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第四話 ほぼ閑話

 一階層が完成した。

 俺でも恐怖を覚えて、ガイアでも呆れ果てるほどの凶悪な巨大迷路。

 我ながらナイスな出来だ。ガイアがほとんど作ったけど。


《仕掛けと配置の仕方の性格の悪さはトモキ君だけどね。》


 だそうだ。まあ仕方ないだろう。俺は前世の学校でも性格の悪い人間として有名だったから。

あ、もちろん優しかったよ?それは女子たちにも定評だったから。それでもときどき性格の悪さが垣間見えるから、あまり人気がなかっただけ。


《だろうね。僕でも避けたくなるよ。

それでも君は主様なんだから、僕はついて行くけど。》


 そんなに無理しなくても……


《大丈夫だって、別に僕に害があるわけじゃないからね。》


 そう?ならいいんだけど。


 まあそんな感じで一階層が完成。続いて二階層に取り掛かっていく。

 二階層からは異空間なので、作り放題。と言っても違和感をなくすために一階層と同じ広さにするしかないのだが。

 それでも十分だ。

 俺の今の考えとしては、二から四階層はモンスター階層にしようと思っている。

 二階層がゴブリン階層、三階層が蟲魔物階層、四階層が植物階層。

 そして五階はトラップしかない平々凡々な階層。

 基本的に階層は五階層を手本に作っていくつもりだ。

 そして俺の性格の悪さはここに出てくる。

 一階の出入り口の近くに隠し扉を作っておき、五階と繋げてショートカットにするのだ。

 隠し扉というよりかは隠し通路なのかも。比較的壊しやすい壁で塞ぐので、それを見つけて破壊しないとショートカットはできない。

さらに、ショートカットをせずに進むと迷路と魔物の地獄のルートとなる。


《……相変わらずだけどダンジョンとしてはいいかもね。

よし、まずは二階層から作っていこうか。ゴブリン階層だっけ?どんな仕組みにするの?》


 じゃあダンジョンっぽい通路と小部屋があるフィールドを用意してくれないか。

 小部屋は多めで、照明も多めで。


《了解。数十秒で出来上がるよ。》


 ガイアがそう言うので出来上がるのを待つ。

 というか話は変わるのだが、めちゃくちゃ腹が減った。

前世で朝飯を食べた以来。丸一日ほど何も食べていない。

無から有を生み出すチートスキルを持っているというのに、初日の混乱と二日目のハイテンションのせいで空腹を忘れてた。


《じゃあ二階層が終わったらお昼にしようか。》


 そうだな。切りもいいし、そこら辺で何か口にしたい。


《二階層の生成終わったから、早くゴブリン設置してしまってご飯食べよう!》


 おう!


 まあその後は脳内マップでゴブリンの設置場所を確認し、そこにゴブリンスポナーを設置した。

 ちなみにスポナーは前世の某ゲームを参考に。

 これで何もしなくても一定時間で湧いて来るようになった。

 ガイアの初耳権能の一つ、【条件分岐】の効果でフロアに一定数ゴブリンが溜まると湧かなくなるという効果も付与。

 そして初耳権能の二つ目、【設定操作】の効果によりたまに武装したゴブリンが出るように出力。

 なんだかプログラミングをしている気分だった。

 にしてもいくつ権能があるんだろうか。


《僕の権能はその都度増やしていってるから、多分今めちゃくちゃあると思うよ?

それこそ僕が把握しきれないほどにね。忘れてる権能の中には役に立つやつもあったり?》


 その権能の便利さにも驚きだけど、権能って増やせるものなの?


《いや、基本的に権能を増やせるのは僕だけだね。

始めからたくさん持ってる知り合いもいるし、ルールが通用しないような権能ばっかりの子もいるけどね。》


 要するに、ガイアは権能増やせて、権能を多く持つ奴がいて、ルール完全無視の権能のやつもいるってことか。

 知り合いってことは、それもスキルだったりする?


