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第五話 気を取り直して

 まあチャーハンで腹も膨れたことだし、続いて三階層の制作に進む。

 二階層完成から昼飯まで少し話がズレたけど、気を取り直して続きを作っていこう。


《全く、誰のせいかなぁ。》


 お前だよ。

 ネタバレ始めたのはお前だからな。


《そう……だっけ?》


 そうだよ。勝手に誰かさんの記憶の中をまさぐって、これからの物語をバラそうとして。


《記憶にございません。》


 政治家みたいなこと言うな。


《えへへ。まあそれよりだけど、そろそろ三階層作り始めたほうがいいんじゃない?》


 話し逸らしやがった。

 だけど、今それをやろうとしていたのでもうこの話はおしまいにして開始しようと思う。

 さて、どんな感じにしよう。当初考えていた蟲魔物を大量に湧かせる階層でいいかな。

 ていうか蟲魔物っているの?それにどんな奴がいるの?


《その質問、答えてしんぜよう。》


 お前最近キャラ迷走してない?


《そうかな。まあそうかもね。トモキ君の物語に合わせたキャラじゃないとね。

で、その蟲魔物だけど、ちゃんと多種類いるよ?

トモキ君のイメージとかのやつもいれば、ちょっとヤバいやつ、あとグロいやつ。》


 イメージ……カブトムシとかクワガタムシとか想像していたんだけど、そんな感じ?


《そうそう。甲殻魔蟲、羽飛魔蟲、多足魔蟲、大型魔蟲、小型魔蟲、変異魔蟲、人型魔蟲等など。》


 そしてガイアが説明してくれた。


 甲殻魔蟲…………俺が想像していたような、カブトムシやクワガタムシとかの硬い甲殻を纏った魔蟲。

ちなみに魔蟲とは蟲魔物のこと。


 羽飛魔蟲…………ハチやトンボ等の、翅を使って飛ぶ魔蟲。


 多足魔蟲…………アリやクモ、ゴ○ブリ等の、脚をたくさん持つ魔蟲。

基本的には六本でも八本でも、他の魔蟲種族に分類されなかった魔蟲の総称らしい。


 大型魔蟲…………たまに生まれる通常よりも身体が大きい個体の総称。

それらの殆どが攻撃・防御共に通常個体よりも脅威となりやすい個体だ。


 小型魔蟲…………通常の魔蟲。大型魔蟲、人型魔蟲を除いた魔蟲の総称。


 変異魔蟲…………ポケ○ンでいう色違い。レア度以外には特に通常と変わらない。


 人型魔蟲…………大型魔蟲が経験と鍛錬を積んで、進化した魔蟲。

危険度S。具体的にいうとめちゃくちゃヤバいやつ。

そもそもそんな種族なんて今まで数えられるほどしか確認されてないので、情報も対処法も殆どない。

しかもめちゃくちゃ強いから、人類では対応が困難となる魔物。

時には魔王級の強さを持つらしい。というかこの世界にも魔王っているんだな。いや、“にも”はゲームの中と比べてね。


 と―――いった感じ。

 なんか設定がめちゃくちゃ増えたけど、大雑把に言うとたくさん種類があるよってこと。

 そして、問題はこれらの種類の中でどんな種類を使えばいいのか。

 迷宮内なので動きやすいほうがいいだろう。そうすると、大型魔蟲は駄目。いくら強くてもね。

 小型魔蟲の中の、甲殻魔蟲、羽飛魔蟲、多足魔蟲。

特製からして甲殻魔蟲は防御重視、羽飛魔蟲は機動力、多足魔蟲は駆動力。

 なので、普通に現れる分には甲殻魔蟲と羽飛魔蟲、小部屋で大量発生するのが多足魔蟲でいいだろうか。


《うんうん、いいと思うよ?私の演算処理で出た結果もそんな感じ。》


 ちなみにその演算の精度は?


《百パーセント。》


 じゃあ安心だ。

 次なる問題は迷宮の構造だけど―――


《それはさっきの二階層を参考に私が作っておくよ。少し待っててね、数秒で出来上がるから。

―――よし、出来たよ。》


 早っ。

 返事しようと思ったけどそれ言う暇ないくらい早っ。

 まあ早いに越したことはないし、別になんの問題もないんだけども。

 そこからはお楽しみの設置ターイム。脳内マップで小部屋や通路などにスポナーを設置。魔蟲用なので極上にできるそうで、壁のヒビの奥とか絶対気づかない天井の角とかに設置。

 それぞれに出てくる魔蟲も設定した。

 これで、三階層も完成。なんだか説明のほうが長くなってしまった気もするが、まあ都合上の短縮ということで。


 さて次は四階層。

 こちらは植物が蔓延る階層にするつもりだ。

 ところでガイア、植物って意思を持つ種類とかないのかい?


