第零話 プロローグ
初めての小説投稿。
どうぞよろしく。
ここは、冷たい風が吹きすさぶ山の頂上に建っている禍々しい城。大陸の北に位置する、魔王城。
その城の中の最上階にある一室、“王の間”の最奥にある荘厳な玉座に、一人の男が座っていた。
その男は、たくましい体つきにやや長い深緑の髪、暗めの灰色のジャケットを羽織った男。
突然ドアが開き、部下と思わしき男が入ってきて言った。
「先程、闇の精霊神の反応が確認されました。」
「ご苦労。」
その一言だけを報告をした男は、音もなく立ち上がり静かに部屋を出ていった。
そして玉座にふんぞり返っている男は足を組み、頬杖をついて言った。その口角は僅かに上がり、はにかんでいる。
「同胞たちが目覚め始めたか。――これは、面白くなりそうだな。」
そう呟くと、男はゆっくりと玉座から立ち上がり、部屋の中央に敷かれた深紅の絨毯を歩いて、部屋の唯一の出入り口であるドアを開けた。
「遂に使うときが来たか。――異世界からの、来訪者を。」
その後、男は部屋から出て、廊下を曲がりどこかへ行ってしまった。
◀ ◇ ▶
とある街の酒場にて。
荒くれ者が集まる広い酒場の一席に、黄緑色の髪の少女がいた。
その少女は何かのジュースをぐいっと飲み、一息ついて天窓を見上げた。
「―――これは……何か起こりそうだね。」
◀ ◇ ▶
孤島にそびえ建つ南の魔王城の、軍議の間。
五体の人型の何かと、眩いばかりの光を発する球体がそこにいた。
「これより、我らはここより北東に位置する封印の洞窟付近を領地にするため、軍事行動に出る。これは私の命令であり、友と交わした約束だ。なんとしても制圧しろ。」
光の球が言葉を発する。
それに呼応するように、五体の生命体は頷き、各地に散らばっていった。
「さあ、ヤミよ。この状況からどう抗う。私は決してお前だけは許さない。」
一方、魔王城の外では、この不穏な流れを感じ取っていた者がいた。
場内から飛び出す、赤、青、緑、茶、金の五色の光。それを眺め、顔をしかめるような動作をしてから独り言を呟いた。
「コウのやつ、今度は何をするつもりだ？」
呟いた者は、周辺の海一帯を支配する、大妖鮫だった。
その大妖鮫は、光を目撃した後深海に潜りながら、心のなかで一つの結論を出した。
「ヤミ、無事でいてくれよ。」
それは、友に告げる警告。
この者達により、世界が大混乱に陥る少し前の出来事だった。
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