら溜息交じりに呟いた。

「お前何者だ? 一般市民からは距離をとった。本性出すならさっさとしてくれ。いつまで人間の姿をしてんだ。よりにもよって、ガキの姿しやがって」

「いや、何を・・・、っ!?」


僕が答えようとした瞬間、彼は一瞬で距離を詰め、その拳を目の前に繰り出した。

風圧で後ろの土は舞い上がり、あまりのことに僕の口は閉じ言葉が途中で詰まる。

目の前の拳に冷や汗が流れ、生唾を飲み込む。それでも今の状況は分からないままだった。

お姉さんに言われた通り来ただけなのに、この状況は一体なんなんだろう?


「次は止めねぇぞ。もう一度問う。お前は何者だ? なぜケガレ様の魔力を纏っている?」

「ま、まって、話を聞いてください!!」

「忠告したぞ。ノイン・シュバリエの名において、正義執行を開始する」

その掛け声を合図に、彼が携える刀は透き通った翠色に輝く。同時に無数の刃が空気を裂いた。

その刃は地面をえぐり、僕の方へ近づいてくる。

これに当たったら僕の体なんて、そこら辺の雑草のように木っ端微塵になるに違いない。

恐怖で泣きながら、僕は距離を取ろうと男に背を向けた。


「だ、誰か助け・・・」

「逃げても無駄だ」

「うわぁ!!」

だが彼が一度刀を振れば、無数の斬撃が僕めがけて飛んでくる。

避けようとして足が絡まり、無様に地べたに転がる。

肘が擦り剝け、砂埃が喉をざらつかせた。


痛い、怖い。初めて他人から向けられる殺意に足がすくむ。

もう何もわからない。

ケガレ様? なんだそれ、初耳だ。


お姉さんはなぜ、今日この場所を指定したのか。

なぜ、僕はこんな目に合っているのか。

そういえば、彼は自分のことを『ノイン・シュバリエ』と言ったか。

なるほど、どうやら僕はこの世界に祝福されて生まれてきたわけではないようだ。

泣きながら自分の惨めさに地面の砂を掴む。


何もわからないまま・・・。そうだ、お姉さんのことだって何もわからないままだった。

死ぬ一歩手前の頭に浮かんだのは、不思議なお姉さんと過ごした僅かな時間であった。

「こんなところで・・・、お姉さんが何者かわかるまで、死んで、たまるかっ!!!」


僕がそう叫ぶと、空で何かがはじけた音と落下物がこちらに向かってくる別の恐怖が身体を支配した。

何かが迫ってきている。

目の前の男も同じ事を想ったようで、大きな口を開けて空を眺めていた。

その光は一直線に僕の目に向かって一直線に飛び込んでくる。

刹那、真っ白な光の塊が僕の目の前に現れ、停まった。


「へ? ぐっ!? がぁああああ! い、痛いっ、痛い痛い痛い痛い!!!!」

破裂音が聞こえたかと思えば、光の塊は僕の左目を押しつぶすように内側へと入ってくる。目を抉るような痛みが一瞬で全身を貫いて、のたうち回って嘔吐する。

何分くらい暴れていただろうか。長いこと絶望の淵を彷徨ったような感覚だ。


気づけば痛みは引いていき、その視界に映ったのは先ほどよりクリアな世界と、驚いた様子を隠せない5人の集団であった。


「No.9が・・・、君を認めた? な、なんということだ、私たちは素晴らしい時に立ち会えた!! どけ、ルーク。邪魔だ! この少年から離れろ!」


随分と大層な箱を抱えた女性は、その箱を投げ捨てて僕に近づき肩を抱いた。

「何百年来の奇蹟なのだ・・・。素晴らしい、素晴らしい!! 私たちは君を歓迎する!!」

「へ・・・、な、なにが・・・? だれか、たすけて」


もう何もわからない僕は、ただ茫然と嬉しそうな彼女の顔を見つめることしかできなかった。


パチン、と先ほど何か異物が入った眼の奥で音が鳴る。

その音はまるで、これから始まる何かの幕開けを表しているようだった。


******


「一度整理しようか。団長も興奮せずに話を聞いてくださいね。ルークも一旦『No.』を仕舞って。少年はゆっくり、深呼吸をして。そうだ、ゆっくりでいい」


その場の微妙な空気を察した長身金髪の男性が、他の人達の表情を見渡した後咳ばらいを一つして続けた。

「まず君が何者なのかだ。今日君は何しにここに? 見たところ選抜を受けられる年齢ではなさそうだけれど、親御さんは?」

