14話 泉の精霊
目が覚めると宿屋にいた。通りかかったパーティーに助けを求めたそうだ。毒を浴びた者たちは亡くなったらしい。
リアナが椅子に座っていた。
「なんで殺されそうに……」
「勇者パーティーは等級に応じて支援金が出るのは知ってる?」
「ああ」
「あいつらは強い魔物を狩るのを止めたの。そして、それでも等級が下がらないように嘘の報告をしていた……」
「それを報告しようとして……か」
「昔はあんなんじゃなかったのに……ッ。それにあんな死に方をするなんてっ」
仲間だった頃の記憶を思い出し、リアナは涙を流していた。彼女は腕で涙を拭う。
「モニカから少し聞いた……あのさ。もしよかったら一緒にパーティーを組まない……?」
ぷにが言う。
『組んだ方が良いよ。君はあれを使いすぎだ……止めたのに』
(悪かった。緊急時だったから)
「分かった。パーティーを組もう。俺はアルベール」
彼女は嬉しそうな表情をみせた。
「リアナよ。よろしく」
翌日、ギルドに行くと受付嬢が笑顔だった。
「な、なにか……?」
「おめでとうございます。アルベールさんは銅等級となりました」
困惑しながらプレートを差し出した。銅等級のプレート交換する。
「そ、そんなに早く……? しかも一つ飛ばして……」
「確かに早いですが、ギルドマスターにも報告してますので大丈夫です。功績を考えたら当然かと」
「ありがとうございます」
「それにリアナさんもです。もともと六等級にいましたからね」
俺は呪いで力を発揮できないだろうと思い、勇者パーティーにいたことは黙っている。実力で等級を上げたいからだ。リアナは考えた後に言う。
「……ギルドマスターが認めたのなら。有難くいただくわ」
フォレスガルムやスレイボアなどの討伐依頼を受け、お互いの実力を確認する。最初は息が合わなかったが、次第に息が合うようになってきた。
ギルドに報告して酒場に行った。そこでリアナが言う。
「アルベールと組むと不思議な感じがする」
「不思議?」
「なんかこう……マナがつきないというか……」
「あ、それは私も感じたことある」
「……? 皆のマナ量が多いだけじゃないのか?」
ぷにが眠たそうに言う。
「呪われてるからじゃないかなー」
「……そっ、そのスライムはッ?」
「あ、どうもー。ぷにだよ」
「リアナ、この子は精霊さん。その剣に宿ってるの」
「せ、精霊……初めて見た……ッ」
「ぷに。呪いの影響で俺のマナが溢れでてるのか?」
「そそ。それで周囲の人間に吸い取られてるように見えるよ」
「俺のマナはなくならないのか?」
「逃げるマナを必死で抑えてるって感じだね……今は」
リアナが深刻そうな表情をした。
「う~ん。だとしたら、早く解かないとまずいかもね」
「アルベールが死んだら困るよ!!」
その時、隣のテーブルから声が聞こえた。
「泉の精霊がいるらしいな……」
「死にかけた冒険者が助けられたって」
「でも、もう一度向かったらそんな泉なかったんだろ?」
「ま~。あの森は広いからな。似たような場所があるから」
リアナがその男たちに話を聞く。南東の森で起こった出来事らしい。
「おいおい。かなり危険な森だぜ?」
「私たちは冒険者だから……」
「はっ。そうかよ。気を付けろよ」
酒場を出た後に、男たちは言う。
「若いっていいねぇ~」
「昔は俺もあんな無茶をしたもんだ」
「はっはっは!! 懐かしいな~」
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