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いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!
「はぁ…」
「どうしました?何か嫌いなものでも入ってました?」
「そうじゃなくてさ…やっぱり行くしかないのかね?」
「もう!何を言ってるんですか!しっかりして下さいよ」
「そうそう。せっかくのお父上との感動の再会じゃないですか!」
「いや、感動の再会って…一度も会ったことないし、そもそも向こうは私の存在すら知らないみたいだけど?」
「でも、それは…」
「まぁ、分かってるよ?母様の意向だったっていうのは。分かってるんだけどさ、もしも…もしもちゃんと私の存在を知らせて、保護してもらってたら、母様は…死なずに済んだんじゃないか…とか思っちゃってさ」
「「……」」
同じ角度に眉尻を下げて顔を見合わせた2人が
不憫そうな表情で言葉を詰まらせた。
私の母様は、私がまだ幼い頃、何者かに殺された。
正確に言えば、私を誘拐しようとした何者かから
私を庇って命を落としたのだ。
* * *
今から25年前、当時まだ皇子だったギレウスが
成人を迎え、立太子された。
皇太子となった者でも、余程のことがない限り
間を置かずに皇帝に即位するということはまずない。
大抵の場合は、皇帝も健在であるし
執政には知識も経験も不足している。
そのため、最低でも5年〜10年は「勉強」と称し
机に向かう時間はもちろんのこと
国内情勢を把握すべく、帝国内のあちこちに
視察に向かうという慣習があった。
方法や順序などは、その代によって様々で
主に皇太子本人に一任されることが多かった。
ギレウスは机に向かうのが好きだった。
新しい知識を学ぶことが楽しかったから。
子どもの頃から多くの本を読み、座学の授業に関しては
大変優秀であったため、彼の勉強は視察に全振りされた。
まずは地方ごと、ランカスター地方、ロマリアナ地方
そしてサントーレ地方に、それぞれ1年ずつ滞在し
視察をして回った。
しかし、皇太子が視察に来ると分かっていれば
悪いところは見せられない。
臭いものに蓋をしてしまう者が多く
きちんとした実態を見ることができなかった。
そこでギレウスが目を付けたのが
ジプシーのアスター族だった。
彼らは、自分達レイロン族と同じく
建国神話にも登場する、由緒正しい神の一族。
そもそも、アスター族がなぜジプシーになったのか
といえば、ロマリアナが帝国となり、国土を広げた結果
皇族の統治だけでは手が回らなくなってしまったが故に
治安部隊として国内を巡るようになったというのが
所以だそうだ。
身分を隠し、アスター族に紛れ込み
彼らに帯同すれば、国内の闇も垣間見ることが
できるのではないか。。
そう考えたギレウスは、アスター族を探し出し
コンタクトを取った。
「どうか、あなた方に同行させてはくれまいか。この両の目で見られることには限界がある。それでも今後、この国を治める皇族として、まだまだ見ておかなければならないことがある。そして何より、レイロン族として、あなた方と同じ神の一族として、共にこの国を守っていくアスター族のことをもっと知りたいのです」
「レイロンのひよっこが…根性だけは一丁前だな。俺らの旅は甘くねぇぞ。付いて来んのは構わねぇが、後れを取るなら置いてくからな」
「!はい!ありがとうございます!」
族長のスコヴィルから同行を許可されたギレウスは
そこからアスター族と共に、国内を巡ることになった。
言い方こそぶっきらぼうなスコヴィルだったが
単身乗り込んできたギレウスの、考え方と行動力を
気に入っていた。
皇族として育ってきたギレウスに
ジプシーの生活は過酷だろうと
自身の娘であるリーパーを、世話係としてそばに置く
程度には、ギレウスを気にかけていた。
リーパーは、人懐こい笑顔が魅力的な愛らしい娘だった。
そこから4年。
それだけの時間をかけて、帝国内を巡ることとなった。
その間、ギレウスの目に映ったものは
想像の遥か上をいくものだった。
貧困、孤児、犯罪…あらゆる闇を見た。
ギレウスが視察と称し、各地方に滞在した3年間は
アスター族との経験から見れば
旅行程度のものと言っても過言ではなかった。
アスター族はまず、街に入ると拠点を決め
それぞれが日雇いの仕事を探す。
身体能力と容姿に優れた彼らは、力仕事や客商売などで
引く手数多だった。
仕事と多めの求人情報を手に入れた彼らは、まず働く。
そこでしばらく稼いだら
貧民や孤児が多くいるエリアに移動する。
そしてその場でジプシーの歌や踊りを披露して
人を集めると、炊き出しを行い
そこに住まう人々と共に、火を囲み語らうのだ。
そして住民達に求人情報を教える。
アスター族の紹介だと言えば
雇用主も無碍にはできず、雇われる側もまた
彼らの顔に泥を塗るまいと頑張るのだ。
するとそれまで生気のなかった人々の目には
希望が宿り、笑顔が生まれるのだ。
そしてそこに滞在している間、規模は大小様々だが
当然のように犯罪者を制圧していくのだった。
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