「待てよ、こいつからはケガレ様の・・・」

「ルークは黙って。俺は今この少年に聞いている」


長身の男性に静止を促され口を噤んだ男から目をそらし、僕は金髪の男性の目を見た。

何とも美しく引き込まれそうな朱色である。


「僕は今日、ただ観戦に来ただけなんです。それなのに急にこの人に」

お姉さんのことは伏せた答えをしながら、ルークとやらに目を向ける。

長身の男性もそちら側に目を向けた。

「それで? ルークが少年を襲った理由は、彼からケガレ様の魔力を感じ取ったからであっているかい?」

「あの! ケガレ様とは一体何なんですか?」

僕がそう尋ねると、長身の男性は驚いた様子でこちらに向き直り丸くした目でこちらを見て何度か瞬きをした。


「君はケガレ様を知らないのかい?」

「は、はい」

「・・・この国の中心部には壁があるのは知っているね? その向こう側はどうなっているかは知っているかい?」

壁の向こう側。

それについては、かつてお姉さんに聞いたことがある。


「壁の向こう側には、龍の脳と心臓を持ち帰った国が滅びた跡がある・・・のではないですか?」

「その回答では不十分だね。確かに壁の向こう側にはかつて存在したアレスメデス王国の跡がある。だけど、今壁の向こう側に広がっている世界は違う。その跡地には大量の魔物や魔人と呼ばれる、危険な存在が住んでいる」

「魔物や魔人・・・?」

「龍の怨念がかつてのアレスメデス王国の人々を魔人に、それ以外の生物を魔物に変え、生にしがみつく様に人間を襲う存在にしてしまったんだ。俺たちノイン・シュバリエの役割は、それらの調査及び国民を脅威から守ることだ」

「な、なるほど・・・?」

「そしてその軍団を率いているとされている存在、かつてアレスメデス王国の国王が住んでいた城で佇む諸悪の根源を、俺たちは『ケガレ様』と呼んでいる」

「なっ、え゛!?」


彼が口にしたケガレ様の正体。

一瞬、彼女の姿が脳裏に浮かんだが首を振って頭の外へと追いやる。

まさか彼女が。いや、そんなまさか。

驚きを隠せない僕が一言だけ発し唾を飲み込むと、動揺を感じ取った長身の男性が優しく微笑んだ。

とりあえず何かを発しようと口を開いたが、団長と呼ばれた女性が僕と男性の間に割りこみ、肩を優しく叩く。


「肩の力を抜きたまえ。お前がルークに攻撃された理由は、今言った通りだ。しかし君に敵意がなく、加えて『No.』に選ばれたとなると話は違う。私たちは君を歓迎する」

「敵意なんて、そんなの、ありません」

「うん、じゃあそれでいい」

「あと、No.とは一体・・・?」


首をブンブンと振って敵意がないことを主張すると、彼女は僕の目を指さした。

「君の瞳と同調したもの。それは遠く昔の大陸に大きな爪痕を残した龍を基に、我らの先人たちが特別な技術で加工することで作った宝具の一つだ。それらの総称がNo.だ」

「これが・・・?」

「そして、君が今手にした、いや眼にしたものは今まで何百年もの間、主人を認めたことがない曲者でね。でもなぜか奴は君を選んだ。今日から君は『ノイン・シュバリエ』の一員だ」

「団長本気ですか、こいつはケガレ様の魔力が流れてるんですよ!? どう考えても訳ありじゃないですか!? 隔離とか、拘束とか手段はあるはずです!」


ルークとやらは団長に近づき、心の底からと言わんばかりの大声を上げたが彼女は微動だにしない。


「そうであったとしても、No.9が主人を決めたことの方が大きい。ここで少年の自由を奪って何になる? 研究を進めてどうする? 次に主人を選ぶのがいつになるか分からないNo.9を相手にそんなこと言っている暇があるわけない。ディラン、今すぐ選考会を取りやめ、全員を王城に集めろ。時代が、動くぞ」

「承知しました」


先ほどまで取り仕切っていた男性が恭しく腰を折って答える。

僕を置いて繰り広げられる怒涛の展開に、僕は口を開けて呆然とすることしかできなかった。


目の前に刺さっているルークとやらの刀を覗き見る。

反射する僕の左目は、金色の宝石のように人のものではない何かへと変貌を遂げていた。


お姉さん、僕はいったい何者なのですか。

なぜ、僕は選ばれたのですか?

