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第143話 調整

 一九三九年五月十五日。西部戦線。

 西部戦線の主戦場であるパリ方面攻略は、パリ目前というところまで来ていた。しかし、戦力の半分以上をペルシュの森における戦闘に費やしているため、主力の機甲師団や歩兵師団が揃わないという状況に陥っていた。

 その代わりに、フランス南西方面は順調に攻略を続けている。つい先日、ボルドーに自動車化歩兵師団が到着し、ドイツ軍とスペイン軍の混合軍団と戦闘。その上で勝利を収めた。

 このような状況であるため、南西方面は進軍を続け、パリ方面はしばし停滞ということになった。

 一方の東部戦線は、ポーランド全土がドイツから解放されたため、ドイツ国境まで進軍することができるようになっていた。しかし進軍を阻害するように、ドイツ軍の残党兵がゲリラのように出没するため、結局のところ進軍速度はあまり変わりはしない。

 それでも、ドイツ国境付近の飛行場が連合国の占領下にあるのは大きなアドバンテージである。

 そのような状況下にある、イギリスに駐在している連合国軍西部戦線司令本部は、東部戦線司令本部のあるレニングラード━━現在は新生ロシア帝国領であるため、名称はサンクトペテルブルクになったが━━に長距離無線通信をする。

『狼の首を落とすべきである』

 この内容は、連合国共通の暗号である。狼の首、すなわちヒトラーの首を狙うという単純な話だ。

 話はかなり単純であるが、実行するにはとんでもない労力と戦力と時間を要することになるだろう。だが、連合国側が有利である現在なら、この作戦を実行することは不可能ではない。

 日ソ露の将官級の指揮官たちの話し合いの結果、これを承諾した。問題は、誰が首を取るかである。

 当然ながら、手柄は取りたい。しかし、そのためには前進しなければならない。前進するためには戦力が必要で、その戦力を輸送するのにも大規模な国力を擁している国が主導するのが筋だ。

 そこで白羽の矢が立ったのが、ある部隊であった。当然、その部隊は二つ返事でヒトラーの暗殺を承諾する。これで手柄を立てる人間は決まった。

 そして更なる問題として、ヒトラーが今どこにいるかだ。しかし、ここはイギリスが一足先に動いていた。情報機関「知恵の樹」が諜報員をドイツに送り込んでおり、そこから情報がもたらされたのだ。

 その情報によれば、ヒトラーはライプツィヒにいることが判明した。どうやらここに、総統官邸と同程度の設備を整えた総統大本営を設置しているとのことだ。

 こうしてやることは決まった。ヒトラーの首を狙って、複数の国家が団結する時である。

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