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第二十七話 終わりの始まり

 これは、魔王城を創った後のお話。

 と言っても後日談の様な日常を描いた話ではない。なぜなら、今回ばかりは俺が空の上で語っている話だからだ。

 え?空の上?気になる?

 まあ教えないけど。

 空の上のことはひとまず置いておくとしよう。じゃないと話が進まない。

 あの後俺たちはしばらくエイトに滞在した。

 だが、満足し始めたから俺たちはアクロに戻り、再びダンジョンの最下層で暮らし始めることに。

だが、それは三人でではなかった。

ソフォスは、旅に出た。彼女が長年続けているという、魔導書集めの旅に。

 前々から旅人なのは知っていたので、特に驚くこともなく俺とガイアはソフォスを見送った。

 そしてソフォスがいなくなり、ガイアは俺のスキルに戻った。

 俺としてもそうなってしまったらダンジョンに留まっていても面白くなかったので、俺も旅に出ることを決意。

 そしてまず向かおうと思ったところ。そこは、俺が住んでいた国の王都。プロタ王国の王都だ。

 そこに向かう途中の出来事だっただろうか。いや、出来事ではないかもしれない。ただ単に俺の気まぐれだっただけだから。

 ソフォスから教わった飛行魔法で王都に向かっている途中。あたり一帯に何も無い、平原を見つけたのだ。

 村もない。街もない。人もいない。動物すらいない。

 その土地を見て、俺はいいことを思いついた。

 「この土地に都市を創ったら面白いんじゃないか」と。

 イカれてるだろ?でもそれが可能だったんだよ。

 土地問題?勝手に崖にダンジョン創っておいて、今更何言ってんだ。

 まあ細かいことは省略するが、俺はそこに都市を創った。トラップだらけの。

 猟奇的な住民を設置。トラップもダンジョンとは違う、俺の知識をフル回転させたトラップを至る所に設置。

 警備巡回ロボットやゴーレムも設置した。

 そして一番面白かったのが、なんと言ってもボスづくりだ。

 この街には四体のボスを設置。それぞれ“魔術師”、“恋人”、“戦車”、“女帝”と言ったふうな二つ名と名を与えた。

 そしてこの都市のラスボス―――というか裏ボスの話に入る。

ビナー。それが、都市の管理者の名前だ。

彼女にはガイアが【理解之神(ヘルメス)】という神之権能(ゴッドスキル)を与えた。

 管理と防衛のための権限に追加で、彼女にとある一つの権限を与えた。

俺が万が一の場合に設計した、隠しボスの発動権限。

そのボスこそが、“至高”ロゴス。

 今その都市がまだ健在なのか、はたまた攻略されているのか。俺に知るすべはないのだが、いつかビナーが活躍してくれる。

 実は、俺は魔王城を創った時点でとある一つの計画を練っていた。

 言うわけないじゃん。言うと思った?言いませーん。

 まあその計画は後々明らかになるだろう。

 それを言ってしまうと物語が一気につまらなくなってしまうので固く口を閉ざすことにしよう。

 打って話は変わり、続いて俺が辿り着いたのはとある国だった。

 いや、国ではない。無法地帯だ。

 ガイアの説明によると、他の国から流れてきた民族たちがこの地で覇権を奪い合って争いを繰り広げているのだそう。

 まあそんな得体のしれない民族たちは、俺とガイアの敵ではなかった。

 神之権能(ゴッドスキル)どころかユニークスキルさえも持っていない人間がほとんど。

 まあ何人かはユニークスキル持ちはいたのだが、反抗して斬り刻まれるか俺に従順にするかの二択しか彼らには与えられなかった。

 たくさんの人を殺したわけだが、そんなものはもう割り切れてる。これでも、この国に到着するまでに二年が経過。戦や争いは何度も経験してきた。

そんな中で生き残れたのも、【聖剣之神(タケミカヅチ)】及びガイアのお陰だ。

 こうしてその地の覇権を手にした。もっと分かりやすく言えばその地を統一したわけだが、俺はここに都市を作ろうと考えていた。

 と言っても、将来の住民たちも多数いるのでトラップばかりの都市にはできない。

 普通の都市にしようと思っているのだが、当然ここにも仕掛けがある。

 地獄の門と、天界の門を設置するのだ。

 北側に天界の門、南側に地獄の門。

 異空間の開設、そして接続ができる俺とガイア。そしてガイアのコネによりこの計画はいとも容易く実行されることとなったのだ。

 だが、その門を開けっ放しにすることはできない。下手したら都市どころか西側諸国が滅びかねないから。

 なので、とある仕掛けが作動したら両方の門が開け放たれるという仕掛けを組み込んだ。