お姉さんがすべて仕組んでいるのですか?


彼女の正体の前に、自分自身が何者なのか分からなくなってしまった。


*****


ほっとする間もなく、気づけば僕は国王との謁見の場に立ち尽くしていた。

僕の後ろには、9人の男女。

彼らが僕以外の、ノイン・シュバリエの団員なのだろうか。

人数が合わない気がするが、そんな些細なことはもうどうでもよい。


王城の最奥部に位置する広大な部屋。僕ら以外は誰もいないはずなのに、どこからか声だけ響いた。


『君が、No.9に選ばれし少年か』

「そうです。先程、私を含めた五人が確認いたしました」

声と同時に僕以外の9人が膝を折る。作法を知らない僕だけ立ち尽くす。

急いで団長に倣って膝を折ったが、声がうまく出ない。

そんな僕の様子を知ってか知らずか、団長が僕の代わりに答えてくれた。


『素晴らしい。しかし、これは時代が動くな』

「はい、現に今」

「挨拶はこれにて終わりだ。諸君、頼んだ」


何のことか分からないまま頭を垂れたままでいると、背後で僅かに床を蹴る音がする。

ゆっくりと振り向くと、団長以外の全員がその場を後にしており塵一つ残っていなかった。

部屋にはすでに、先ほどまで感じていた威圧感もない。僕と、団長以外誰もいないようだ。

「え?」

辺りを見渡すが、もぬけの殻だ。

がらんどうの部屋に僕の間抜けな声だけが響く。

そんな僕の肩に、団長はゆっくりと手を置いた。


「これまで、四つの勢力は均衡を保っていた。現に君はこれまで、ケガレ様の存在を知らなかっただろう?」

「は、はい」

お姉さんとは違う、やや高圧的だがハキハキとした物言いに僕がたじろいでいると彼女はそのまま続ける。


「しかし、今日という日にNo.9が目覚めたことで、均衡が崩れた。そうなるとどうなるか分かるか?」

「他の国が、攻撃してくるとかですか?」

「他の二国とは条約を提携しているから問題はない。問題は、ケガレ様だ」

「ケガレ様?」

僕がそう答えた瞬間、王城の向こう側から轟音が響いた。

地響きと共に地面は揺れ、体勢を崩して尻もちをつく。


「うわぁ、な、何ですか!?」

「我ら『メタトリナ王国』が有する9つの宝具は、一つでも国を傾けると言われている。その最後が目覚めたとあらば、ケガレ様も動くに決まっている」

団長が不意に視線を正面に移した。

その先に僕も視線を向けると、突如空間が割れて少なくとも人間でも動物でもない何かがうめき声を上げながら地上に降り立った。


「うわぁ、え、ちょっと、なんですかあれ!? や、ヤダ怖い!」

「あれが魔物だ。少年、奴らを打倒せ。大丈夫、他の団員も今頃魔物と戦っている」

「そんな無茶な」

僕はブンブンと首を振ったが、彼女は意に返さない。


「いいチュートリアルだろう?」

「まって、ついていけてない話に! うそ、嘘! なにこれ!?」

「さぁ、時代の分水嶺の幕開けだ!」

こちらを襲ってきた魔物から逃げることしかできない僕を、団長は助けることもなくただただ傍観しているだけだった。


「やだやだ、思ってたんと違う!!!!」

「少年、No.9を開花させるんだ!」

「無理言わないでください!」

その後数十分にわたり、僕は魔物から逃げ続けることしか出来なかった。

結局最後まで、僕の左目の何かはうんともすんとも言わなかった。


******


「それは大変だったね。お疲れ様。でも、君の願った通りになっただろう?」

「ぐすっ、うう・・・。僕の思い描いていた冒険譚とは、大幅に違います」

「怖かったかい?」

「そりゃもう、すごく」

「よしよし、頑張ったね」


魔物に齧られたお尻がまだ痛む中、僕は泣きながら帰路についていた。

結局魔物は団長が倒し、一旦家に帰れと言われた矢先に金木犀の香りに誘われた僕はまたいつもの隠れ家に足を運んでいた。