《うん。僕と同じ原初之権能(プリミティブスキル)

自我もちゃんとあるよ。》


 ちなみにそのプリミティブスキルとやらのさっき言ってたやつの名前教えてくれたりは―――


《それは主様でも駄目だよ、プライバシーに関わるからね。》


 そうか。

 いや、スキルにプライバシーとは。


《僕たちは自我あるんだから、プライバシーくらい尊重してほしいんだよ?》


 俺の心が筒抜けになっているこの状況はプライバシーが守られていると?


《なに?僕が念話で話しかけてくるのやだ?

実体化して一緒に暮らすこともできるけど。》


 ちなみにそれによって起こり得るデメリットは?


《トモキ君の意思で僕の権能を発動できなくなる。》


 駄目じゃねえか。


《フフ。そうだよね、じゃあ我慢するしかないよね。

まあその代わりと言ってはなんだけど、僕たち原初之権能(プリミティブスキル)の紹介をしてあげようか。》


 ぜひとも。


《まずは僕。トモキ君の権能、【創造之神(ガイア)】。

そして次は僕の最初の主様の友達の権能、【混沌之神(カオス)】。

その友達の―――ああ、もういいやめんどくさい。

天空之神(アイテル)】と【虚無之神(タルタロス)】、【略奪之神(ゲーラス)】。

それと【幽冥之神(エレボス)】、【大海之神(タラッサ)】、【宇宙之神(ウラノス)】。こんなとこかな。》


 八種類か。どこかで聞いたことのあるようなメンバーだが……


《そうなの?》


 何だっけな―――


《ちょっとまって、今記憶から引っ張り出してくるから。》


 他人に記憶を探られるなんて恐怖すらあるけど、なんかもやもやするのでそれを待つ。

 しばらくして。


《これかな?ギリシャ神話の神々。》


 あ、そうそれだ!


《原初の神の名前がスキルになってるんだね、知らなかったよ。

だからトモキ君は最初僕と会ったときに女神だってわかったんだね。腑に落ちたよ。》


 ガイアは女神というのが俺の知識だからな。

 まあそれが的中するのも製作者側の意図じゃないか?


《多分この物語書いてる人大焦りだよね、まさか登場人物に制作の裏側バラされるなんて思ってもないだろうから。》


 昨日はメタ発言否定したくせに俺よりメタなこと言ってんじゃねえよ。


《えへへ。なんかトモキ君のメタが伝染しちゃったみたい。》


 メタって伝染するものなのか……?


《よーし、この調子でどんどんバラしていこーう!》


 やめとけ、筆者が泣くし物語が成り立たなくなる!


《えーと、次章ではセトが―――》


 わああああああああああああ!

 ちょっと待った!それ以上はやめろ!


《えー、なんでよ。いいじゃんちょっとぐらい。》


 駄目なものは駄目だ!読者も楽しみにしてるのに、筆者以外知らないことのネタバレはやめろ!


《どうせこんな小説の読者なんていないでしょ?》


 いるわ!俺たちの冒険―――というか日常を眺めて見守ってくれている皆さんに失礼だろ!

 というか小説かどうかはわからないじゃないか。もしかしたらコミカライズされるかもしれないし、アニメ化だって可能性はあるだろ?


《ないない。読者はつかないから。

なぜならここで僕が全てをネタバレするから!

えーと完結の仕方は―――》


 おい!やめろそれ以上は―――!


《おやおや?僕意外と大活躍?

五章以外出てこないと思ってたのに!》


 あれ?なんかネタバレされた気もするけど伏線にもなった?


