13話 毒蜘蛛撃破
俺が彼等を助けに行こうすると腕を掴まれた。リアナは首を横に振る。
「ここは生息地じゃないはずなのに……」
「あの毒はどうやって治す?」
「今は無理よ。あの毒を消す道具は持ってない」
ぷにが声が聞こえる。
『逃げた方がいいと思うけど……』
(ぷに駄目だ、速くて逃げきれないと思う。モニカも心配だ……)
「それで、どうするの!!?」
「戦う……ッ」
「分かった……」
リアナは剣に炎の力を付与した。
「これで糸は切れる。援護するから……ッ」
魔物に近寄ると糸を吐く。それを剣で焼き切る。次に糸を上に飛ばす。それをつたい変則的に飛びついてきた。
(速いっ)
時間を停止させる。敵も自身も動けない代わりに負荷が少ない方の能力を使った。動けないが認識はできる。魔物がもう近くまできているのを確認する。
(駄目だ、この距離。完全には避けきれないッ)
時間が動いた瞬間、身をよじって避けようとする。しかし、鋭い爪のような足で、胸を引っかかれる。
こちらも黙ってない。避けながら剣を振り、魔物の腹部にダメージを与える。着地したところで、リアナの<ファイアーボール>が放たれる。魔物は糸を木に付着させると高速で移動し火の玉を回避する。
服ごと胸を切られて血が滴り落ちる。さらに時間停止の負荷もあり、膝をつく。リアナは深刻な表情を浮かべていた。
「このままじゃ……」
間髪入れずに魔物が襲いかかる。初撃ではないので予測するも、完全には避けきれず体に傷が増えていく。そんな時、声が聞こえた。
「アルベール!!」
「モニカ……無事か……良かった」
「私よりもアルベールが!!」
状況を理解したモニカが急いで<ヒール>をかける。傷が僅かに治った分、楽になる。さらに身体強化の魔法を全員にかけてくれた。
「これで多少楽になったわね……でも……」
剣に付与された炎が少し弱くなっていた。そこに気を取られた次の瞬間、魔物は木に糸を付着させた。それはモニカの傍であった。彼女を狙っている。
「させるか!!」
時間を止め、魔物に接近する。力を振り絞り、頭部から体に向けて剣を振るう。魔物は絶命する。
「やったの……信じられない……」
眩暈がした。能力による体の負荷もあるが、傷口から毒が入ったのだろう。俺はその場に崩れ落ち、意識を失った。
「アルベール!!」
泣きながら抱き着いてきた。
「大丈夫だ……心配をかけたみたいで、ごめん」