怖さと痛みから涙は零れ続けていたが、お姉さんに会うまでに乾かすことはできなかった。


「でも、君は宝具に選ばれた」

「何かが起こる気配は全くないですけれどね」

「急いてはいけないよ。ゆっくりでいい。最初は魔物にお尻をかじられるくらいがちょうどいい」

「嫌ですよ、こんなプロローグ。情けなくて先人たちに顔向けできません」


団長に貰った眼帯の上から、僕は自分の左目を指でなぞる。

未だにNo.9の真髄どころか、どういうものなのかすら分かっていない。


「お姉さんは、No.9について何か知見はあるのですか?」

左目を摩りながら僕が尋ねると、彼女はすこし困ったような表情を浮かべた。

「ない、と言ったら嘘になるね。ただ、まだ言えない」

「それは、僕の出自に関係するからですか?」


これまで目まぐるしく押し寄せる話の展開に僕はなされるがままだったが、こうして落ち着けばとなく考えがまとまってくる。

お姉さんは僕の問いに、肯定も否定もせずに小さくため息をつくだけだった。


「答えなくて結構です。万が一、お姉さんに会えなくなったら悲しいので」

だから、僕はこれしか答えることが出来なかった。


彼女は優しく僕の頭を撫でる。

お姉さんといつまでもいられること。

それが僕の一番の願いである限りは、このままでいようと強く思った。


******


「団長、遅くまでご苦労様です」

王城の近くにある、ノイン・シュバリエの拠点。

その一室の団長室で本を読んでいた、団長ことケイトはディランの声に視線を机の上の本から扉に移した。


「特に問題はないか?」

「えぇ、そこまで魔物の数は多くありませんでしたし、ただの賑やかしでしょうね」

「嘗められたものだ」


ケイトは眉間を指で押し、ディランの次の言葉を待った。

「No.9についての調べものですか?」

「あぁ。過去の龍について書かれた本からある程度推測は出来そうだからな。私は今日という日まで、あれは目に装着するものだとは思ってもみなかった」

「僕もですよ。あんな宝石が目に入るなんて、誰が想像できますか。それで、能力の検討はついているのですか?」


ディランがゆっくりと近づいてくるに対して、ケイトは読みかけの本を閉じて椅子から立ち上がる。


「我らノイン・シュバリエの武器の持つ固有能力は、過去の龍の持つ能力に反っているものがほとんどだ。それはお前も良く分かっているだろう?」

「無数の刃で万物を切り裂ける物、一定時間無敵になれるもの、魔法陣を元にどんな魔法でも出せるもの。色々ありますが、全て過去の龍と同じ能力ですね」

「その中で、龍の『目』にまつわる能力がないか、色々調査していたんだが。ふっ、ひとつ面白い文献があってな」


ケイトが悪い笑みを浮かべながらディランに近づく。

「なんでも、時間と空間を操れたそうだ」


ケイトの言葉に、ディランは思わず目を剥く。

それは、そんな宝具が存在しても良いのかという驚きと、ケイトに告げなけれえばならない真実が一瞬にして結びついたからであった。


「どうしたディラン? 何か可笑しなことでもあったか?」

「はい、とても」

「言ってみろ」

「あの少年の出自について色々調べるために、彼のいた孤児院を尋ねたのですが」

「それで?」

「彼、小さい頃は今は亡き『アレスメデス王国』の言葉を話せたらしいです。そして特徴的な黒い髪と灰色の目。もしあれが地毛であれば、かの王国の特徴です」


ディランの発言に、今度はケイトが口を閉じれずにいた。


「これまでNo.9が主人を認めなかった理由は、未だアレスメデス王国があった遥か昔に、あの少年が起動したからとでもいうのか? そして時間と空間を超えて、今この場にいる。そんな馬鹿な」


「ありえるかと。しかし、なぜアレスメデス人が我が国の宝具を使ったのかはわかりません。ただ、ルークが言ったケガレ様の魔力というのも、もしかしたらアレスメデス人の魔力なのでは?」


