表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/288

第七話 領主のお屋敷

皆さんは後書きは先に読みますか?それとも後に読みますか?

僕は後に読みます。

先に読むときもあったりなかったり。

〜前回のあらすじ〜


酒場で大騒ぎしました。


◀ ◇ ▶


 酒場で起こったイケメン騒動の後、俺は男性冒険者をなんとか説得して回る羽目になった。

 本当に、リュナとセトには困ったもんだ。

男性冒険者たちは精霊だからと納得してくれたが、

精霊じゃなかったら大変な事になっていただろう。

嫉妬やら何やらの人間特有の感情の末にセトの身に危険が及ぶようなことがあってもおかしくはない。

 その後なんとか全員を説得し、疲れたし日も暮れてきたので、支払われた報酬の金で近くの宿に泊まった。

 異世界(こっち)に来てから二〜三日程経っているのだが、全く睡眠をとっていなかったので、昼頃まで寝た。

寝不足が解消されたので体も心も軽くなったような気がする。

リュナとセトも爆睡。流石に俺よりは早く起きていたものの、かなりの時間寝ていたという。

 宿から出た後は特にやることもなく暇だったので、冒険者ギルドでクエスト一覧を見ていたら、ギルドのドアが静かに開いて外から執事らしき人が入ってきた。


 「失礼致します。突然申し訳有りませんが、先日招待状にご記載させていただいた十八名の方々はお集まりください。」


 だそうで、その十八名は執事のところに集まった。

 俺とリュナもそのうちに入っているのだが、俺が見覚えがある人は四人しかいなかった。

 冒険者リーダー、剣が異様に強いオッサンとその仲間の若者二名。

なぜかはわからないが、大活躍していたはずのあの青髪の人はいなかった。


 「全員お揃いのようですね。

では、改めまして、私はロムバート家で執事を務めさせていただいております。ハーデンと申します。

本日ですが、まずは、皆さんに馬車に乗って頂きます。

ロムバート邸まで六時間程かかりますが、シートは高級クッションですのでご安心下さい。

魔物等に襲われる危険性はありません。

では早速ですが、外に用意してある馬車に、パーティごとにお乗りになってください。」


 流石は執事だ。要点を纏めていて素早い。

 そのハーデンという執事に案内されるがままに俺たちが外に出てみると、そこには豪華な馬車があった。

その数およそ七台程。

 俺たちはそれに乗り、領主の屋敷(ロムバート邸)へと向かった。


◀ ◇ ▶


 「わー!見てみて!リザードの群れだよ!」

「本当だな。あれ程の数を率いるとは、リーダーの個体はかなり賢いんではないか?

うーん、我の見立てによると、先頭の個体はA+級の危険度だ。

二十年に一度のレア個体だな。」


リュナとセトが、馬車の小窓から外の景色を眺めながらはしゃいでいる。

 サラッと言っているが、A+ってやばいんじゃないの。


「へぇ〜。でもそれって危険なんじゃないの?こっちに向かってきてるし。」


 向かってきてんのかよ。尚更危ないじゃねーか。


「大丈夫だろう。

この場車は冒険者が乗っていると言っても、貴族用の高級な馬車。

それなりの結界が張ってある。あのリザード達でも突破出来はしないだろうし。」


と、セトは完全に無警戒な様子でいう。セトが言うなら安心できそうだ。

 なんだかんだ言って、この中で一番物知りそうで、年長なセトの解説は信用できる。

今回も正しいだろ――――


「あっ、もう目の前だ。」


 そんな呑気なリュナの声が聞こえた刹那、一瞬空中に放り出される俺たち。轟音とともに馬車が大きな揺れを立てた。

衝撃は馬車の横、リュナが見ていた方向から来ている。

 息つく暇もなく、馬車は宙に舞い上げられた。

勢いよく地面に激突し、馬車は大破。俺たちは地面に投げ出されて、身体のあちこちを打ち付ける始末。


「痛たたたた…」

「何が起こったんだ!?」

「ちょっと、セト君、引っ張り出してー。」


 相変わらず緊張感が無いリュナは置いといて、何が起こったか理解した者は少なかった。

十八人中五人が何があったかを理解し、その五人中二人が原因を突き止めた。


 「皆、急いで起きろ!リザードの群れが来るぞー!」

「さっきのは群れとの接触事故だ!

急がないと周ってくる群れに踏み潰される!」


辺りに緊迫感を孕んだ声が響き渡る。

 この二人だけが事故の原因を瞬時に理解できたのだ。

 だが、この状況下ですぐに動ける者は少ない。

リザードの群れはもう目と鼻の先まで迫っている。

 その群れの幅が大きすぎて、逃げられない。

地平線の先まで埋め尽くすような、爆速で走り回る群れ。

 何をしても、俺たちがどう足掻いても、ただただなすすべもなく蹂躙(じゅうりん)されるだけのようにも思えてくる。

 逃げ場のないリザードの大波に呑まれて藻屑となるか、無駄な足掻きをして藻屑になるか。

幹部を撃退したからといって増長していた俺たちには、その突然で圧倒的に絶望な状況から逃げ出せる余裕はなかった。

 もう終わりだ。

 そう思ったときだった。

 なかなかぶつかってこないので、目を開ける。

 そこには、もとの眼球の姿に戻ったセトがいた。

 防護魔法(バリア)らしきものを張っている。


「おい、ソラ、諦めるな!」


諦めて絶望していた俺に向かって、そんな力強い言葉を投げかける。


「お前は死にたくないだろう。

ここで終わりたくないだろう。

いいのか?

