妹に婚約者を奪われたので仕返しをしました。
「御姉様、そのドレス素敵ね私に頂戴」
「御姉様、その髪飾り素敵ね私に頂戴」
「御姉様、その婚約者素敵ね私に頂戴」
もう、いい加減してと私は心の中で叫んでいた。
しかし、私は愛人の娘そして妹は実の娘だ。
父が浮気して出来たのが私だ。
父は国王で王妃との間に子供は出来ず、
愛人の間に初めて私が生まれたのだ。
しかし、その後王妃との間に子供が生まれたのがリリアだ。
なので、私の立場は妹より弱いのだ。
妹リリアに欲しいと言われれば全て譲って来た。でも流石に婚約者は渡せない。
私には婚約者のカイルが居たのだ。
政略だがカイルはとても優しく見た目も素敵な男性だった。
お茶会でも会話は弾みいつも楽しかった。
しかし、リリアは私の物は何でも欲しがり、
カイルの事も別に好きでも無いのに欲しがったのだ。
父に相談すると父はリリアに甘く、簡単に私との婚約を破棄してカイルをリリアの婚約者にしてしまった。
私はカイルに会いに行った。そして婚約破棄された事を話した「アンリ泣かないで、私が愛しているのはアンリだけだ」
カイルは私を慰めてくれたが、私は納得出来なかった。するとカイルが思い付いたように話始めた。「良い考えがある、リリアが居る限りアンリは一生幸せになれない、俺に任せてくれ」と。
そして、数日後私はある男性と仲良くお茶をしていた。漆黒の長い髪に切れ長の瞳、何処か人を引き付ける美男子だった。
そこにリリアが現れた。
「御姉様、その方はどなた?素敵な方ね」とうっとりとした目で男を見つめていた。
私は「この方は私の婚約者のマクア様よ」と言うとリリアは「私この方と結婚したいわ、御姉様にカイル様をお返ししますから、その方を譲って頂戴」
「何言っているのです、リリアはカイル様が好きで婚約したのでしょう?」
「カイル様なんてつまらない、私はこの方と結婚したいと言っているの」
すると、マクアは立ち上がり「リリア様、私と共に暮らして頂けるのですね、ではこれにサインをして下さい」と契約書を差し出した。
リリアは殆んど読まずにサインをした。
「これであなたは私の下部です、さぁ参りましょう」とマクアがリリアを促した。
「えっ、父と母に報告して結婚式の準備をしないと、それに下部って何?」とリリアが言うと、
「結婚式等必要ない、あなたはこれから暗黒の世界で私の下部として暮らすのだから」と言ったのだ。
そうなのだ、リリアは悪魔と契約したのだ。
これは全てカイルとアンリの策略だった。
カイルの家系に黒魔術に携わる者がおり、
悪魔を呼び出して貰い、我が儘なリリアを暗黒の世界に連れ去って貰うように頼んだのだ。
「嫌ー御姉様今までの事は謝るから助けてー」とリリアは叫んで助けを求めた。
しかし、カイルもアンリも助ける事はしなかった。
そしてリリアは「何よ、愛人の娘の癖にー絶対許さないからー」と叫びながら悪魔に連れられて消えて行った。
国王と王妃は悪魔の魔術でリリアの存在を記憶から消されていた。
そして、アンリはカイルと無事に婚約を結びその後結婚して幸せに暮らした。