ディランがそこまで言ったところで、二人は口を同時に閉じた。

扉の向こうに、何者かがいる。

しかし、得も言われぬ気味悪さから二人は動けないでいた。

初めて自分よりも各上に対峙する感覚に、相手はあの一人しかいないと瞬時に理解する。


「『ごきげんよう』」


男女が入り混じった声が、扉の向こうから響く。

答えられない儘でいると、扉をすり抜けるようにして一人の人影が部屋の中へと侵入する。

二人はなされるがまま、ただその一部始終を眺めていた。


『宣戦布告だ。長き因縁に、ケリをつけよう』

今度は男の声だけが、腹の底まで低く響く。


「あの少年は、貴方の差し金か?」

ケイトが何とか声を振り絞ると、今度は女性の声だけが響いた。


「半分合っていて、半分違う。ただ彼と私の思い描いた未来の一部が同じなだけだ。彼は自分の意思で、今日あの場所にいた。かつて憧れた英雄になるために」

「貴方は、一体何者だ?」


振り絞るようにケイトが尋ねた答えに、ゆっくりと口角を上げながら侵入者はローブを脱いだ。

黒髪と灰色の目の若い女。それでいて、息もできない程の魔力と威圧感。

先程文献で調べた通り、今は居るはずもないアレスメデス人の特徴だった。


そして、その文献に載っていた唯一の写真。

国が滅びた時の最後の第一王女。

何百年も昔に書き残された絵、そのままの姿で不敵な笑みを浮かべていた。


「な!? ま、まさか」

「『龍と人間の戦いに終止符を。止めたくば我の脳と心臓を貫いて見せよ』」

「待て! あの少年は一体何者だ!!!」

 

ディランは反射的に一歩踏み出したが、瞬きをした次の瞬間にはもうその姿はなかった。

即座に緊縛感と威圧感は緩み、二人は滝のような汗をかきながら崩れ落ちる。


「なるほど、なるほど・・・なるほど。これはまずい。非常にまずい。落ち着け」

「ですね。一旦落ち着きましょう。ひとまず、情報共有じゃないですか? No.9の事も含めて、他国と協力しないとどうにもなりません」

「しかし、なぜケガレ様はあの少年が現れるまで、大きな動きを見せなかったんだ」

「あの少年にも秘密がありそうですね。どうしますか」

ディランは伺うようにケイトの顔を見た。


「今日の一連の騒動は『少年を悪いようにするな』という、過保護的な脅しだ。手だしなんか出来るわけがない。とりあえず、一旦落ち着こう。緊張で考えがまとまらん」

「俺たち何回落ち着きましょうっていうんですかね」

「冗談言っている余裕があるうちは大丈夫だ。一旦落ち着くぞ」


二人は窓の外から月を見る。

少年と、ケガレ様。そしてNo.9。

三つのピースが揃ったことで、時代が動き始めてしまったのだろう。

そう思いながらケイトは再び古びた本を手に取る。

そこにはやはり、先程の女性と同じ顔をした人物の肖像画が描かれていた。


*******


「お姉さん、僕はもう駄目です」

No.9に選ばれてから一週間後。再度香りにつられた僕はいつもの逢瀬の場に転がり込んでいた。


「どうしたんだい?」

彼女は僕の頭を優しく撫でながら、次の言葉を待った。

「未だに、No.9が開花しません」

「まぁ、気長に待つと良い」

「早くしないと、ルークさんにボコボコにされ続けるんです!!!」

「・・・へぇ」


冗談交じりにそう言ったつもりだったが、目の前のお姉さんの顔は笑っておらず初めて聞くような低い声に思わず息が詰まる。


「いや、ボコボコっていうのは、その、大したことありませんよ」

「ルーク、ね。うん、覚えたよ。なるほどね」

「あ、あわわ。い、いや本当にダイジョブですから、ね!」


未だにこの女性のことは何も分からない。

それでも、何か大きな物事が動き始めているのは僕でもわかった。


「そんなことより、遂に明日他の二国との会合なんです。楽しみだな~。亜人の方々をみるのは初めてなんです」

「うん、順調そうでよかった。頑張りたまえ。ゆくゆくはあの壁の向こうにいる、こわいこわい魔王を倒すんだよ」

「頑張ります!! 絶対に打ち倒します」


僕は目の前に女性に向かって、力強く答えた。

それがどんな意味をするかは僕も分かっていた。


貴方がすべての黒幕なのでしょう?

だからこれは、僕なりの宣戦布告だ。

そして心の奥底では、別の言葉を載せて彼女の手を取った。

絶対に、お姉さんと一緒に生きられる未来を探します。


彼女は答えるように、軟らかい笑みを浮かべながら僕の額にキスをする。

思わず目を瞑ってしまったが、ゆっくりと目を開けるともうお姉さんの姿はなかった。


「頑張るぞ」

僕のため息交じりの決意は、海の音にさらわれて霧散した。

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