リザードに踏み潰されて終わる、そんな人生でいいのか?」


痛いところを突いてくる。

 そうだ。こんなしょーもない死に方で終わってたまるか。

 セトの言葉のお陰で冷静さを取り戻した俺は、ふと周りを見渡す。周りには、ボロボロの冒険者達が茫然自失としていた。


「お前たちも、魔物に抵抗なく殺されて、それで冒険者と誇れるのか!

それでも、幹部戦を生き抜いた者達なのか!

魔物にも臆さず、討伐する。それがお前たち、冒険者なんじゃないのか!」


 セトが冒険者達に向かって強い言葉を投げつける。

 これにより、半ば諦めていた冒険者達の心に火が灯った。


「そうだ!ここを耐えてこそ冒険者だ!」

「リザードなんぞ殺してしまえ!」

「群れがなんだ!ただ数が多いだけじゃないか!」


 心に戻った灯火は、各々の生存本能によって焚き付けられ、灯火から炎、炎から業火と肥大化していく。 完全に勢いが戻った冒険者たちは、負けてたまるかと群れに突っ込んでいく。

 しかし、皆は知らない。先頭(リーダー)の個体は、小国でかろうじて対処可能である、危険度A+級の魔物だということを。

 このとき、俺もその事を知らずに群れに飛び込んでいった。

 そもそもこの時点で、俺は“A+”がどれだけ危険か、理解していなかったのだ。


◀ ◇ ▶


 対リザード戦では、大敗を喫した。

 幸いにも死者は出なかったものの、重症者六名、軽症者十一名と、ほぼ全員が怪我を負う事になったのだ。

 この場合の重症者とは、怪我の大きさ関係無しに意識がなく、昏睡状態にある者の事を指す。

また、軽症者と言っても皆必ずどこかの骨が折れているのだ。

 本来ならばこのリザードの群れは、小国で対処するものなのに、冒険者十八人に何が出来ると言うのだ。

 俺はこの敗北を味わい、危険度の確認はちゃんとしようと、誓ったのだ。

 ちなみに怪我をしなかった一人はリュナで、戦闘に参加せず、回復魔法をかけ回っていたからだそうだ。

 不幸中の幸いと言うべきか、ここは俺達が出発した街、アクロとロムバート領の間にある平原だったので、どちらにも行くことができた。

近かったのはロムバート領だったので、急いで屋敷へ向かうことに。

 屋敷へ向かう道のりの途中、武装集団が現れた。

荒くれ者のような姿の者ばかりで構成されていた為、山賊だと認識した俺たちは、怪我人多数の中で身構え、臨戦態勢に入る。

 だが、当然怪我は誰もが深刻だ。こちらには負傷者ばかりだったので、素直に降参して見逃して貰おうと考えた。

 が、それは違ったようだ。

 なんでも、彼らはギルドから派遣された冒険者集団だそうで、リザードの群れの討伐任務の途中だったようだ。

 見回りの帰りだったようで、俺たちは領主の屋敷へ送っていってもらった。

 お礼に、リーダー個体はA+級だと伝えてあげた。

彼らは知らなかったようで、あ然としていた。

 怪我人だらけの俺たちが言ったからこその効果だとは思うけれど、この一言で未然に悲惨な事故を食い止めることが出来てよかったと思う。


◀ ◇ ▶


 屋敷では、扉の前に二人、メイドが立っていた。

 二人はきれいな姿勢でお辞儀をし、両開きのドアを開けてくれた。

 中に入ると、かなりの広さのホールがあり、レッドカーペットだったり、豪華なシャンデリアもあるのに、なぜだか実家に帰ってきたような安心感があった。

 ホールの中央に当たる場所には、恰幅のいいおっさんがいた。

この人が領主だろう。


「皆さん、よくおいでくださいま、し、た――」


 俺たちの姿を見て、声が出なくなっていく。

 なにせ、俺たちは今ボロボロだからだ。


「おい、人数を呼んでこい!後は、回復魔法が使える使用人とポーションを!

早く処置してやってくれ!」


 貴族といえば、色々な物語から嫌な奴しか思い浮かばなかったが、このおっさんはどうにも優しそうだった。

 人情があるというか、人の心があるというか。


 「まさか、最近このあたりに住み着いたリザードの群れに襲われたとかですか。」

「は、はい、実はそうなんです。

ここまで討伐隊の方々に送ってもらい、かろうじて助かりました。」


 領主のおっさんの質問に答えたのは我らがリーダー。

怪我をしているというのに、落ち着いている。


「左様ですか。

ご安心下さい。ここは対魔物(アンチモンスター)結界(バリア)が張ってあり、安全ですので。

傷が癒えるまで、何日でもここに滞在していいですよ。」

「いいんですか。」

「ええ。

私の治める土地を魔王軍幹部から守ってくださったお礼です。」

「「「ありがとうございます!」」」


 冒険者達が一斉に言う。

 その感謝の気持ちはおっさんにも伝わったようで、柔らかな笑みを浮かべていた。

頑張って書きました!

やっぱり小説書くのは楽しいですね。

しかも今回は前回より八百文字も多いです。

八百……

縁起がいいですね。


次回からも頑張っていきますので、

モチベUPのため、ブクマと評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