4話 事故
五人が歩いていた。岩等級の冒険者パーティー。八あるうちの下から二番目の等級だ。ギルドからの討伐依頼を終わらせていた。
「余裕だったな!!」
「ああ!!」
仲間の回復や強化をする役割をもつ女性が言う。
「もっと依頼をこなして、早く鉄等級に上がろう!! それでみんなで勇者パーティーのようになろうね!!」
「あ、ああ……」
その時、予想外の出来事が起こった。岩のような体をもつ巨大な蜥蜴が現れる。
「ロックブリザード!!」
このパーティーの等級の二段上、金等級で戦う魔物だ。
「こんな所に何故!!」
「に、逃げるぞ!!」
「ぐああああ!!」
一人がゴツゴツした頭部から繰り出される突進に当たる。他の三人はすでに避難していた。女性が負傷した足を<ヒール>で治療をする。男は震えていた。
「大丈夫。大丈夫だから!!」
その間にも魔物はドシンドシンと近づいてくる。足が治った瞬間男は女性を、魔物の方に投げ飛ばして走り出す。
「え……」
「お前、最高の僧侶になるんだろ? 夢が叶ったじゃないか!!」
「待って!!」
そう言って男は走り去っていった。先に逃げていた三人と合流した。
「モニカは?」
「ああ、自分の意思で囮になった」
「なるほど……あいつは正直やっかいだったからな」
「誰も彼も無駄に助けやがる」
「過酷な戦いは御免だ。一人じゃなにもできない癖に。上を目指すなら一人でやれよ」
彼等はギルドへと戻った。
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