 トリガーとなるのは、最後のボスの死。ここに設置したボスは、“女教皇”、“皇帝”、“正義”、“節制”の四体。加えて管理者であるラスボスも設置した。

ラスボスの名はティファレト。【美徳之神(アフロディーテ)】を所持している。

 地獄と天界の両門が開け放たれるのは、最後のボスである“皇帝”が死に、ティファレトが権限を使って門のロックを解除したらとなる。

 誠に他人行儀な言い分なのだが、そこからどうなるかは、後の人々に任せるとしよう。

 そんな爆弾みたいな都市を創った後。俺はどうしたかというと、引き続き各地を回っていた。

 テロス王国という国の王都に滞在してみたり、西の魔王に会ってみたり、またイグモニア連邦国に戻ってみたり。

邪神を信仰している村があるという噂も耳にしたので、面白さ半分に訪れてみたりもした。

 その時はボロボロになっていた祭壇を俺とガイアが直してあげたので、村の人々が喜んでいたのが今でも記憶に残っている。

 結局その邪神というのはガイアの最初の主の友達らしかったが。

 どうやらこの世に顕現していないらしく、会うことはできなかった。

 まあ信仰上の祭壇だし、そこに降り立つなんて万に一つもないだろう。

 そしてついでに久しぶりにエイトに会いに行ってみた。

あ、この場合のエイトは都市じゃなく魔王のほうね。

 尊敬の意を込めてだろうけど、中央都市と魔王の名前が同じというのは少々紛らわしい。

 その時エイトからとある依頼を受けたのだが、それがダンジョンの作成だった。

 「どんな強い力でも、極大魔法でも壊れないくらいの頑丈なダンジョンを創ってくれ」と。無茶だろと思ったが、ガイアは張り切っていた。

 そしてなんやかんやあって完成したわけだ。

 これで、俺が管理者を設置した場所は八ヶ所。この世界にやってきてもうすでに十一年経っていた。

俺もすっかり二十七歳。

 後二ヶ所は設置したいなぁと思いながら、俺が今度はデントロ自然公国という国を巡っていた時だった。

 十年ぶりの再会だった。

 ソフォスと、出会ったのだ。

 その時のソフォスは完全にお姉さんだった。どうやら大賢者となったらしく、今や世界一の魔法と魔術の知識を持っているという。

 懐かしすぎてお互いにしばらくの期間冒険譚を語り合っていたのだが、俺は一つ思いついた。

 そのソフォスの膨大な知識を活かして。

 残っているセフィロトに知恵があったので。

 いや、それはこっちの話だ。後者の方は気にしないでくれ。

 とにかく。俺はソフォスにその案を持ちかけた。

するとソフォスからはあっさりとオーケーが出た。

念の為に理由を聞いてみると、「この知識が埋もれてしまうのはもったいないし、いつまでも後世に遺したいと思っていたから」だそうだ。

 そこから制作に取り掛かる。

 制作工程は端折るが、この計画だけは二年もの歳月をかけて完成させた。

 ソフォスの生涯を託した書庫と言ってもいいのだから。

 その内部は―――後々語られることだろう。

 時々世界を眺めているガイアによると、いまだにこの書庫は見つかっていないみたいだ。

本来のソフォスの願いはどこへやらという感じだが、俺はいつか誰かが発見しすぐそして攻略してくれることを信じている。

 さあ、この話もいよいよ最後となってきた。

 ここまでつらつらと話し続けてきて、疲れていないだろうか。

 疲れているならばここで一度休憩を挟んだほうがいいだろう。

 疲れていないなら、この先を読んでくれ。最後の建造物について語ろうと思う。

 ―――いや、やめよう。やめだ。最後はその存在は仄めかしておくが、詳細を言ってしまったらだめだ。

 なにせ、この建造物は計画に計画を重ね、俺の全野心を注ぎ込んで創った超大作にして最高傑作なのだから。

 これも、いつか誰かの手によって語られることを願おうと思う。

 ガイアなら分かるかもしれない。これがどこで語られるのか。

 メタなことなんてどうでもよくはなるのだが、この話題なのでどうしてもこうなってしまう。

 だが、あえて言っておこう。

 “この最後は、最後で終わらない”。

 “終焉は、終焉で終わらない”。

 “本当の終わりは、もうすでに幕を開けている”。

 これで察することができる読者はゼロに近いと思う。

もしこれで理解できたら、あんた凄いよと素直に賞賛したい。

 ここで、推理小説ならお決まりのセリフを俺なりに投下してもいいだろうか。

 別に推理小説なんて一ミリも関係ないのだけれど、ただなんとなく言いたいだけだから少しばかり付き合ってくれ。


 俺は、未来の主人公に挑戦する。


さあクライマックスの連続投稿も三話目になりました!

次回はエピローグ。十九時です!

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