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いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ

本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!

その後食事は和やかに進み、アスター族の紹介も受けた。


キャロライナ嬢の隣に座っているのが

彼女の幼馴染みで、世話役であるサビナとキア。

見分けがつかない程、瓜二つの双子の姉妹。

その隣に座っているのが、姉妹の両親である

ブートとブリッキーヌ夫妻。


キャロライナ嬢の向かい側に座っているのが

こちらも幼馴染みで、彼女の護衛であるという

スコーピオンとモルガ兄弟。

こちらも双子だというが、似ているが見分けはつく。

そしてその隣に座っているのが、兄弟の両親である

ダードとトリニ夫妻。


この8名に、キャロライナ嬢を加えた9名が

今のアスター族の中で、特に戦闘に特化した

猛者達なのだそうだ。


「でも多分、一番強いのはあの爺様だろうなぁ」

「えぇ、本当。お元気なのはいいことなんだけどねぇ」

「お嬢のことを溺愛してるからな!」

「あの爺様…とは?」

「族長のスコヴィル様のことです。お嬢は族長の孫娘なんですよ」

「あぁ、なるほど。それで皆、キャロライナ嬢のことを『お嬢』と」


皆、お嬢お嬢と、傍目から見ても

キャロライナ嬢が慕われているのがよく分かった。


「でもやっぱり一番強いのは、憑依状態のお嬢だよ」

「憑依状態?…あ!あの時の。あれは一体何なのだ?皆が来る前、私もその状態に陥っていたようなのだ。その前後に声が聞こえて…。それに、直前に毒矢を食らっていたのだが、意識が戻るとその形跡すら無くなっていた」

「あら!本当に!?おめでとうございます!」

「アスター様に認められたのですね!毒は恐らく、アスター様によって消されたものかと」

「あの状態になった…ということは、閣下にも()()んですね?」


キャロライナ嬢は、自身の背中を指さした。

逆鱗のことを言っているのだと理解して、頷いた。


「あれは、神の依代になれる資格を持っているという証。そして、心身共に鍛え上げ、アスター様のお力に耐えうる状態になったと認められた時、アスター様をその体に憑依させ、人ならざる戦い方をすることができるようになるんです」


依代のことは知っていた。以前陛下に聞いたから。

だがあの時の話では、大神殿にて啓示を伝える

という役割だったはずだが…。


「あ、それはレイロン様が憑依した時ね」

「なんと!レイロン様も憑依されるのか」

「えぇ。多分、閣下はレイロン様の血が薄かったから、逆鱗が出るのに時間がかかったし、アスター様の声しか聞けてないんだと思います。私は生まれた時から、依代の証なんてものを持っていたばっかりに、母様と爺様(じじさま)にはエラいしごかれましたけど、今となってはいい思い出だし、感謝もしてます」


母親のことを語るキャロライナ嬢は

昔を懐かしむようだった。

見やれば他の面々も、どこか物悲しい表情を浮かべていた。


「まさかとは思うが…キャロライナ嬢の御母堂は…」

「はい、もう亡くなっています。まだ私が幼い頃、私が何者かに狙われたんです。そこで私を庇って…」

「なんと…そんなことが…。不躾なことを聞いてしまったな。すまない」

「いえ、とんでもない。先程もお話しましたが、閣下のお母様とは幼馴染みだったんです。きっと今頃、向こうで再開できて、喜んでるんじゃないですかね」

「そうだったら良いのだがな…」


キャロライナ嬢も自分と同じような状況で

母親を亡くしていたことに驚いた。

それと同時にますます親近感が湧き

幼馴染みだったという互いの母親が

俺達を導いて出会わせてくれたのではないかとさえ

思えるほどだ。


「しかし、これだけ器量も良く、一騎当千のキャロライナ嬢の御母堂とあらば、さぞ強く美しい方だったのだろう。お目にかかれないのが悔やまれるな」


俺がそう言うと、なぜかキャロライナ嬢が

ポポッと頬を染めた。

そしてアスター族一同が、ニヤニヤしながら

こちらを見ている。

なぜか護衛兄弟にはガッツリ睨まれているが。


え?なにこれ?どういう状況だ?

助け舟を求めてセバスチャンを見やれば

これまた双子同様、ガッツリ睨んでいる。…怖い。

あっちは見ないことにしよう。


その後は特に問題もなく、食事は終了した。

アスター族の皆には

暫くの間この城に滞在してもらうことになった。

その間、騎士団に稽古をつけてもらったり

ブート、ブリッキーヌ夫妻とダード、トリニ夫妻に

俺の知らない、若かりし頃の母上の話を

聞かせてもらったりした。


そしてキャロライナ嬢が幼い頃から行っていたという

神の依代としての訓練の話や、族長殿の話

御母堂を亡くされた時の話なども聞いた。

幼子に課すには、あまりに過酷な訓練の数々に

度肝を抜かれた。


皆がだいぶこの城に馴染んだであろう頃

再び晩餐へと招待した。

この日も前回同様、和やかに食事は進んでいった。


なかなか良い感じではなかろうか。

良い感じにアスター族と仲良くなれたのではなかろうか。

今なら、言える雰囲気ではなかろうか。


戦場で彼らの戦いを目の当たりにしてからというもの

どうしても頼みたいと思っていたことがあった。

俺は、意を決して口を開いた。


「キャロライナ嬢、無理を承知で、どうしても頼みたいことがある」

「は、はい…何でしょう」


俺の改まった態度と、いつになく真剣な表情に

驚いたのか、彼女は少し怯えるように返事をした。


「どうか、この地に留まり、その身を大公城(ここ)に置いてはもらえないだろうか?」

「え…それは、どういう…」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


彼女らが、アスター族がこの大公領に留まり

共に国境の守護を担ってくれるなら

これ程心強いことはない。

そう考え、無理ということは百も承知で

思い切って頼んでみたのだ。


…が、キャロライナ嬢は明らかに困惑してた。

これは分かる。

いきなりこんな頼みをされれば、俺だって戸惑うだろう。

しかし、分からないのはその他のリアクションだ。


アスター族の大爆笑と、うちの使用人達の驚愕の表情。

そしてセバスチャンからの

「坊ちゃま!いくらなんでも展開が早すぎます!」

と、護衛兄弟からの

「この野郎!いくら大公だからって許さねぇぞ!」

「そう簡単にお嬢を渡すか!」

という、謎のツッコミ。

なぜだ…何がいけないんだ!?


この時の俺は、何も分かっていなかった。

しかし後日、己の発言がいかに軽率であったかを

思い知り、激しく後悔することになるのであった。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

これにて、第1章は完結となります。

次回からは第2章、ヒロイン視点の話になります。


続きが気になる!

もうちょっと読んでみないとなんともな〜

と思った方は、ページ下部から

リアクションや評価、ブクマ登録など

して頂けると、筆者頑張れます!


よろしくお願い致しますm(_ _)m

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