2話 パーティーをクビになる
リッチを倒してから一年の時が過ぎた。俺とティナは15歳になり、成人した。七等級に上がっていた。皆、強くなったと思う。俺は戦闘スタイルを少し変え、指揮をするようにもなった。
心なしか二ヶ月前からティナが、いや、皆が素っ気ない態度をとるようになる。悪い事をしたか聞いてみたが特にいつも通りの受け答えだった。等級を上げるために戦っているから疲れているのだろう。
さらに一年の月日が流れ、16歳となる。ロヴィナの街を拠点とし、実績を積み上げていた。
俺たちはなんと六等級にまで上がっていた。後、数回で等級が上がる頃に酒場で飲んでいた。
楽しんでいた時、アレンが無表情になった。
「アルベール。お前はクビだ」
「……アレン? 今なんて?」
「だからお前は、クビだって言ったんだよ。もうこなくていいぞ」
「なっ!! なんで!!」
イージスが冷たい表情で言う。
「なんでって……お前弱すぎ」
「た、確かにここのところは強くなれてない。でも訓練はサボってないし。だから指揮をっ!!」
コルネリアも顔を歪めながら言う。
「弱い癖に命令してくるのほんっとウザイ……しかも取り分もキッチリ持っていくし……キモ」
ガリナが見下した笑みをうかべていた。
「お前より使える新しい人を入れるから。こっちにおいで」
他のテーブルにいた弓を持った女性が近寄ってきた。
「カミラです。よろしくお願いします」
「よろしく~」
予め用意していた椅子に座った。彼女は一瞬目が合った。まるでゴミを見るかのようであった。
「っ……でも!! 急にクビなんてっ。陛下がなんとおっしゃるか!!」
「ああ、その件ならギルドに報告して、問題ないとお墨付きをもらった」
「勇者パーティーの等級は冒険者等級と違って下がるの!! 足手まといのゴミは要らないの!! 分かるぅ?」
「そんな……!! ティナ!!」
アレンがティナの肩に腕を回した。
「ティナも俺たちと同じ結論をだした」
「嘘だ!!」
「本当よ。アルベール……私ずっと貴方の事が大嫌いだったの」
その言葉に耳を疑う。邪悪な笑みになったアレンが口づけをした。彼女は嫌がっていなかった。すると他四人もアレンにくっつき始めた。
「ククク!! そういう事だアルベールっ。お前は不要なんだよ!!」
「くっ……!! くそ!!」
「まあ、一緒にやってきたよしみ。お祝いとして、そのしょぼい装備はくれてやるよ」
お金をテーブルに置いた。そのまま俺は悔しさのあまり、酒場から飛びだした。
「やっと邪魔者がいなくなったね!!」
「ほんと雑魚だったー」
「これでカミラをになったから一気に特級に上がる!!」
それを聞いてカミラは驚いていたが、そういう意気込みなのだと空気を読んだ。
「さいっこう!!」
「アレン大好きー!!」
「ティナ。まさか後悔してるのか?」
「まったくしてないよ。ていうか解放されて嬉しいくらい!! そうじゃなくてー。今までお世話になったんだから普通私たちも分まで払うでしょう……屑ね」
「ハハハハ!! まったくだ!!」
イージスが言う。
「それで、次は何処にいく?」
「大物狩りだ。これで等級をあげる」
アレンが紙媒体の依頼を見せた。
「サイクロプス……って」
「動きは鈍いと聞く……ならば俺たちの連続攻撃で畳みかければ」
「楽勝ね!!」
「え?」
「どうしたカミラ」
「サイクロプスはその代わり力や耐久力が高い……」
「大丈夫だ。俺たちの戦い方をみせてやるよっ」