表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
源頼朝挙兵物語  作者: 中野掘門
79/100

七十九 頼朝反撃 五

 八月二十六日の朝。


 村の小道の交差するところで、よろよろと歩いていた老婆と、数名で歩いていた武士の一人がぶつかって老婆が倒れた。


 その武士は優しい男だったので、老婆を抱き起して、大事ないかと問い、そのまま行き過ぎようとした。


 その時、老婆から言葉をかけられた。


「そこのお武家様は、もう帰るのかえ?」


 優しい武士は、振り返って応えた。


「いや、本陣には戻らぬが?」


 老婆が続けた。


「違う違う、帰国するのかと聞いたのじゃ」


 武士は、老婆が言っている意味がわからなかった。もしかしてボケているのか?


「いや、帰国はまだしないが?」


 老婆が応えた。


「大殿様は、もう伊豆北条へお帰りになったというに、まだここにいるのかえ?」


 武士は、はっとした。


「大殿様とは、誰のことだ?」


 老婆が、何を判り切ったことをという顔で言った。


「頼朝の御殿様に決まっておろうが」


 驚いた武士は、急き込んで聞き直した。


「何故、頼朝が伊豆北条におるのだ?」


 何をたわけたことを、と言う顔で老婆は応えた。


「そんなこと、この真鶴で知らん者は誰もおりゃせんわ」




 その武士と数名は、急いで本陣に向かった。


「何だと?」


 報告をしにきた武士は、老婆から聞いたことをそのまま景親に伝えた。


 頼朝が、すでに伊豆北条館に帰って、再び再起の準備をしているという話は、瞬く間に大庭軍と伊東祐親軍の全軍に伝わった。


 景親は、動揺していた。


「大庭殿は、おいでかの?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