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いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ

本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!

「帝国の太陽、皇帝陛下にアルバート・アスター・レイロンがご挨拶申し上げます」

「…う、うむ。久しいな大公子よ。しばらく見ないうちに、随分と(たくま)しくなったものだ。見違えたぞ」

「ありがとうございます。父より、書状を預かって参りました」

「あぁ、預かろう。大公からは、事前に打診を受けていた。それ故、もう準備は整っている。成人の儀が終わり次第、執り行う予定だ。そのつもりでな」

「はっ。恐れ入ります」


公然の秘密となってはいるが、今はまだ叙任の件について

公言はしないようだ。


皇帝陛下と、その傍らにいる3人の皇妃。

挨拶をした俺に向けられる視線は、非好意的だ。

例外的に好意的なのは第2皇妃。


「大公子」という身分があっても、この帝国の王侯貴族は

俺のことを「卑しいジプシーの子」という目で

見るものが多い。

だが俺のフルネームを聞いて、態度を改める者もいる。

それが、元ロマリアナ王国の者達だ。

帝国の基礎となっている元ロマリアナ王国には

建国の祖とされている2柱のリュウの神がいる。

それが「レイロン」と「アスター」だ。


今、ロマリアナ帝国となっているこの国は

元々、3つの王国だった。

土台となったロマリアナ王国、そしてその両隣にあった

ランカスター王国と、サントーレ王国だ。


今でこそ「〜地方」と呼ばれているが

元王族の血は今なお健在である。

なぜなら歴代の皇帝達は、勢力に偏りが出ないよう

その元王族から1人ずつ妻を娶り

皇后を置かず、皇妃を3人とするのだ。

そして後継者となる者は、成人まで生き残れた男児に限る。


表面上は「勢力の均衡を保つために」と言いながら

やはり、皇妃同士の争いというのは起こるもの。

複数人の皇妃が男児を産んだときなどは

特に酷いものだったと聞く。


そんな中で、生き残れるだけの強運を持っている者ならば

皇帝となるに相応しいだろうという「運も実力のうち」

と言わんばかりの選出方法だ。

しかし、武力、知力、統率力など実力が拮抗している場合

最後に物を言うのは運だ、ということになるらしい。

即ち、複数人生まれたとて、生き残るのは1人のみ。

最悪、一騎討ちになることもあったのだとか。


そうして生き残り、皇帝となったものは

その母親が持つミドルネームを受け継ぐ。

現皇帝の名は「ギレウス・ランカスター・レイロン」

つまり、皇帝の母親が元ランカスターの王族ということだ。


ちなみに現皇妃は、

第1皇妃、レティシャ・ランカスター

第2皇妃、シャーリー・ロマリアナ

第3皇妃、オリビア・サントーレ

どの皇妃にも、ラストネームに皇族を示す

「レイロン」の名が付く。


かくいう我が大公家も、ミドルネームについては同じ。

俺も母親の性「アスター」をミドルネームとして

受け継いでおり、且つ皇族と同等の身分を

与えられているため「レイロン」を名乗ることが

許されている。


ランカスターとサントーレの民には

まだあまり浸透していないが、ロマリアナ出身の者ならば

建国神話は、骨の髄まで染みている話だった。

それ故に、俺のフルネームが

「アルバート・アスター・レイロン」であることを

知っていて、俺に対して友好的なのは

シャーリー皇妃だけなのだ。


そして翌日、成人の儀、大公の叙任式、共に滞りなく終わり

俺は陛下を訪ねた。

事前に話したいことがあると伝えていたため

陛下の元まではスムーズに通された。


「この度は、お取り計らい頂きまして、誠にありがとう存じます」

「あぁ、構わん。そうかしこまるな、楽にしてくれ。それにしても驚いた。最後にあったのは、大公妃の葬儀の折であったか…逞しくもなったが、いつそのように容貌が変わったのだ?」

「7つの頃から…でしょうか。不思議な夢を見まして。その後から少しずつ、徐々に色が変わっていきました」

「不思議な夢…だと?」

「はい。真紅の体に金色の瞳を持つ、強大な竜の夢です。…資格がどうとか…と言っていた気がします」

「なんと…」

「その後、体に変化が見え始め、一番の変化は…背中に鱗が現れたことです」

「な、なんだと!?」


俺はその場で服を脱ぎ、背中を見せた。


「こ、これは…間違いない、逆鱗だな」

「やはり、そうでしたか」

「他に、これを知る者は?」

「最初にこれを発見した、専属の侍従と、陛下だけです」

「うむ、賢明な判断だ。これを他に知られて良いことはないからな。その夢の竜だが、恐らくアスター様だ」

「あれが…しかし、なぜ私の夢に?」

「ふむ…これは、一般的には知られていないことなのだがな、黒の逆鱗を持つ者は、リュウ神の依代となる資格を持っているそうなのだ」

「リュウ神の依代?」

「あぁ、実は『黒』というのは、レイロン、アスター両リュウ神の血脈を併せ持つ者にのみ現れる特徴なのだそうだ。そのため、昔は黒を持つ子が生まれた時は、首都の大神殿に預け、男女問わず聖騎士として育て上げていたのだ。リュウ神をその身に宿し、啓示を民に伝える役目を担うように、またある時は、対外的な脅威から民を守るため、率先して立ち向かうようにと。だが…ある代の皇帝が、愚かな選択をしてな…」


陛下は、身内の過ちを恥じるように顔を歪めた。

ここまでお読み頂きありがとうございました。


続きが気になる!

もうちょっと読んでみないとなんともな〜

と思った方は、ページ下部から

リアクションや評価、ブクマ登録など

して頂けると、筆者頑張れます!


不定期更新なので、更新した際には

活動報告、及びXで告知させて頂きます。

よろしくお願い致しますm(_ _)m

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