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第二十七話 エピローグ

 今からおよそ七百年前、創世史上最恐最悪の戦争が起こった。

 “多種族新次元侵攻大戦”。今では通常“多元大戦”と呼ばれている。

 この戦争は東に居城を構えていた魔王によって引き起こされたもので、六十二年もの間繰り広げられていたこの戦争は、大陸の歴史に深い傷跡をつけた。

 名前の通り、大陸に存在する多数の種族が世界の覇権を賭けて争ったことで起こった戦争で、大陸で起こった唯一の世界大戦だった。

 人類が、世界の国々が力を合わせてもこの戦争を終結させることはできず、最終的に一人の魔王と一人の勇者の手によって事態は終息へと向かっていったのだ。


 この大戦を引き起こした張本人、東の魔王は、勇者の手によって討ち取られた。

 この魔王こそが、世界最悪の魔王と称される、魔王ジャディス。

神之権能(ゴッドスキル)不法之神(ディスノミア)】を所持し、各種族の闘争本能を刺激させて操っていたとみられている。


 そして、この戦争を終結させた大きな要因の一つである、他の魔王の介入。

介入した魔王は、北の魔王だ。ただ、北の魔王に関しての情報は全くなく、人類側の記録に残っているのもこの戦争での介入が最初で最後だった。


 次は、多元大戦の立役者二人目である、ジャディスを討ち取った勇者についてだ。

 この勇者は神之権能(ゴッドスキル)火焔之神(カークス)】を巧みに使い、ジャディスの【不法之神(ディスノミア)】を上回って圧倒。

歴代最悪の魔王を討ち取った歴代最強の勇者として、名を馳せることとなったのだ。


 勇者はジャディスを討ち取った後次の世代の魔王となり、支配区域に面した小国をまとめ上げ、戦争で疲弊した国々を支援していった。

 このときにまとめられて誕生したのが、大陸の東に位置する大国、イグモニア連邦国だ。

 イグモニア連邦国は魔王の庇護もありどんどんと小国を吸収しながら成長していき、領地内で生産された物資を他の国に輸出して戦後の立て直しを援助した。

 このときに重要なのが、イグモニア連邦国の成長の裏には一滴の血も流れていないということだ。

 小国を倒して吸収したのではなく、協力という形で一つの集団にまとめていき、やがて一つの国家が形成された。

 領地内で生産される食料は魔王の魔力によって急速に成長し、他の大国を養うことができるまで発展。

 領民のケアもしっかりされ、統治という意味では当時のトップは有能だったといえるだろう。

 戦後、西側諸国は疲弊しきって、革命も起こるほどだったがそれも長くは続かず、飢餓や衛生環境の悪化、治安の悪化等が原因で多くの人が亡くなった。

 戦時中の死者は約一億人に上り、戦後の死者は五千万人にまで膨れ上がった。

 世界の人口の半分が死亡し、人々に絶望しか無かった状況で、勇者は世界に希望をもたらしたのだ。


◀ ◇ ▶


 月の光が差し込む城の頂上の部屋の、一番奥に設置された大きな玉座には、カズトが疲れ切った表情で座っていた。

 その膝の上には、先ほどまで読んでいた本が閉じられて置いてある。


「はぁ……。多元大戦……魔王がまさかこんな英雄だったとは……」


 そしてカズトは、部屋の床で雑魚寝している二人を一瞥(いちべつ)する。

 ミホは激しい戦いの後で疲れ切り、絨毯が敷いてある床の上で丸まって寝ていた。

 マークは先ほどまで魔導書の整理を手伝っていたのだが、いつの間にか座ったまま寝てしまっている。

 その他の仲間たちも、壁際や床などで眠りこけていた。

 改めて、カズトは今までの戦いを振り返る。

 カズトは、自分が成し遂げた偉業が信じられなかった。

かつての英雄でも、今は人類に害をなしている魔王を、自分より強さも格も天地ほどの差がある魔王を、仲間の力を借りたとはいえ最後には一人で倒したのだから。

 この戦いで、カズトは神之権能(ゴッドスキル)を手に入れた。

後のカズトの仕事は、世界のバランスを保つ役割を担っていくだけ。

 カズトは膝に本を載せたまま、静かに瞼を閉じ、眠りについた。

 安堵と疲労のため息を吐いて。

第四章、これにて完結です!

皆さんありがとうございます!

正直ここまで書けて、感動すらあります!

でもまだまだここからですので、ぜひ皆さんブクマや評価、お願いします!

この機会にぜひ!筆者にのモチベアップのためにお願いします!

あ、第五章のことについては活動報告に載せますので、そちらも覗いてくださると嬉しいです!

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