《あるよー。ツタとか木の根とかを捕食のために動かす種類。

――――――あ、もしかしてトモキ君ってそういう………》


 勝手に変な想像するな。断じてそんなことはない。


《………うん。そうだね、今のは私が悪かった。

―――素直になってくれればいくらでも用意するけど?》


 だからそんなんじゃないって言ってるだろうが!

 ………はあ、疲れる。このやり取り。


《ごめんって。冗談じゃん。ちょっとした戯れじゃん。》


 本当か?


《本当です!》


 これからそういうおふざけなくできるか?


《できま―――す?》


 なんで自信なさげで疑問形なんだよ。

 断言しろ。


《―――出来ます》


 間が気になったけど、これ以上揉めてると話が進まないので放置。

 今度こそ真面目な質問。動かせる植物があるんだな?


《あるある。さっき言ったとおりにね。》


 それじゃあ危険な毒草は?


《そんなもの多分トモキ君の世界よりあるよ?

薬ば毒にもなり、毒が薬にもなるって言うじゃん?

ポーションと比例するように、毒薬も毒草もたくさん存在するの。》


 例えば―――と、楽しげに説明し始めた。

 曰く、神経毒や催眠薬、催涙剤、即効性の致死毒、遅延性の致死毒、麻酔薬、幻覚剤、誘発剤、魅了剤等、毒草の薬効から作られる毒や薬は多いらしい。

 なので、これらを逆手に取って危険な方法で扱えば、あっという間に毒でお陀仏。

 ツタや根に絡みつかれて身動きが取れない状態で、そんな危険な薬を体内に打ち込まれたらどうなるだろうか。答えは簡単。抵抗できないままに死ぬ。

まあ当然冒険者ならば自立しているツタの対処なんて簡単だろうけど、そのツタに気を取られている隙に後ろからチクッ。そしてコロリ。

 我ながら恐ろしいシステムだな。


《恐ろしいね。実際やったことあるんじゃない?》


 あるわけ無いだろ人殺しなんて。


《前世マフィアだったり。殺し屋?忍者?ヤクザ?》


 なんでもいいわ。どれでもないし。

 俺は健全な高一だぞ?人殺しなんてものに手を染めるわけないし、薬物にも手を出したことはない。


《読者さんに警告しないでいい?》


 警告するべきなんだろうなぁ。最近若者が薬物乱用したり犯罪を起こしたりすること多いらしいし。

 って、メタ的なこと言ってまた物語を掻き乱すな!


《バレたか。でも、読者の皆さんは絶対薬物乱用したら駄目だからね!

犯罪なんてもってのほか!気軽な気持ちで人生を棒に振っちゃ駄目だよ!》


 ちゃっかり警告するガイア。教育長賞がもらえるよ。

 さて、話が少し脇道―――メタ話にそれたが、本線に戻して気を取り直して制作を続けるとしようか。


 またガイアに脳内マップを出してもらい、植物の範囲と毒草の生息区域、植物の設定と種類等を決めた。

 決めたのは、茨蔓。巻き付いたらトゲが生えてきて獲物をガッチリホールドするという恐ろしい植物。

 そして毒薬は遅延性。じわじわと殺していくスタイルにした。

 宝箱に解毒剤を入れたが、それはレア。殆どは幻覚剤が混ざった変な味の水だ。

 俺の才能(性格)が遺憾なく発揮された階層。これを攻略して苦しんでいる様子をみてみたいものだ。


《トモキ君S―――っていうかただのサイコパス?

やばいよ?》


 やばくないさ。自分が丹精込めて仕掛けた罠に引っかかる様子、見たいとは思わないのか?


《まあ確かに共感はできなくもないけど―――言い方だよ。

人が苦しんでるのを見たいとか、ただの狂人だよ?大丈夫?精神科行く?》


 大丈夫だって。この性格の悪さなんてこれから心置きなくこのダンジョンに反映されていくんだから。

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