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1話 プロローグ

 今から約36年前、北の地から魔王を名乗る者たちが侵攻してきた。見た事のない魔物が溢れ、各国は混乱した。その日から魔人族との戦いが始まったのであった。


 各国は様々な種族と争っていたが、その日を境に停戦し、人族同士で同盟を組んだ。ハンターギルドは冒険者ギルドと改名し、運用を変更した。そして、国は勇者パーティーを多数編成し、魔人族の討伐を命じる。勇者パーティーには援助金が下賜された。




【魔の森】


 六名で構成された八等級の勇者パーティー【栄光の剣】は、リッチという上級アンデッドと戦っていた。


 剣で一太刀入れたがあまりダメージはない。そこで、リッチは闇の魔法<ダークシックル>と呼ばれる

鎌を使い、攻撃する。


「アルベール!!」


「っ……」


 ティナの声で反応できた俺は鎌を回避する。敵を睨み付けると語りかけてきた。


「ククク、少しはやるようだな。褒美をやろう。我が名はクァッシュ。我に名乗らせた事を冥界で誇るが良い!!」


 その言葉に勇者パーティーのリーダー、アレンは不敵に笑う。


「はっ!! 魔物風情が偉そうに!! お前を討伐し、名誉を頂くとしようか!!」


「不可能だっ!! 死ぬが良いッ!!」


 リッチの<ダークシックル>が無数に襲いかかる。


「危ない!!」


 魔導師のガリナが炎の魔法<ファイアーウォール>で、鎌を防ぐ。しかし、数が多すぎた。戦士のイージスが前に出て、それを生身で受け止める。


 イージスが倒れそうになった。その前にティナが<ヒール>を使用して傷を癒す。


「ティナ助かった!!」


 皆が時間を稼いでいる内に、アレンの剣が強い光を放つ。


「なんだ、その光はァ!! させぬぞォ!!」


 その時、背後からコルネリアが短剣で、リッチを切り裂く。


「隙ありぃ!!」


「ぐ……小賢しい真似を!! ……ハッ!!」


「……残念だったな骨!! 勇者の剣は悪を滅ぼす!! 喰らえッ<セイクリットグローリー>!!」


 剣から放出される魔力をリッチに目掛けて振り下ろす。


「へっ。雑魚が!!」


「……ッ。まだ生きている!!」


(俺を見ている……いや、指はッ)


「ティナ!!」


「え……?」


 そう声を出した時、片眼に六芒星の模様が現れる。消えかけのリッチが震える指先から黒い光線を出した。ティナの前に覆いかぶさる。


「ぐ!!」


 熱い。背中が焼ける。


「アルベール!!」


 怒ったイージスが聖なる力を付与した戦斧を振り下ろし、とどめをさした。


「よくもアルベールに!!」


 ティナは<ヒール>を使う。


「助けてくれてありがとう」


「約束したからな」


「ずるーい。魔王を倒したら私も入れてもらおうかな!!」


 呆れたように魔導師ガリナが言う。


「イージスはすぐほしがる。まっ、私も人の事言えないけどぉ」


 アレンが遅れて近寄ってきた。


「大丈夫だったか?」


「ああ。それよりも、すごかったよアレン」


「当たり前だろ。アルベールがいたからな!!」


 戦闘を終えたイージスたちが集まってきた。ティナは幼馴染で結婚を約束した仲だ。


「この調子で討伐して、皆で特級に上がろう!!」


「ああ!!」



 冒険者ギルドでは冒険者の特別枠として勇者パーティーの窓口も存在する。国がそのように管理しようと決めた。彼等は各地に移動し、現状が分かりにくいので、ギルドを通して情報を共有するためだ。


 勇者パーティーにも階級があり、俺たちは順調に最初の十等級から八等級に上がっていた。一番人口が多いのは六等級。


◆ ◆ ◆

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