《ふーん、ほんほん。流石作者、わかってるじゃん。この僕というキャラクターを創っただけあるね、こんな手柄を用意してくれているなんて。

これは皆さんに先に伝えるのはもったいないな。

よし、これに免じてネタバレはやめておいてあげよう。》


 なんかネタバレ中止した。ナイス筆者。

 めちゃくちゃ気になるけど、俺も完結を楽しみにしておこう。


《さて、作者のナイスなシナリオも見れたことだし、メタ話で膨れる前に何か食べようか。》


 やっとか。実際結構―――というかもう限界する前まで空腹。

 朝何も食べずに学校に行って、四限目くらいに襲ってくるあの飢餓感と同じ。


《そんなに?じゃあ僕の特製チャーハンを振る舞ってあげようかな?》


 チャーハン!?食いたい!


《オッケー!》


 俺の胸から小さな光る玉が出てきて、横に降り立って人型になり、そこから白のTシャツと黄色のハーフパンツ、白のエプロンを着たガイアが出てきた。


「それじゃあ、作っていくよ!」


 そう言うとガイアはあっという間に手の先にコンロとフライパン、おたまを生成。

 指先から炎を出して、生成した薪に着火する。

 油を指先から垂らしてフライパンを油でコーティング。

 油を馴染ませてから、いつの間にか生成されていてかつ混ぜられていた卵を垂らして、炒りながら加熱していく。

 半熟になったところでこれまたいつの間にか出されていたボウルに移し、刻まれたネギをさっと炒める。

 そしてご飯を投入。しばらく加熱した後、卵を戻してまた炒める。

 さあここで職人技。テレビでよく見るあれ。フライパンを振ってチャーハンを空中に放り出すやつ。正式名称はわからん。

 それをしようとしたガイア。見事に失敗。奥に放り出されたチャーハンは、地面に着く前にガイアが念力で全て回収。

何事もなかったかのように炒め始めた。

 いやいや、さっき思いっきり失敗してたが。

そんなことは気にせずに調理を続けるガイア。調味料で味を整え、おたまで皿に盛り付けて完成。


「さあ、ガイア特製チャーハン。いっちょ上がり。」


ガイアは自慢げに薄い胸を張る。

 椅子と机が生成されて、俺はそこに座って置いてあったスプーンを取った。

 目の前にチャーハンを盛り付けた皿が置かれる。

 見た目は普通のチャーハン。匂いも普通。作り方も材料もいたって普通。

 いや、ここは塩と砂糖間違えたとかいうお決まりがあるはず。

 恐る恐るスプーンで一口。

 恐る恐るした意味はあまりわからない。


「お味はどうかな?」


 うん。普通。特になんのイベントも起こることなく、ただただ普通のチャーハンを食わされただけだった。

 美味しいよ、美味しいけど、どこかで何かを望んでいた俺に失望する。

 強いて言えば思ったよりもパラパラだった。ラーメン屋さんとか中華料理屋で出されるような、本格系。

 というかこの味付けどこかで―――

 あ、

 俺はこの味付けに気づいてガイアを弱めに睨む。


「バレちゃったか。まあ本人だもんね。」


 そう。俺が作るチャーハンと同じ味なのだ。

 俺の得意料理はチャーハン(というかそれしか作れる料理がない)。

 故に留守番の時とかはよくチャーハンを作って食べたものだ。

 多分ガイアは俺の記憶から引っ張り出してきたのだろう。

どうりで美味しいわけだ。自分の作るような味付けなんだもの。そりゃ口に合うさ。


「ま、まあいいじゃん。パラパラなんだし。それにこの世界に来て初めてのご飯なんだし。懐かしいもので。」


 懐かしいものっていうか、これ一昨日も食べたが。

 まあそんなことは言わず、ちゃんと完食してあげた。

俺は性格悪いけど、こういう優しさも持ち合わせている人間なのだ。

いや、ちょっと危なかったですね。危うく最終章のネタバレを喰らうとこでした。活躍シーンを作っておいて良かった、危ない危ない。

 なんて茶番は置いといて、面白いと思ったらブクマや評価、お願いします!

 もうわかってると思いますが、今章は今までと違ってネタが結構多いです。楽しみながら気楽に読んでください。

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